パクスアメリカーナについて。

皆さんはパクスアメリカーナと言うものを知っていますか?
Paxはラテン語で平和。Pax Americanaとは、"アメリカによる平和"現代だとアメリカの覇権を表すのによく使われます。元々パクスはPax Romana、五賢帝時代のローマ帝国の一強状態による欧州の平和を表すものだったのです。そこからモンゴル帝国の覇権によるユーラシアの平和であるPax Mongolica、大英帝国の覇権による世界平和(???)であるPax Britannica、オスマン帝国の覇権によるアラブ世界の平和であるPax Ottomanica、スペイン帝国の覇権による平和であるPax hispanicaなどと派生していくわけです。これを見ればおおよそ察しはつきますが、Paxはラテン語本来の平和という意味よりは"による覇権"の方がここでは強いです。そしてソビエトとの冷戦のアメリカ勝利によって1990年代以降はPax Americanaと呼ばれる時代となったわけでありますが、そうして現在まで進むPax Americanaはどうやって終わりを迎えるのでしょうか。
考察していきましょう。


アメリカ合衆国のデータ

アメリカ合衆国の人口:3億3329万人(3位)
アメリカ合衆国の面積:982.67万平方km(3位)
アメリカ合衆国の人口密度:34.58人/平方km(146位)
アメリカ合衆国のEEZ:11,351,000平方km(1位)
アメリカ合衆国の名目GDP:6,621,571.8百万USD(1位)
アメリカ合衆国の実質GDP:25兆4627億ドルUSD(1位)
アメリカ合衆国のインフレ率:8.3%(99位)
アメリカ合衆国のジニ係数(格差指標):0.488(1位)
アメリカ合衆国の軍事力:0.0712(1位)
アメリカ合衆国の海軍力:総評484(3位)、空母:11隻(1位)、ヘリコプター空母:9隻(1位)、駆逐艦:92隻(1位)、フリゲート艦:0隻(140位)、コルベット艦:22隻(4位)、潜水艦:68隻(3位)、哨戒艦艇:10隻(48位)、掃海艦:8隻(14位)
アメリカ合衆国のNCPI(諜報力):1位
アメリカ合衆国のHDI:0.921(21位)
アメリカ合衆国の食料自給率:132%(4位)
論文の被引用数:3902.8万回(1位)
アメリカ合衆国の平均年収:59,428ドル(4位)
アメリカ合衆国の幸福度:6.940(18位)
アメリカ合衆国の大学進学率:84.8%(21位)
アメリカ合衆国で多く採取される資源:水、石油、天然ガス、石炭、プラチナ、金、銀、銅、鉄、リチウム、ウラン、リン、硫黄、塩、亜鉛、鉛、モリブデン、ニッケル、マグネシウム、ヘリウム、クロム、アルミニウム

アメリカの政治的内紛と新モンロー主義

アメリカ合衆国にもし祇園精舎の鐘の声がなるとすれば、そのうちの一つは新モンロー主義であると思います。
モンロー主義とは、アメリカの代表的な孤立政策でアメリカ合衆国が1823年にジェームズ・モンロー大統領の下で採用した外交政策の原則で、ヨーロッパ諸国に対して、アメリカ大陸への干渉をしないよう求めるものであり、同時にアメリカ合衆国もヨーロッパの事務に干渉しないという立場を取りました。モンロー主義は、アメリカ大陸の国々がヨーロッパの植民地支配から独立を達成する過程で、これらの国々を保護し、ヨーロッパの再植民地化の試みに反対する意図を持っていました。
そしてモンロー主義は第一次世界大戦期まで続き、アメリカの平穏と発展に大きく貢献しました。
もしも今のアメリカ合衆国がこれと同じように、孤立主義を開始したらどうでしょうか?答えは簡単で、中国やロシア、中東諸国などのアメリカに抑えられていた国が覇権を狙い暴れ出します。個人的にモンロー主義的一面を持っていると思っているのがトランプ前大統領で、彼はパリ協定からの離脱を行い、最近では"金を出さないならNATOを守るつもりはない"と西側諸国との不協和音も生みました。
彼は実際にはビジネスマンでありますのでどこまでが本意かというのはわかりませんし、新モンロー主義を行うとも限りませんが、彼が掲げるアメリカンナショナリズムにはそういった友好国との軋轢を生み、またアメリカを再びモンローにしようとする側面があると私は考えています。
アメリカは世界の警察ではない発言からはや10年以上が経過しましたが、その発言の本人であるオバマを2016年に破ったトランプはアメリカの世界覇権終焉の鍵を握る人物であると言えるでしょう。トランプ前大統領の支持層は、白人の低所得層から中級層です。彼は学のない人間をターゲットにしているのです。まず、アメリカの教育制度は日本と違い大学で一般教養を学びますから、大学進学率が84%では16%の無知層がいることになりますし、遡ると30%以上が大学に通っていない世代もあります。そしてその人間たちが民意として扱われるわけですし、現在はSNSで世論操作も昔よりは比較的に簡単になりましたから、他国からの介入も受けやすいようになっているのが民主主義の現状であり、アメリカの現状なわけです。
しかし、実際トランプ大統領がなったからと言って確実にアメリカの覇権が終わるとは一切思いませんし、アメリカの"政治的内紛"についても民主主義体制であるから修正はきくと思っていますので個人的にはナシですね。

新たなブラックマンデー

アメリカの覇権を終わらせる第二候補としてあげられるのはやはり世界恐慌、或いはリーマンショックの再来でしょうか。現在はAIバブルとも呼ぶべきNVIDIAなどのAIハイテク企業の明らかな株高が問題となっており、いつ弾けるかもわからない状況です。勿論、アメリカ政府や金融機関も定期的にガス抜きを行っているため個人的に可能性は低いでしょうが、アメリカの覇権が終わる可能性の一つとして挙げられるのも事実です。しかし、やはり歴史を過去から見て学ぶとアメリカの圧倒的な経済治癒力と他国へ与える影響から考えるとこの程度ではアメリカの覇権は終わらないように感じます。勿論、その結果として世界情勢が大いに荒れアメリカが没落することはあるでしょうね。

覇権に挑戦するものたち

2020年の"2050年の世界のGDP予想"ではアメリカは世界のGDPランキングで3位となっていました。その理由は圧倒的なマンパワーによる中国とインドの再びの台頭です。個人的に世界史をやっていて驚いたことの一つに、大航海時代や産業革命以前のGDPの5割以上を中印が占めていたということがありますから、新興というよりは帰ってきたなんでしょうね。マンパワーの凄まじさは畑から人が取れるソ連に轢かれたドイツもよく知っているでしょう。現在発展すると見込まれている国のおおよそは人口が多産少死社会となっている国ですからね。内需が高ければその分発展の土台が整いやすいわけです。
しかし、これはあくまで2020年の予想。世界はたったの4年で大きく変動するものです。私個人としてはアメリカが経済的にも追い抜かされることはあまりないと考えています。何故ならば最近ニュースを見ている人であればわかるように中国経済に陰りが見え始めたからです。インド経済についても発展していくうちに問題点が露呈してきました。まず中国経済についてですが、土地バブル崩壊からの破産ラッシュとコロナ以降の世界のmade in china離れによる資本の中国離れが止まらないことが挙げられます。
中国経済はまさしく1990年の日本を見ているようですが、習近平が死去するまで安定した成長は続くかなと考えています。次期書記長が誰なのかはわかりませんが、独裁主義体制ですからその人間が優秀か、不優秀かによって中国経済も大きく左右されることになりそうですし習近平が死ねば中国経済の先行き不透明化で外国資本の投下も更に停滞するでしょう。そして国内の不満を抑えきれなくなった中国が自由主義化する、なんて未来もあるかもしれませんが。とにかく中国は政治的な安定性についても疑問が残るところなのです。
インド経済についても、ガンジス川汚染問題やインフラの未整備、衛生問題、国内の不安定さ、格差社会であることなどから外国資本が好んで入れる環境を整備しきれているとは思えません。魅力的なマンパワーの資源を最大限活かしきれていないように感じますし、また人口爆発期の終了も203?頃には終わると推察されています。モディ首相の任期までにどこまでインド経済を改革できるか、にアメリカ経済を抜かせるかがかかっていると思います。しかし、個人的にはこれもアメリカを追い抜くことはできないのではないかと考えています。
それとアメリカにはほぼ全てを網羅するほどの天然資源があります。これもアメリカが他国に経済で遅れを取ることはないのではと考える理由ですね。その他にも日本がバーゼル規制やプラザ合意でアメリカの覇権を狙える立場から退けさせられたように、アメリカは自国の脅威となるものには必ず楔を打ち込みますから。アメリカは2050年も経済の覇権を持ち続けると考えています。

アメリカの自然の脅威

個人的に1番考慮したいのがこの可能性で、1700年カスケード地震の再来です。カスケード地震を知らない人のためにわかりやすく噛み砕くと、アメリカの太平洋沿岸版の東日本大震災です。アメリカに地震のイメージって、皆さん持っていないと思うんです。しかし、実際にはアメリカではおおよそ390〜500年ほどの周期でM9.0(東日本大震災クラス)を超える地震が発生するのです。
勿論、1700年なんてまだ欧州で7年戦争も始まっていないくらいですからアメリカが西海岸に到達しているわけもなく、日本に10m以上の津波が届いたという記載こそありますが国家としてのアメリカは被害を受けたことがないのが現実です。震源域には所謂ゴールドラッシュの発祥地で、シリコンバレーが置かれているカリフォルニア州も入っています。GoogleやApple、Microsoftなど名だたる企業が本社を置くカリフォルニア州でそのような地震が起きたらどうなるでしょうか?勿論、アメリカ経済は死にます。
しかしそれだけではありません。カスケード地震の再来では10万人以上は余裕で死亡すると考えられますから、アメリカは他国に介入する余裕を暫く喪失し、戦争どころではなくなるでしょう。
その時にアメリカの覇権を狙う国が次々と動き出せばアメリカの覇権が一気に終わりを迎える可能性すら考えられます。イスラーム勢力はこの地震を神からの天誅と高らかに声をあげ、活発になり中国は国恥地図のような旧領奪還を、アメリカに頼り切っているNATOとロシアが戦争に陥る危機すら考えられます。周期についても具体的にはわかっておらず今後100年で25%の確率で発生すると専門家は予期しています。それまでに米国の覇権が先に終わっていたら元もこもないですけどね。

結論

結論としましては、パクスアメリカーナが終わりを迎えることはここ暫くはないのかなと個人的には考えています。
アメリカの世界への影響力と経済力、資源とマンパワーにシーパワーとランドパワー、地政学的に捉えると島とも言える防御有利な地形。盛者必衰の理を表すと平家は述べたわけですが、果たして本当にアメリカの鷲もいつかは墜落するのか。それを見守るのは私たちの世代なのか、次の世代なのか。結局そんなことは誰にもわからないわけですが、アメリカもいつかは終わりを迎えるのです。それは人間による核の炎かもしれないし、自然の力かもしれません。最後に、アメリカ国歌星条旗の一節で〆たいと思います。

      おぉ星条旗よ、まだあの旗は靡いているだろうか?
"Oh say does that star-spangled banner yet wave"


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