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#公衆衛生

インドにおける西洋医療の浸透『身体の植民地化』

インドにおける西洋医療の浸透『身体の植民地化』

久々の疫病シリーズである。

またしてもみすず書房、高いです。

19世紀は細菌説の登場で西洋医療が大きく進歩した時代であり、臨床医学にとって過渡期であった。大きく進歩したといっても、ジェンナーやハフキンのワクチンを除けば、衛生対策の寄与がほとんどであったと思われる。内科的な医療はおまじないと大差なく、効果のわかりやすい外科的治療のほうが現地人には受け入れられやすかったのは大草原である。

そして

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大林啓吾編著『感染症と憲法』読んだ

今年3月に出版されたこれ、出てすぐ買ったんだけどやっと読み終わった。

公衆衛生の歴史や、現実の法制度を概観するのに非常に有用であった。

購入のきっかけは、西迫大祐氏の論考を読みたかったからである。

しかし、西迫氏はもちろんのこと他の方の論考も興味深いものであった。

まず第1章は感染症にまつわる憲法の総論。公衆衛生、特に感染症は個人の自由と鋭く対立する問題というのは古今常識なのだが、いきなり

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そりゃ民間病院はコロナは受け入れづらいよ

そりゃ民間病院はコロナは受け入れづらいよ

昨日の話の続き。

甲子園での阪神の試合は今日を最後に無観客試合に突入となった。

結果は、サンズのホームランなどでなんとか勝利。ガンケルは今日はクオリティスタートとはいかなかったが好投した。岩貞はガンケルの勝ち星を消して勝利投手になった、本人は嬉しくもなんともないだろうが。

そして無観客試合である。まあこうなるよね。

昨日から書店や図書館にも休業要請が出るとか出ないとかで、怒っている人がいる

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西迫大祐『感染症と法の社会史』読書メモ

西迫大祐『感染症と法の社会史』読書メモ

『感染症と法の社会史』読み終わった。

こちらの記事で軽く触れたように世界観としての感染症を記述するたいへん興味深い書物であった。

その世界観の変遷を主にフランスを中心に追っていくものだ。疫病がいまだに問題である現代において非常に重要な示唆を含んでいる。ものすごく雑にまとめると、私権の制限がどのように正当化されてきたかということであり、あるものは現代人から見れば非合理であったりする。そしてもしか

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西迫大祐『感染症と法の社会史—病がつくる社会』読み始めました

西迫大祐『感染症と法の社会史—病がつくる社会』読み始めました

昨年のいつだったか誰かがおすすめしていたこの本をようやく読み始めたのである。

社会がどのように感染症を扱ってきたか、フーコー研究者でもある著者が古代ギリシャから中世ヨーロッパ、近代フランスを中心にたどっていくという内容のようだ。

とりあえず序文から読み始めたところ衝撃を受けてしまった。

感染症が社会的に問題になり、予防の必要性が叫ばれるとき、参照されるのは「これこれが感染症の原因であり、予防

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