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私の好きな映画 10本

昔、毎年たくさん観ていたときは、年間ベスト!など書いていたのだが、最近は全然観ていないので、年間に10本も選べないのである。

2022年は、『ザ・バットマン』、『すずめの戸締まり』、『THE FIRST SLAM DUNK』、『アバター・ウェイ・オブ・ウォーター』しか観ていない。

なので、私はもう映画に関してはよくわからない状況であり、基本的には人のレビューを読んだり聞いたりして、観た気になって完結している。

何故ならば、私の映画は2017年の『ブレードランナー2049』を持ってして終了してしまったからであり、あとは偶に観て楽しむ娯楽と化した。
第一、小説を読んだりしていると、時間などないのである!(逆ギレ気味に)

でも、偶には現時点でのベスト10、的なものを記しておこうと思ったので、今まで観た作品の中で、私的なベスト10を書く。
こういうのは、上から順番にカウントダウンしていくので、まずは、10位。

10位
トゥルー・ロマンス  1992年

クリスチャン・スレーターってこの頃は輝いているよなぁ。


監督はトニー・スコットであり、脚本はクエンティン・タランティーノである。まぁ、私はタランティーノが大好きだから、当然外せない。
とにかく役者も豪華だし、シナリオが面白いし、会話の妙が最高だ。吹替版がいい。小杉十郎太さんの演じるトム・サイズモアのFBI捜査官の喋りが抜群にいい。クリス・ペンもいい味出している。
とにかく役者陣が最高である。テレンス・マリックの『地獄の逃避行』のスコアが巧みに流れていて、逃避行映画として上手く機能している。

9位 
追悼のざわめき 1988年

大変に美しいショットであるが(右側を、私は勝手に平岡公威(三島由紀夫)と命名している)、本編はエログロだ。

日本映画である。まぁ、気持ちの悪いが美しい映画で、この映画は私的にはなんというか、映画というものの振れ幅を教えて頂いた作品だ。
基本、エログロは好きである。タヴーも。私は、エッチなものも、危険なものも、赦されないものも、美しいものも、不快なものも、全てだーい好きなのである。そういうものを、この映画は体現している。

8位
タクシードライバー 1976年

シビル・シェパードは美しい。そして、このナンパのシーンの顔はどうだ。口説かれるときの、まんざらでもない、けれども無理かも…的な感じが巧すぎる。

まぁ、傑作だと思う。これを超えるオープニングはそうはないだろう。あの、排気口からのスモークの中からのタクシーの出現、そしてタイトルが出てくる中にかかるバーナード・ハーマンのスコア、完璧じゃないか?
トラヴィス的な鬱屈、という面でこの映画を観る趣味はない。私は、この魔薬の如しスコアの流れる魔都ニューヨークがたまらなく好きだ。幻想的で、危険で、毒に満ちていて、夢のようだ。そして、シビル・シェパードの美しさ、これもまた完璧で、夢のようだ。
ラストの銃撃は、芸術の域に達している。

7位
幸福 1964年

この美しい配色は女性監督ならではの感性ではないだろうか。
一枚一枚の絵が堪らなくいいのだ。フランス行きてー。

アニエス・ヴァルダの監督作だ。私はこの映画がだーい好きで、古書でパンフも買った。いいパンフで、おしゃれである。
フランスの美しさ、性の奔放さに驚かされる。青姦って、普通なのか?主演夫婦、ジャン・クレーヌ・ドルオー&クレール・ドルオーは実際の夫婦だ。奥様は俳優ではないが、演技は実に自然で、見事に脱いでいる。可愛らしい夫婦だ。
この美しい夫婦の旦那は、一目惚れした郵便局員の女性とも恋に落ちて、どちらも欲しいと、宣う。ネタバレになるが、水死した奥さんを抱きかかえるシーンの美しさ、その演技はどんな絵画よりも美しいだろう。

6位
鏡 1975年

めくるめく象徴的な記憶の断片。記憶の映画。

アンドレイ・タルコフスキーの作品である。
ガチで普通に観ていたら理解できない。初見殺しである。何度も、何度も反芻し、タルコフスキーの人生すらも予習して、勉強する必要性がある。
そうして、意図を紐解いていく作品だ。
然し、何も識らずともそこで流れる水の煌めきには陶酔してしまう。そこを流れていく水音には郷愁に駆られてしまう。
戦争の映画であり、家族の映画である。
母と子の映画であり、父を追い求める少年の映画である。
ソ連の素晴らしい映画である。早く、戦争が終わって欲しい。

5位
風立ちぬ 2013年

青空のイメージの強い本作だが、この雨のシーンは映像の快楽に溢れている。
雨粒のアニメーションの美しさ。

宮崎駿は天才だ。これは疑いようがない。年々エッジが効いてきており、私は後期の作品の方が好きだが、これはその集大成だろう。
まずもって、アニメーションという動く絵の官能性を具現化しているのは、恐らく宮崎駿だけではあるまいか、と思えるほどに、それは独創に満ちていて、目眩を起こしそうになる。書き割りではないアニメーションに酔いそうになる。後年の宮崎駿は、シナリオはどうでもいいと思っている節があるが、私も同意見だ。とにかく、破綻を来しているが、思想や妄想や欲望にはブレがない。飛行の快楽とアニメーションの美しさが融合した見事な作品だ。

4位
パルプ・フィクション 1993年

人生で、何度かこういう朝を迎えたいものである。

タランティーノの監督作品は前半期の作品群が好きである。
要は、『キル・ビル』が分水嶺で、私は復讐シリーズである『イングロリアス・バスターズ』も、『ジャンゴ/繋がれざるもの』も好きではないし、『ヘイトフル・エイト』や『ワンス・アポン・ア・タイム・ハリウッド』も好きではない。唯一、『デス・プルーフ』は好きである。あれは、ダウナーなべしゃりとカーアクションの緩急が完璧だった。

で、『パルプ・フィクション』は押井守の言うところのダイアローグの快楽につきると思われる。あの、何度でも繰り返し観たくなる、中毒性のある言葉の応酬、あれはまさに麻薬である、言葉の麻薬。

3位
シン・シティ 2005年

ジョシュ・ハートネットってさ、最近あんまり観ないけれども、一番かっこいいと思ってる。

これも一部タランティーノが関わっている。ああ、私はタランティーノが大好きなのだなぁと思う。そういう映画ファンは、多分世界に1000万人はいるだろう。今作では、ベニチオ・デル・トロとクライブ・オーウェンの車でのやりとりのシーンを監督している。
さて、『シン・シティ』を観た時、私はシンプルに、面白すぎるだろ!と思ったものだ。そして、同時に映像である。あれを紙芝居的だと揶揄するのは結構だが、キネマは紙芝居である。その紙芝居を極めている。
モノクロームの紙芝居、作り物。だからこそ、私はその世界に強烈に惹かれたし、愛した。

2位
ブレードランナー 1982年

このフランク・ロイド・ライトのエニスハウスの部屋がまたいいやねぇ〜。

無論、ファイナルカット派である。
今作は説明不要の傑作SFだが、私にとり、ルトガー・ハウアーという、少年レプリカント(魂が)の彷徨という骨子が堪らなく刺さった。
後半のブラッドベリビルの鬼ごっこからエンディングまで、一分の隙もない。
映画は総合芸術だと言われるが、これは音楽、映像、美術、演技、照明、全てが藝術だろう。恐るべき完成度であり、ネタにされる箇所はあれど(誰かなんか落としてったぜ的な)、然し、それはまさに瑕疵に過ぎない。
あの2019年は、たしかに存在した未来である。

1位
ブレードランナー2049 2017年

「ちがう、、そうじゃない」と言っている(嘘)

前作超えするはずはないと思っていたが、超えてきた。

無論、恐らく7割の人は前作を推すだろうが、前作の魂をここまで継承し、かつ美しい童話に仕立てるなど誰が想像できただろうか。
この、Kと呼ばれる主人公の旅路の切なさは問答無用で心に迫ってくる。
今作も、前作も、全て少年の魂の物語であり、Kは優しすぎる。その優しさに涙を誘われる。
ヴァンゲリスのスコアも素晴らしい。素晴らしいが、私は今作のスコアをこそ推すものである。

と、いう感じで、案外普通の感じである。

『ブルーバレンタイン』、『暗殺の森』、『もののけ姫』、『ラストタンゴ・イン・パリ』、『レザボア・ドッグス』、『明日、君がいない』、『かぐや姫の物語』、『キング・オブ・コメディ』、『ファーストマン』、『トゥモロー・ワールド』、『ノスタルジア』、『竜馬暗殺』、『インセプション』など、好きな映画はたくさんあったけど、今の所こんなところであり、これの順番がくるくると入れ替わりをしながら、たまに他の映画が入ってくる、という感じだ。

なお、OVAは除外した(2本、大好きなOVAがある)。

そして、ベスト10、ベスト1は図らずもスコアはハンス・ジマーで、これもまた円環になってくれた。




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