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読書パトロール23 うたわない女はいない、そうだ。

『うたわない女はいない』という、決めつけも甚だしい書名の本を手に取る。短歌の本であり、様々な職業の女性の歌人たちが詠んでいる。

日常や仕事の様々なことの歌を集めたこの本は非常に読みやすい。短歌、俳句、詩、というものは結局は最終的には心情であるから。

結局は孤独である。人間は孤独だと芸術と宗教に走る。それはしょうがない。だって寄る辺ないのだから。
孤独ではない人間はいない。美しいものがより輝くのは、その鑑賞者の目が孤独の時である。それは思索の時間であり、誰かと笑い合うときには、美とはなかなか向き合えないものなのだ。
然し、孤独が最先端まで行き着くと、そこには芸術の介在する余地はなくなる。人は、本当に地獄にいるときは芸術では救えないのだ。それは道楽者の玩具でしかないから。

と、まぁ、意味不明のことを書いているかとは思うが、まぁ、気にしないで頂ければ幸いだ。

で、私は今年の春頃に出たっぽいブックオフの本を見つける。

これはパラパラと中身を捲ったが、なんとも面白そうで、買おうかにゃーなんて思うが我慢我慢。なんと1,980円もする。ブックオフのような新古書店に関しての本を新刊で買うことに何故か妙な歪みを感じる。
然し、この本の中に、全国700店舗以上のブックオフの8割を周った猛者のインタビューもあって読み応えがある。その人は、青、赤、黄色(最近は青とオレンジになったと書いていた)のコーポレートカラーがあればどんな居抜きでもブックオフになり、それはトリコロールならぬブッコロール(だったかな)と書いていて、うーん、面白いことを書く人がいるなぁと感じた次第。

それから文学コーナーにはこんな新刊が。

またこの手の本か……とばかりに手に取ると、やはりまたどメジャー連中のエピソードばかりである。もうええて、ホンマに。もう漱石も、太宰も、芥川も、そういうのはええねんと、私はそっとこの本を棚に差し戻す。
映画監督なら毎回スピルバーグ、キャメロン、バートン、とかそんな感じなわけで、誰やねん、このひと、っていうくらいの人のエピソードを散りばめてほしいが、まぁ誰も買わないかな。
結局、人は金を出す時は損をしたくないから、なるべく調べて、自分の識っている情報にプラスアルファできる、その程度のものに金を使うのだという。
私は最近ガチャガチャをよくするが、本もガチャガチャにするべきである。
1,000円入れたらランダムで出るとかで、そういう感じの(まぁもうあるんだろうが)遊びで、どうでもいい本を期せずして購入し、読む。そういうのがいいのではないだろうか。

で、映画本コーナーを眺めながら、お、四方田犬彦&パゾリーニ、ということで、この大著をパラパラと捲る。

ど直球なタイトルだ。パゾリーニ。
これはもう1年も前に発売されている本であるが、13,200円もする。とにかく分厚い。とんでもなく。
そしてパゾリーニ。パゾリーニといえば『ソドムの市』であり少年愛であるが、まぁ、芸術家である。
その芸術家の本をこれだけの文字数で濃厚に濃厚に濃厚に書いたこの本、私にはとても手に負えない。
パゾリーニといえば、その殺されちゃった最後であったり、『ソドムの市』ばかり話題に出るが、詩人でもあり、小説家でもある。すごいすごい人なのである(適当)。

私はパゾリーニの作品をあんまり見たことがない。だって、『ソドムの市』とかスカトロジーとか出てくるし、ひどい話なんだもの。でも、『アラビアン・ナイト』はぜひ観てみたいと思っていて、ただ、DVDを買うか迷い、ええい、ままよ!とポチろうと思うたびにやめている。それの繰り返し。

私は、いつもアラビアン・ナイト、千一夜物語(これを超える美しいタイトルはそうはないね)を思う時、谷崎潤一郎がひょっこりはんの如くに顔を出す。谷崎はアラビアン・ナイトの挿絵付きの海外の本を取り寄せて、エロいページをムフフ♡と読んでいたらしい。中学生かよ、と思うところだが、アラビアン・ナイトが文豪たちに与えた影響とは甚大なものなのである。
なので、文豪たちの悪口本とかよりも、アラビアン・ナイトと文豪の作品をまとめた本とか読みたいところである。まぁ、売れないだろうが。
然し、パゾリーニってマイケル・ファスベンダーに似てるよな、ファスベンダー主演で伝記映画でも作ってくれないかな。

え、ファスベンダーそっくりだよ。


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