見出し画像

「医療Newsを読み解く」手術中の火災について考える。

どうも、MEです。
4月2日にロシアの極東病院で心臓外科手術の最中に火災が発生したというニュースについてです。

火災が起きたのは、ロシア極東の都市ブラゴベシチェンスク(Blagoveshchensk)にある病院で、心臓外科手術の最中に火災が発生しました。
消防隊員らが建物の外から消火に当たるなか、煙が充満する建物から患者60人が避難し、病院の1階では医師8人が手術を続けたようです。
ロシア非常事態省のアムール(Amur)地域支所によると、独立した電線で手術室に電力を供給し、室内に煙が広がるのを消防隊員らが阻止したとのことでした。
手術後、患者は燃える建物から別の病院に移送された。

火事の原因は電気系統のトラブルとのことでしたが、犠牲者が出なかったことはなによりです。

調べてみると、海外の病院での火災がちょくちょく起きているようです。

<病院での火災事故>
・2020年5月12日
ロシア第2の都市サンクトペテルブルク(St. Petersburg)にある聖ゲオルギー(Saint George)病院の6階部分で発生。集中治療室で使われていた人工呼吸器のうちの1台がショートしたことが出火原因とみられ、新型コロナウイルス感染症の患者5人が死亡した。
・2019年12月22日
ルーマニア国内の病院で22日に行われた膵臓(すいぞう)がんの女性(66)の手術中に、電気メスの火花がアルコール系消毒剤に引火して患者の体は爆発的に燃焼。看護師が女性の体にバケツで水をかけ、火が燃え広がるのを防いだが、体の40%にやけどを負って死亡した。
・2018年4月5日
トルコのイスタンブール(Istanbul)の病院で5日、大規模な火災が発生。病院の屋根で発生した後、建物の側面を焼き尽くたしたが、出火原因は不明である。一部の患者が煙の影響を受けた可能性はあるが、死傷者は報告されていない。

さて、仮に日本の病院で火災が起きたらどうするのだろうか。

2016年4月に東京医科大学病院で手術中に患者に掛けられていたドレープに火が付き、患者が熱傷を負う事故が発生している。
外部調査委員会による報告書では、「可燃性の腸内ガス」が最も可能性の高い出火原因とのことであった。腸内ガスが膣内に入り込んで術野付近が腸内ガス環境になり、レーザー照射をきっかけにガスに着火して、最終的には患者の臀部下に敷いていたドレープへ火が付いたものと考えられる。腸内ガスへの着火は明るい照明下では確認が困難で、燃焼音も聞こえない可能性が高いという。

この事故を踏まえて、東京医科大学病院は以下のように対応している。
・手術室での火災が発生した場合に特化した「初期対応マニュアル」を作成
・手術室で使用可能な水消火器を各オペ室に設置
・水消火器の使用に習熟すべく、2回の訓練を実施した。

2017年に関西労災病院で病院火災が発生している。天井のクーラーから煙が発生し、火災報知機が発報した。しかし、「火災報知器によるアナウンスがあった際、多くの部署が『誤報』と勘違いしたことが後に判明した」と報告されている。

この事故を踏まえて、以下の事が必要だと述べている。
(1)排煙設備や防煙壁など、院内の消防用設備の確認が必要であること
(2)延焼拡大を遅延させるために火災区画を形成して避難時間を確保すること(3)水平避難や籠城避難という避難方法の訓練を含め、職員に対して教育を行うこと

これらのニュースから、病院として「初期対応マニュアル」を策定することが最も重要である。そして、マニュアル通りに動けるようになることも重要な要素であり、作って終わりでなく、教育をセットで行うことが必要となる。
また、手術室では水消火器や二酸化炭素消火器の使用も検討していかなければならない。

手術室のみならず、病院で火災が発生することはゼロではない。
そのため、日頃から入念な準備をして、火災発生時に適切な対応ができるようにしておきたい。

<参考>
https://news.livedoor.com/article/detail/19963371/
https://www.afpbb.com/articles/-/3282733?cx_reffer=livedoornews&utm_source=livedoornews&utm_medium=news&utm_campaign=txt_link_0403_r1
https://www.afpbb.com/articles/-/3170205?pid=19999505
https://www.afpbb.com/articles/-/3261752?cx_reffer=livedoornews&utm_source=livedoornews&utm_medium=news&utm_campaign=txt_link_0403_r3
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/201610/548835.html?ref=RL2
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t248/201509/543748.html?ref=RL2


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?