2月は切なく温かい思い出と喜びとが同時にやってくる
そんな月だったりする。

23年前の2月
大好きな祖母が旅立ちました。

わたしはその頃、受験生ということで、
両親は祖母の病気のこと
余命が僅かであることをわたしには伝えませんでした。

祖母は、商売人でした。

ガンガン背負って列車に乗り少し大きな町まで行き、食べ物を売っていました
当時小学生だったわたしの父は、時々祖母について行き手伝いをしていたそうです。

祖母の最愛の夫である祖父は
若くして亡くなっていて、祖母が1人で始めた商いでした。

祖母は、一言でいうととにかく明るく元気。

その誰にでも親しまれるキャラと負けん気
それに幅広い人脈で『会長』というポジションで会社を作りました。

景気も良く、大繁盛大繁盛。

寝る暇も勿体無いくらい、祖母も社員も皆んな働いていたとか。

仕事だけでなく
プライベートも楽しんでいた祖母は
友達と海外旅行へも行ったりとアクティブなお婆ちゃんでした。
ハワイ旅行から帰ってきた時の祖母は、
『見てごらん。膝だってこんなに痛く無いんだよ！』
と、その辺を陽気に歩き回りながら
テンション高めで沢山土産話をしてくれました。
わたしへのお土産は、ドリームキャッチャーだったなぁ。

家にいる時は、わたしの優しくて面白いお婆ちゃん。
『それっ！』と、ソファに腰掛けるお婆ちゃんとよく風船で勝負していました。
けっこう本気で戦ってくるお婆ちゃんに、わたしはケラケラ笑いながら楽しんでいました。

寝る前にお婆ちゃんの暖かくなった布団に潜り込んでいく時間が好きでした。
部屋の明かりはこだま。
ブラウン管のテレビでは『世界ふしぎ発見』
湿布の匂い。
ホッとするあの部屋と、お婆ちゃんの匂い
部屋に氷砂糖置いてたっけなぁ。

時々一緒にお風呂に入り
祖母の髪を洗ったり、体を流すことも当たり前でした。
膝が悪かったので、お風呂場用の椅子に腰掛ける祖母の丸くてやわやわな背中をこすってあげる
どんな会話をしていたのかは覚えていないけれど、わたしとお婆ちゃんだけの時間。

日曜日は決まって、祖母が蒸かし芋を作ってくれました。
それも、とんでもなく大きな大きな鍋に。
ホクホクのジャガイモにバターと塩辛をのっけて食べる。
祖母の大好きな『のど自慢』を見ながら家族皆んなで食べるお昼ごはん。

祖母の作る卵味噌もまた絶品でした。
卵の絶妙なふわふわ感と、ちょうど良い味噌加減。
母もわたしも、あんなに美味しい卵味噌を作る事がどうしてもできません。

大好きな祖母の味。

夏には、お婆ちゃん率いる家族と山へとうもろこしをとりに行きました。
広いとうもろこし畑で、汗かきながらとうもろこしを収穫する。
青くさい匂いと時々見つけるてんとう虫。
帰ってから皆んなで皮を剥いて
茹でたての甘い甘いとうもろこしを食べる
あの時間がとてつもなく大好きでした。

修学旅行の旅支度をしているわたしを見ながら
『いつもきっちり丁寧に準備するねぇ。偉いねぇ。』
って、褒めてくれる。
だからわたしは未だに、旅支度をする事が大好きだ。

祖母に怒られた記憶はたったの一度も無い。
何をしても、必ず褒めてくれた。
いつでも味方でいてくれた。

優しい思い出だけではないはずだけれど
いつでもわたしのなかの祖母は、こんな感じでふんわりしている。

いつか、居なくなる。

そんな事考えもしなかった。

お婆ちゃんがいなくなった時、わたしは涙が出なかった。
父がぼんやり窓の外を眺めていた光景だけは、鮮明に覚えている。

あの温かくてほっとする時間。存在。
優しい笑顔、しわしわな手、櫛で髪をとかす姿、明るい笑い声、時々ムッとする表情。

思い出ってすごい。

会えなくても、思い出せる。

思い出せばあの時に戻れる。

時々、昔のことを思い出すことは悪いことではない。

6年前の2月
娘が産まれた。

父は、喜んで沢山抱っこしてくれた。

娘を沢山笑顔にしてくれた。

娘も、父のことを忘れる事はないだろう。

6年間の中に、娘と父の沢山の思い出がつまっている。
娘も時々、父のことを思い出す日がくるのだろうか。
今は『思い出す』よりももっと近くに感じているように思う。

いつか『爺ちゃん』を思い出した時、娘の胸がじんわり温かくなるといいなぁ。
笑顔と温もりが溢れた優しい思い出がいつまでも娘の心の中にありますように。

お誕生日は、ゆったりとお家で

娘の希望で
チキンとポテトでかなりジャンキーなハッピーバースデー。

お誕生日おめでとう。
6歳の誕生日を無事に迎えられた事に感謝。
これからも、優しくて可愛くておてんばで
素直に素直に。
大きくなるんだぞ、娘よ。

生まれてきてくれて
ありがとう。

最後までお付き合いいただきありがとうございます🫶

明日も良い一日になりますように🕊️