見出し画像

ゲーム開発の外部発注で気を付けることはなんですか?①

こんにちは、サイバーコネクトツーの山岡です。

近年のゲーム開発は各プラットフォームのハイエンド化により制作物量の増大かつ大幅なクォリティアップが求められる為、社内人員だけではまかなえず外部発注を絡めた開発が必要不可欠になっています。

サイバーコネクトツーでも外部発注を行っていないプロジェクトはほぼ無く、パートナー企業様無くしてはゲームの完成は成しえません。

しかし、外部発注ってなかなかうまくいかないことも多くて、しばしばトラブルが発生します

同じパートナー会社様への発注でも、うまく進むプロジェクトとうまく進まないプロジェクトがあったり、開始時はうまくいっていたのに納品間際になって大トラブルになったり。どの開発会社でもあるあるなんじゃないかなと思います。

ゲーム開発の技術やマネジメントの情報は多く目にしますが、ゲーム開発の外部発注に焦点をあてた情報ってなぜかほとんどありません。

そこで、今回はゲーム開発における外部発注を掘り下げてみたいと思います!※情報量が多くなってしまったので記事を①②に分けさせていただきます

■外部発注とは

外部発注とはゲームの一部機能やリソースを切り出し、発注先にプロジェクト全体の計画を達成するために設定した期日に成果物を納品してもらうことです。プロジェクトによってはゲーム全体を外部発注することもあります。

発注元にとっては外部発注がうまくいかないとプロジェクトを予定通り完成させることができないということになりますが、そもそも「なぜ外部発注しないといけないのか?」「内製の方が良いに決まってるじゃん」という声もあるかと思います。20数年前のゲーム開発では完全内製での開発も多かったです。

しかし、現在は1プロジェクトで100名ほどの開発スタッフが稼働し、開発期間も3~5年必要になっています。完全内製だと100名規模の開発会社でも3~5年で1本のゲームしか開発出来ない状態になってしまいます。

CEDEC+KYUSHU2018『外部発注における企業リサーチと クオリティコントロールの秘訣』より

それでは企業経営の資金繰りやスタッフの育成に支障が出てしまい、企業として成長ができません。そういった理由から昨今のゲーム開発では外部発注が必要不可欠なのです。

■発注元と発注先の責任

外部発注では発注する側(発注元)と発注される側(発注先)が必ず存在し、発注元、発注先それぞれに責任が発生します。

発注元:プロジェクトを完成させるための期日や成果物を設定し、必要な決定や判断を行う責任
発注先:発注元の決定、判断にしたがって、期日に成果物を納品する責任

内製と同じように外部発注でも必ず問題が発生します。問題の中には期日や成果物の内容、作業優先など発注元でしか対応、解決できないことも多くあります。なので問題発生時には発注元、発注先の双方が協力して解決にあたることが必要不可欠です。

しかし、トラブル(スケジュール遅延、予算超過など)に発展しやすいケースとして問題解決が一方通行になっていることが多いです。

具体的には
・成果物の変更があったが期日が変更されず納品が間に合わない
・発注時の内容が曖昧なまま進行し、納品時に具体的なフィードバックが発生
・作業見積りがすり合わないまま作業が進行し予算超過が発生
など。

発注元にはプロジェクトを完成させるために必要な決定や判断を行う責任があります。発注元も問題の原因を把握し共に問題解決にあたることと期日や成果物の見直し、制作体制やボトルネックの改善など発注元でしか対応、判断できないこと、できることも多くあることを理解することが重要です。

■問題の積み重ねがトラブルに発展する

外部発注のトラブルは小さな問題が積み重なってリカバリーが難しい状態になってから表面化することが多いです。当たり前ですがトラブルを防止するには問題が小さいうちに対処することが一番の近道です。

そのためには問題を発見しやすく、かつ早期に対応できる体制作りやワークフローが必要不可欠です。以下に外部発注時のフェーズごとに押さえておくポイントをまとめてみました。

外部発注で押さえておくポイント

▼発注前
●マイルストーン、成果物設定は発注元が明確にした上で発注先と協議する
●双方のチェックフロー、責任者を明確にする
●予算内で対応するフィードバック範囲を決める

▼進捗管理
●双方の進捗状況を見える化する
●成果物チェックを曖昧にしない
●スケジュールや作業内容を頻繁に変更しない

▼コミュニケーション
●方針の決定や重要な連絡は個別連絡せずオープンな場で行う
●双方参加の定例ミーティングは必ず実施し進捗を確認しあう

▼問題発生時
●問題発生時には双方で取れる対応を最大限行う
●期日や成果物に影響がある場合は、会社間で協議の上、決定する
●クレームは事実を正確に把握し会社間で協議の上、対応する

上記は問題を早期発見し問題が小さいうちに対応するポイントの一例になります。それぞれの詳細については次回の記事で説明したいと思います。

■まとめ

ゲーム開発では外部発注が必要不可欠だからこそ「発注側の責任」も重要です。発注先だけでなく発注側にも落ち度はないか、改善する方法が無いかを常に考え対応することが外部発注の成功につながります。

サイバーコネクトツーでは協力いただいている企業様はすべて共に闘うパートナーであると考えています。ともに素晴らしい作品を作り上げ、大変だったけど一緒に仕事ができてよかったと言っていただけることがなによりもうれしいです!

最後までお読みいただきありがとうございました!

サイバーコネクトツー 執行役員
山岡 寛典