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闇堕ち要注意

👇2020/11/11読了

ボーダー(境界性パーソナリティ障がい)の娘を持つ父親視点での物語。

最近、自分が境界性パーソナリティ障がいなのではないか、と思い至り、調べ漁ってる中で見つけた1冊。

この著者の経歴に際立つものを感じたのも購入の決め手となった。
日雇い労働をしながら浅草の漫画喫茶で執筆を続け、授賞しデビューした人物。

興味を持って、入院中(現在アルコール依存症治療のため精神科病棟に入院中)の読書に、とAmazonで中古で購入した。

結果的には、病気・症状の描写よりも、父親の半生についての物語がメインなので、境界性パーソナリティ障がいがどのように描かれているかを読むのが目的だった私には、ちょっと満足度は低かった。

ボダ子というタイトルは、引きかな…と思った。

それか、他にも似たテイストの作品(東日本大地震後の復興事業を巡る裏金や裏事情を扱うもの)があるからちょっと毛色を変えて見せるための細工かなぁ、とかも思った。
だけど、境界性パーソナリティ障がいのことを知りたくて読むならもっと他の医師が書いた専門書等の方がよっぽど役立つし、害がない。
痛々しいもの、生々しいものに比較的耐性があったり、そういう描写も込みで病気のことを知りたい場合は良いのかも。
でも病気の怖さ・恐ろしさは、
新書等の実用書で淡々と語られる症例よりも、インパクトが強いこの小説を読んだ方が私にはよりダイレクトに感じられた。
どれほど恐ろしい病気なのかということも…

病気の描写が思っていたよりも少なかったのはともかく、内容は胸糞過ぎて、闇堕ちするから、HSPとか敏感さんは、読むの注意した方が良いと思う。

私はかなり敏感で、闇金ウシジマくんとかも、読むと病んじゃうタイプなんだけど、
知的好奇心に勝てずに読んでしまって、案の定かなり堕ちた。。。
睡眠に影響して眠れなくなったり、抑鬱感がしばらく晴れず頓服が必要だった。

読むと厭世観が強まる小説。

そういう、いかにも闇堕ちしそうなものでも、そういった事実があるならば、社会勉強として警戒心を高めるためにも知っておきたい、と思ってしまって、読んでしまう。
この作品も、あらかじめいくつか読んだレビューでは「胸糞である」「最悪の読後感」ということは書かれていたけど、その時点では「だったら尚のこと、自分できちんと読んで感想を持ちたい」と思った。

女性を性的に痛めつけるシーンが結構多くて、読んでいてしんどかった。
「性行為の描写」に抵抗はないタイプだけど、「性暴力の描写」にしかなっていなくて、読んでいてしんどいものがあった。

痛みがすごく入ってきて。。。
それ以外にも暴力シーンや身の毛もよだつようなバイオレンス描写は多め。

主人公の娘のボダ子も、境界性パーソナリティ障がいを患っている人は極端に性的なハードルが低くなる場合があるということを周りの男たちに利用されていて、読んでいて辛いものがあった。完全に、性奴隷にされている…
そして、主人公に対してはこのレベルで子どもを持つ大人なんて糞過ぎるな…
毒親も良いとこだな…と思った。
ボダ子の父親も母親も、むしろこの2人が何らかの精神疾患でしょ…諸悪の根源でしょ…というくらい、人格が病的。

ベースにある性格が依存性の強い境界性パーソナリティ障がい者の場合、
横暴で暴力的な人物を恋人や伴侶に選び、そのいいなりになって搾取を受け続ける例も珍しくない(境界性パーソナリティ障害 岡田尊司 より引用)と言われているけど、
まさにその実例を痛々しさ生々しさを持って見せつけられた感じ。
でも、世の中にはこんな事例たくさんあるんだろうなぁ、という強いリアリティも感じた。


内容が内容なだけに、
確かに夢中で読ませる力はある小説ではある。

出てくる登場人物は基本的に全員狂ってる。

文章に関しては、作中からもかなりの読書量が伺えるし純文学を狙っているのはわかるけど、わざと難しい(一般的にはあまり使われない言葉・他にもっと簡単で多くの人に伝わるものがありそうな言葉)を使ってるの?という印象を持ってしまった。
主人公には、「自分の現状を把握できておらず…というか意図的に目を背け続けていることで、最早上っ面に上っ面を塗り重ねた状態で、故に現実に起きていることや起こり得るリスクに対して適切な対策や対応を練ることができていない人物」という印象を持っていて、「見栄っ張り」な印象もある。
それが作者とも重なり、わざと難しい言葉を用いることで虚栄を張っているようにも感じる。
あまり知性を感じなかった。

👇2020/11/12 追記

あと、主人公の「薄幸な女性が好き」という性的嗜好も自分よりも惨めそうで下に見ることのできる相手が良いだけという、私が嫌いなタイプの男性の嗜好性で嫌悪感強めだった。
女性を人として認めていなくて単なる快楽を得るための道具としか考えていないあたり、本当に無理。
私が、絶対自分の人生に入れないように警戒レベルマックスで締め出してるタイプの男性像。
ボダ子が性奴隷にされてることを知って憤慨していたけれど、自分も同じことをやってる…
🌼🌼🌼

わたしが、ウシジマくんを読んで得た教訓がひとつあって「見栄を張る人はコントロールされやすいし、見栄を張るって結構リスキーな性格だなぁ」ってこと。
「見栄は身を滅ぼす」
「見栄を張る」って、現実把握をする能力に欠けているか、もしくは多少薄ら把握できていたとしても、「見栄を張ることで状況が悪化する」という危機管理ができてない。
見栄のせいで、今ならまだ間に合うかもしれない手を打てなかったりする。
それって、恋愛においても、見栄を張って素直にならなかったせいで壊れてしまったり逃してしまったりすることって多いと思うし、
ビジネスにおいても、危機的状況を見栄を張ったせいで回避できなかったりすることもありそう。

で、この本でもまさに「見栄を張る」性格のせいでの失敗だなぁ…って思わされる部分がかなり多くて、同じ教訓を得た。

「自分を高く見積り過ぎないこと」
「自分なんてたかだか人間だということ」
私はそれを大切にしながら、慎重に生きたいと思った。

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