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やがて死ぬけしき



やがてしぬけしきはみえず蝉の声

芭蕉の句の引用から始まるこの本は
様々な事柄をあげながら”死について”
多角的な視点で綴られています

著者は福島県出身のお坊さん

図書館を利用する層はご年配の方が大半
定期的に通っている図書館には”年金の使い方”だとか”病気をしない生活習慣”だとか
特色あるラインナップのコーナーが設置されています

いつもは素通りするのですが
返却されたばかりの本をしまう前に一時的に置いておく棚にあったこのタイトルに目を惹かれました

死ぬってどういうことなんだろう
死が怖い
死んでいく人を見送る恐怖


誰にでも平等に訪れる”死”について真剣に考えた時期が何度かあります

それは自分が精神的に落ち込んでいるときだったり
家族が病気になったときだったり、身近で誰かが亡くなった時だったり

本でも挙げられている”東日本大震災”のときも心の内で対峙していたように思います

私自身は無宗教なので
果てしなく、答えの無い事柄に納得のいく整理などできず
毎度一通り思考のなかで足掻いては
”今しかないこの時をいきる”ことに集中するという結論にたどり着きます

本書では
◎宗教観による死の捉え方の違い
◎近年の”商業化”される葬儀について
◎他国の葬儀
◎自分という生き物の概念と科学的な見解
◎有名な僧は死の間際何を考え、最期にどんな言葉を残したのか
◎見送る側の死の捉え方

などについて触れられています

死を多角的にみることや知ることで
幾分冷静に”恐怖”と向き合うことができる
というメッセージかなと勝手に解釈しました

ふと思うのは

年を重ねる=死について自然と受け入れる覚悟ができる 
というのは間違っていて

年齢は関係なく、いつその問題と向き合い
少しづつ”覚悟”をしていくのかは時期は様々だということ

科学や医療が進歩して、核家族化が一般的になった今
”死”と真っ向から向き合う機会は減っているように感じます

かくいう私自身もその一人です

そんな時代だからこそ
”やがて死ぬけしき”そんな言葉を留めておく必要があるかもしれません



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