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三島由紀夫の蔵書


最近購入した古本に、三島由紀夫の旧蔵の『少年愛の美学』がある。
三島由紀夫とも縁の深い三茶書房さんで購入したものである。

こちらの古書店は三島由紀夫の蔵書をたくさん取り扱っておられる。
購入した『少年愛の美学』は1968年刊行の徳間書店版で、装丁がシンプルだが美しい。
こちらは三島由紀夫旧蔵とはいえ、特に書き込みや平岡マークなどがなかった。三島由紀夫の所蔵していた本には、平岡公威の本だよという自作マークが捺されているものも多い。
今回の『少年愛の美学』においては、古書だが相当にキレイな状態だったので、新品で買ってそのまま本棚に差したままのものなのだろうか。スリップもそのままである。

然し、三島由紀夫の所蔵していた『少年愛の美学』であるからこそ、この本には非常に価値があるように思える。
今書いているエッセイが、三島由紀夫と稲垣足穂に関してを書いているので、その参考にもさせてもらった。

最近、新刊本では、南陀楼綾繁なんだろうあやしげ氏の『古本マニア採集帖』を購入した。

私は南陀楼綾繁なんだろうあやしげ氏の本が大好きである。今作は、氏が出会った取材したりした古本マニアの人々をそれぞれ数ページづつ紹介する本である。
この書籍で紹介される人に、一般的に有名な人はいない。市井の人々ばかりだが、然し、それぞれの人生に本にまつわるドラマがあり、夢があり、古本に対しての性癖があり、大変に面白い。
古本という媒体に対しても、それぞれに多様な接し方がある。例えば、世の中にはコミックを買ったときに挟まっているミニ冊子などを蒐めている人などもいるし、それは文庫に挟まっているものであったり、普通は芥とされるものも蒐集の対象になることがある。
同じ古本でも、少しでもきれいなものや、帯付きのものが発見されれば購入したり、版毎の違いを楽しみ人もいるし、
この本でも登場した人の中に、図書館の除籍本(図書館所蔵だったもの)をわざわざ蒐めている人もいて、驚愕を覚えた。

他にも、地下本コレクターなどの話も面白い。やはり、ネットの記事よりも、実際に本を蒐めて読んできた人間の話には強度がある。
何よりも、価値観の違いというものが読めて楽しい本である。それぞれ5〜6ページの内容なので、すぐに読めるため、ぜひともオススメの1冊でございます。

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