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失恋の春

この春、私はあまりに残酷な失恋・別れを経験し、
それをなんとか克服した。
正直、今の自分の年齢で恋と呼べる出会いがあるということ自体が
奇跡だと思っていたのだが、結局、薄紅色の桜は蕾のまま
硬いガラスの花となり、無残に砕け散る結果となってしまった。

そこで、昨日の記事の続編みたいな形になるかもしれないが、この失恋を乗り越える渦中で私が何度も聴いた「お別れソング」をご紹介したい。


春なのに 柏原芳恵

作詞・作曲:中島みゆき

この歌は卒業シーズンの定番曲だが、私はいつもこの歌に「薄ピンク」の色彩を感じ取る。
それは春のイメージカラーであり、卒業・入学・入社など、人々の暮らしの節目を象徴する「桜」の花の色。
失恋した時にこの歌を聴くと、せつない別れのシーンが淡い薄ピンクの色彩を纏い、甘く優しく脳内に広がって癒してくれる(ような感覚がする)。

また、タイトルでもある「春なのに」は、全体の詞の中で最も複雑な感情を纏ったフレーズ。
ひたすら明るく晴れやかな気持ちで迎えたい「春」であるはずなのに、さまざまな理由で「別れ」を余儀なくされる。
そのことへの無念さ、悔しさ、寂しさ、焦燥感、、、
ともかく名状しがたい思いが凝縮されている。

しかしその暗鬱なムードを、ほのかに暖かい春風のようなメロディーがうまく中和している。
色んな想いを前へ、前へ、と流してくれるし、どんなにつらくとも時計の針は止まらないのだから、時間が解決してくれることもあるんだよ、と思わせてくれる。
だから、この歌を聴くとつらい別れへの執着心も自然と剥がれ落ち、
別の道に進んでみよう、という感覚になれる。
私にとっては過去、傷ついた心を素早く手当てしたい時に聴く、お薬代わり的な一曲だったと言えるかもしれない。


あばよ 研ナオコ

作詞・作曲:中島みゆき

この歌もやはり私にとっては、深く傷ついた心の応急処置として聴く一曲。
昔、転んで膝を傷つけた時、母が「痛いの、痛いの、飛んでいけ!!」
と言ってくれた、あのおまじないを想起させるのが、この歌の
『泣かないで 泣かないで 私の恋心』という歌の主人公のセリフである。
失恋によって傷ついた自分の心の中にはもう一人の気丈な自分がいて、その「もう一人の私」が励まし、寄り添ってくれる。

このことに気づかせてくれる詞を書いてくださった中島みゆきさんの才能にも惚れ惚れとするし、この歌の作品としての完成度の高さに耳と心を奪われているうちに、失恋の痛みを暫し忘れることができる。
つまり、人との別れに傷ついた時に聴くと「ダブルでお得」な歌なのだ。


ひとり上手

作詞・作曲:中島みゆき

さて、この歌は前の二曲とは違って、自分のネガティブな気持ちをしっかり言語化したい時に聴く一曲。
傷ついた心を自分で手当てするには、明るく前を向ける歌だけでなく、自責感情や他責感情を自覚するための歌の世界にも触れておくほうが、後々全ての想念をより良い方向に導いてくことができる(あくまで私の場合)。

この歌の主人公のように「ひとりはキラい」だと感じて寂しさを味わったり、「私を置いてゆかないで」とダダをこね、弱い女になるのもいいではないか。
色んな感情が次から次へと溢れてきて、自分で自分を持て余しそうな時間があったっていいじゃないか。人間だもの(笑)

弱くて脆い自分を認められず、つらい現実から目を背け、なにかの依存症になってしまうぐらいなら、しっかり悲しい歌の世界に身を沈めてとことん涙を流す。
それも立派な心の癒しに繋がるはずだ。


抱きしめて(愛は夢のように) 五輪真弓

作詞・作曲:五輪真弓

ここまで中島みゆき作品を紹介したが、五輪真弓さんが描く歌の世界も、
やはりつらい別れのシーンが多い。
その中でもこの歌は、今回の私の失恋シーンに最も寄り添う内容といえるかもしれない。

ただし、お別れした相手に対して「別れる前に抱きしめて」と言えるような関係にはなれなかった。
お互いに素直な話し合いができなかったのだ。

しかし、そうなれなかったことに全く後悔は残っていない。
すがすがしいほどに。
もしなんらかの未練や後悔が今も残っていたら、おそらくこの歌はまだ
つら過ぎて聴けないと思う。
別れが訪れる直前はとても嫌な予感がして、「ひとりになりたくない」
という気持ちが襲ってきたりもしたが、むしろその相手と別れたことによって、私のことをいつも大事に思ってくれている友人たち(男女問わず)の
有難さを再確認することができた。
友人たちのおかげで、別れたほうがいい相手だと気づかされたからだ。

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