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山口絵里子さん/「サードウェイー第3の道の作り方ー」を読んで、大手メーカー1社員の私が思うこと。

1.山口さん、MOTHERHOUSEとの出会い

・初めに、山口さんのプロフィールを、一ファンとして、ご紹介。本に関係するご本人のNOTEと共に。(お会いしたこともないのに恐縮ですが)


・「途上国から世界に通用するブランドを作る」
というミッションを掲げ、バングラデシュを初めとする国々に自社工場や工房を作り、現地の職人の伝統的な技法や素材を生かし、魅力的なプロダクト(バッグ、ストール、ジュエリー等)を世界各地へ届ける「MOTHERHOUSE」を作り上げた起業家でありチーフデザイナー。

・私が山口さんを知ったのは、今から10年以上前。何かの雑誌かメディアで山口さんの起業ストーリーを見て感銘を受けた高校生の私に、母が「MOTHERHOUSE」のショルダーバックをプレゼントしてくれた。同社の最初の地であるバングラデシュの工場にて、ジュートという素材で作られた、シンプルで使い勝手の良いバック。
・それは私のお気に入りとなり、大学入学後、人生初めての海外=ベトナムへ約2週間出掛けた時も、タイ旅行、欧州留学の際も・・旅ではいつも、その軽さと機能性、現地になじむ素材感から、重宝していた(見る度に、憧れの山口さんエピソードが浮かび、バングラデシュの地を想像できるのも、理由の一つだ)。
・いつも、重たい書き込みだらけの「地球の歩き方」やデジタルカメラを入れて、愛用・酷使していたので、使い初めて7年目に、とうとう肩紐が壊れてしまった。社会人4年目のドイツ旅行の前に、慌てて、MOTHERHOUSEに向かい、後継のカバンを購入しました。ジュート素材は見当たらず、皮素材の軽い斜め掛けのバック。特に、洋服やカバンに興味がなかった私にとって、初めての特別な思い入れのあるブランドとなった。

2.「サードウェイー第3の道の作り方ー」について

・そんな山口さんの本をなんと、先日、北欧風の銭湯の飾り棚で見つけたのです!!銭湯のリラクゼーションスペースで、食い入るように読みました。(もちろん、Amazonでも購入)

◆Amazonリンク

◆MOTHERHOUSEホームページ

・以下、本の中身を、自分なりに紹介させて頂く。
→サードウェイとは、ある2つの項目やアイデアが対立した時に、妥協して折衷案を取るのではなく、考えて考えて対話を重ねて、もとのアイデアよりも、より素晴らしい第3の案(新しい道)を導き出す思考法のこと。一見「そんなことできるの?」と、不可能に思えるが、筆者は仕事の中でいつも、サードウェイを実践しており、エピソードやその中で分かった気づきや学びが、この本に惜しみなく書かれていて、読むと、とことん考え抜かれたアイデアや行動に感銘を受ける。起業を考えている人だけではなく、どんな仕事をしている人も刺激やエネルギー、新しい視点をもらえる本。

---------目次------------
1章 社会性とビジネスのサードウェイ
2章 デザインと経営のサードウェイ
3章 個人と組織のサードウェイ
4章 大量生産と手仕事のサードウェイ
5章 グローバルとローカルのサードウェイ

3.大手素材メーカーで働く私が思ったこと

・ここからは個人的な気づきを書きたい。
・一番心に響いたのは、

①モノづくりの中で発生するコストがババ抜きの「ババ」のように、押し付けあう商売になっていないか?取引に関わるプレイヤーの中で誰かが涙をのんでいないか?、②作り手と使い手が同時に幸せになる仕組みは作れる、③お客様の反応が工場や工房のスタッフにも伝わり、生産側の内情もお客様に透明性をもって伝える

という箇所。
・私は、もともと、日本の力の源である「ものづくり、産業」を幅広く、根底から支えることができる素材メーカーで働きたいと思い、入社した。
・ところが、組織が大きすぎて、お客様の顔やどのように使われているかが、分業の進んだ工場の現場には全く伝わらず、結果として、工場は常に不信感を持ち、生産側の都合ばかり優先しようとする。営業はお客様と一緒に新しい用途の開発や課題解決を行っていくのが本来の仕事だが、日々上がる生産コスト(=山口さんの言葉を借りると「ババ」)をお客様に転嫁することに必死になる毎日。もともとの「日本のものづくりを支える」という実感は全くなく、「何のために働いているのだろう?」という思いが強くなり、苦しかった。
・しかし、この本を読み、改めて、お客様とお互いのことを理解しあい、素材メーカーVS最終品メーカーという二項対立を超えて、何が互いの付加価値なのか、工場ではどんな頑張りをしているのか、価値を最大化するためにはどうすればいいのか、粘り強く対話を続けて、コストの押し付け合い以外で、「Third Way」を見つけて頑張ってみようという気持ちが生まれた。建設的な話し合いができない関係、組織であれば、会社を去るしかないが、まずは、今の環境で「Third Way」を探していこうと。素材によってもたらすことができる付加価値は本来はもっと沢山あるはずだ。(山口さんのジュートや皮のように…)
・一方で、もっとお客様と製造が近い(=小さな組織)会社で、自分の力で多様な人や国の魅力をひきだし、WinWinの関係を作れるようなビジネスに関わりたいという気持ちもふつふつと沸きあがり、鼓動を抑えるのが難しい。どのように折り合いをつけていけばいいか分からないが・・まずは、今の仕事の中で、ThirdWayの視点を忘れず、頑張る。

4.終わりに

・途中、同じモノづくりに携わる身としての個人的な気づきを入れてしまったが、「今の仕事にもやもやしている」、「途上国への貢献に関心がある」、「自分が何をやりたいか分からない」、「人生における仕事の意味合いや目的が見い出せない」と言った悩みや関心がある人に響く本だと思う。
ぜひ1度、手に取って見て頂きたい。

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