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「炎上」時代における組織のリスクマネジメント

従業員による SNS の投稿によって炎上する騒ぎが世間を賑わすようになって久しい。またMeToo運動によるセクハラの告発も話題に尽きない。

個人が世間に全方向的に発言できる環境が整ったことは、意見を発信したり、不正を正したりするプラスの要素もあるが、一方で不用意な発言や不適切な行為なども発信も可能であり、自分自身が告発される側になるリスクとも表裏一体である。

これは組織にとっても大きなリスクがあり、何百人何千人何万人が何年もかけて培ってきた社会的な信用を、一部の人間によって一瞬で崩されてしまう、という危険性を常にかかえることになる。
こういった環境の変化は不可逆なものであるから、現在存続するあらゆる組織はこのリスクと共存する方向性を考えなければいけない。

一部の人間の発信を大多数の人間が見て「不適切」だと判断して集中批判する社会は
ある種、「さまざまな人間から見てハイモラル」であることを強制する構造となっている。

「一般的に考えて不適切なものを発信しないように」という直接的な指導はもちろん必要だろうが、どういったことが「さまざまな人間から見てモラルある」事なのかを組織内で考え方を醸成させることも必要だろう。

考え方のひとつとして、
多様性を組織の中に組み込んでいることがその点で優位に働くだろう
一方向から見ておかしくないことも、別視点を持つ人間にとっておかしいことだとしたらどうか
女性のいない組織では女性の視点がかけてしまいがちであるし(逆も然り)
年齢層が固まっている組織では、その上や下の世代間ギャップを見落としてしまう。
海外の視点、LGBTの視点、子どもの視点、単身者の視点、母親の視点、
組織は様々な視点を持つ可能性を秘めている。

これを実現するには組織が偏りのない様々な人間で構成されていることも必要だが、ひとりひとりが「良いと思うこと」「不適切だと思うこと」「差別的だと感じること」
それらを意思表示することが、より重要である。

「この発言は私にとっては屈辱的に感じる」
「この行為は○○的にはあり得ない」
「その仕草は▲▲ではやっていけない行為だ」など

もしも『主勢力と異なる事を言えるような環境でない』としたらその組織は多様性を包括しているとは言えないだろう。
発言力が小さく、意思表示がしにくい人がいる組織は真に「多面的な意見」を包括したとは言えない。それはまだある視点に「偏った」組織である。その組織はある種「別方向からの視点に気づきにくい」という点でリスクにさらされている。
各人の価値判断における視点を増やしてこそ、多面的なモラルある組織体質を実現できるのではないだろうか。

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