ブロッコリー展

きほん、人見知りなネコです。音楽を聴き流すように読み流せる短編小説を目指してます。あと…

ブロッコリー展

きほん、人見知りなネコです。音楽を聴き流すように読み流せる短編小説を目指してます。あと大人小説と少年小説を行ったり来たりします。よろしくお願いします。

最近の記事

猫に生まれればよかった 〜ある日の妻のこと〜2024

“ネコから僕への2024年問題”集 【第三問目】   猫に生まれればよかった 〜ある日の妻のこと〜 【本編】 朝のほうから“おはよう”と言ってくるような朝には気をつけた方がいい。 僕はそんな朝の気配を感じつつ、リビングで椅子に腰掛け、コーヒーを飲みながらスマホを見ていた。 ネットニュースをあれこれ見ているうちに、ひとつ記事に目が留まった。 それはネコに関するある不思議な事件の記事だった。 内容はこうだ。 🐈 【先月来、世間を騒がせていた、都内の若い家ネコたち

    • 小説の中にたった1行しか出てこない猫たちの逆襲2024😼

      ネコから僕への“2024年問題”集 【第二問目】 小説の中にたった1行しか出てこない猫たちの逆襲 その昔、地中海に浮かぶクレタ島では、イカルスが飛行という人類の最も純粋な夢に挑んで神話になった。 それからというもの、人類が、そして国家間が、クレタ島を奪い合う歴史がずっと続いた。 でもクレタ島はずっとそこにあった。 混沌が呼び水となったからか、人類の純粋な主張の形とも言える『小説』が生まれたのもこの島だという説がある。 小説の歴史も時代に翻弄されてきた。 でも生き

      • やたらと猫になつかれる男2024

        “ネコから僕への2024年問題”集 【第1問目】 やたらと猫になつかれる男 【本編】 “めったに私以外にはなつかないんですよー”的な猫はたいてい僕になついた。 理由は不明。 猫のことはかわいいと思うけど、飼ったことはない。 僕が自分でなつかれてるなぁと思う以上に、他人から見ると僕はかなり猫になつかれているように見えるみたいで、嫉妬を買うことさえある。 だから猫に出会った時はできるだけ素っ気なく振る舞うようにしているのだが、猫にしてみるとソレがたまらないみたいで、

        • 創作大賞2024がいよいよ始まりましたね 僕は前回の初参加で短いものを全てオールカテゴリ部門に応募して撃沈したので、今年は工夫しながら各部門に応募していきたいと思います(ネコのお話はどこで出そうか悩み中)。 是非とも宜しくお願いします🐱 皆さんも創作大賞祭りで盛り上がりましょう!

        猫に生まれればよかった 〜ある日の妻のこと〜2024

        • 小説の中にたった1行しか出てこない猫たちの逆襲2024😼

        • やたらと猫になつかれる男2024

        • 創作大賞2024がいよいよ始まりましたね 僕は前回の初参加で短いものを全てオールカテゴリ部門に応募して撃沈したので、今年は工夫しながら各部門に応募していきたいと思います(ネコのお話はどこで出そうか悩み中)。 是非とも宜しくお願いします🐱 皆さんも創作大賞祭りで盛り上がりましょう!

          ぼくなりの、お仕事図鑑。

          ぼくのお仕事は遊ぶことだと思ってた。 まだ、ちびっ子だから。 ところが違った。 この前のテストの点を見た親が、朝っぱらから怒った。ぼくの仕事は遊ぶことではなく、学生なのだから勉強なのだと言った。 「日々遊びを研究していますよ、ぼくは」 ぼくは大人が遊ぶことも知っている。 「そういうことはきちんと仕事したらすることだ」 それでぼくは、「じゃあ、そちらさんがたのお仕事はなに?」って両親に尋ねた。 そしたら、「ぼくをちゃんと躾けることが仕事」だってさ。 では会社は

          ぼくなりの、お仕事図鑑。

          いつか書こうと思っていた小説

          「本当にそれがプロポーズの言葉なの?」 「本当にこれがプロポーズの言葉さ」 「悪い夢を見てるのかしら、わたし。でもプロポーズされたんだからいい夢ね」 「僕と結婚してくれよ、すぐに」 「そのつもりだったのよ、でもそんな風にプロポーズされると思わなかったから……」 「君と出会えてわかったんだ」 「うん」 「君は僕がいつか書こうとしてた小説なんだって」 「う、うん、なんかありがと……」 「転さ、起承転結の」 「え?転なの?えー」 「転にちがいないよ、今のこの瞬

          いつか書こうと思っていた小説

          とにかく大人をやっつけろ

          教室を出て廊下を挟んで向いの水道で口を石けんで洗った。 先生にそうするように言われたからだ。 帰りの会が済んだ後、 ケイイチとぼくは前屈みになって並んで洗い続けた。 目の前の鏡に水をわざとかけて遊ぶ。 そしてまた口を洗う。 先生が「よし」と言うまではそうしていなくてはいけなかった。 ぼくらが授業中に汚い言葉を使ったのがその理由。 “もっとまっすぐに世の中を見なさい”と大人たちはいつもぼくらに言った。 まっすぐに見たら汚かったからそう言ったまでだ。 きっとぼ

          とにかく大人をやっつけろ

          世界各地に散らばっていた小説

          神のイタズラだろうか、 はたまた、ただのイタズラだろうか。 とにかく全てのページが揃おうとしていた。 ページごとにバラバラになって世界各地に散らばっていた小説。 気の遠くなるような収集活動がやっと終わる。 読みごたえというもので言えばその小説はきっとハンパないはずだ。 数百ページ。 それにしても、みんなよくちゃんと持っていてくれたものだ。想像以上の保存状態の良さに、行く先々で僕は思わず歓喜したものだった。 小説を読んだことない民族の人もちゃんと燃やさずに持って

          世界各地に散らばっていた小説

          執筆前夜

          どこかに行けばきっと 誰かに出会えると思ってた。 ただ漠然と僕はそう思って生きてきた。 26歳になって、誰にも会えないままに丸ノ内線に乗っていた。 誰にも会えないままだったけど、26歳の夜はいつも前夜だった。 最初それが何の前夜なのか自分でもわからなかった。 だからただ246をタクシーに乗って走っていた。 どうしても前夜から逃れたい夜なんかには、 誰にも会えないのにアルタ前で待ち合わせして、どこかに行こうとしたりもした。 村上春樹は20代のある夜に、神宮球場

          僕がまだファンタジーツノガエルだった頃

          あの頃の僕はまだ、あまり動き回らなかったし、少ししかジャンプできなかった。 だから君と会う時は少しでも長く一緒にいたかった。 「こんばんわ、ファンタジーツノガエルさん。また会えて嬉しいわ」 「僕もだよ」 実は僕はこの春に大学受験に失敗して、違うカエルになりかけた。 でも君に救われたんだ。 コンビニとドーナツショップとガソスタの三角地帯の真ん中。 「今日はこれくらいまで一緒にいられるよ」君は黄色い春コートのポケットの中にいつもの置き時計を持ってきていた。 制限時

          僕がまだファンタジーツノガエルだった頃

          愛 恋 小 説(I LOVE YOUには敵わない)

          はい。令和のこの頃いかがお過ごしでしょうか。 ニッポンは、そして文学はどこへ向かってゆくのでしょうか。 円安の影響はとどまることを知らず、インバウンド消費に拍車がかかっています。 インバウン丼なんて代物は、僕みたいな売れない小説家には高すぎてとても手が出ないですね。 そのうちインバウン山とかインバウン川とかインバウン県とか言ってどんどん買われてしまうのではとビビってしまいます。 先日、普段あまり人混みには行かない僕も、その爆買い的な勢いを目の当たりにしたのです。

          愛 恋 小 説(I LOVE YOUには敵わない)

          タイムカプセルに入れておいた小説

          破産したらしい。 僕が小学生の低学年の頃に、大人になった自分へのメッセージを預かるサービスをしていた会社のことだ。 そういった内容のハガキが来た。 よりによってこんなに中年になってから知らされてもちょっと戸惑う。 あの頃はせいぜい二十歳過ぎくらいの自分に向けて書いていたわけだから。 ハガキの内容によれば、「会社を整理するにあたり、お預かりしてあるメッセージを本人にとりに来てもらいたい」とのこと。 とんでもない負のタイムカプセルになってしまったもんだ。 何となく怪

          タイムカプセルに入れておいた小説

          透明ネコ

          ある夜、僕が仕事で疲れて帰宅すると、何やらウチの猫の様子が変だ。 こちらの呼びかけを完全無視してずっとニヤついている。 よく見るとその傍には『透明になるための222の方法』という胡散臭い本が開かれている。 しかもかなり読み込んである様子……。 どうやらウチの猫は自分が透明になれたと思い込んでいるようだ。 疲れていたけど、僕は一応、ウチの猫が透明になっているテイでそのあと過ごした。 企業CMに出てくる社員さんみたいな驚き方で、ウチの猫のイタズラにいちいち反応していた

          芥川賞を終わらせた小説

          遅い。いくらなんでも遅すぎる。 主催者側のスタッフが慌て出し、 それまで保っていた厳かで格式高い雰囲気がにわかに崩れ出す。 帝国ホテル、孔雀の間。 やがて、芥川賞授賞式につめかけた関係者、報道陣、来賓、それから直木賞受賞者などおよそ1000人がざわつき出す。 それもそのはず 記念すべき第200回目の芥川賞受賞者であるA氏が現れないのだ。 もはや影の薄い背景と化した金屏風の前を司会者が右往左往している。 まもなく開始予定時刻だ。 もう待てない。 ところがだ、

          芥川賞を終わらせた小説

          ネコ漫才

          お題 猫工知能 ボ「あー人間はええなー😮‍💨」 ツ「いきなり、どないしたん?」 ボ「お! 相方、聞いてくれるか」 ツ「そりゃ聞くわ、漫才やからな」 ボ「あんな、人間には人工知能ちゅう便利なもんがあってええなー、て思うとったんよ」 ツ「あー、AIやな、確かに便利やけども、人間は人間、ウチら猫は猫が使うもんだけどつこてたらええねん」 ボ「でも、もっと楽したいなーて思うときないんか?」 ツ「そりゃ、あるよ。猫やもん」 ボ「やろ。オレなんてたまに楽することにストイッ

          地図にない国から来た友人

          僕は友達は少ないほうだけど一応それなりには相手を選ぶ。 最近になって、ひとり、友人と呼べる人ができた。会社の同僚だ。 彼は職場ではとても浮いていて、見たこともない文化的作法をする。 髪の毛も姿勢もぴっちりと引いたみたいに真っ直ぐで、シワひとつないスーツをいつも着ている。 さらっと「地図にない国から来た」と言うタイプで、しかも金をしこたま持っている。 逆にコネ入社じゃない感じが大物を予感させもする。 彼について口さがない人たちは色々な噂を立てたりもした。 お互いの

          地図にない国から来た友人