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「桜宵」読了

「桜宵」北森鴻著(講談社文庫)

このミステリー短編集は、短編が5編収録されているが、どれもビアバー「香菜里屋」の店主と、そこに来る客との会話で成り立っている。
「香菜里屋」の店主の工藤は、なかなかの勘の持ち主で、お客さんの話や様子から、名推理をする。しかし、警察に協力して事件を解決する類のミステリーではなく、洒落たバーの中で推理は完結する。

私は、この短編集を読んで「大人っぽいな」と思った。実は私は「バー」という場所には片手で数えられるくらいしか行ったことがなく、その相手は主に主人だ。
旅先で、ホテルのバーで甘くてかわいいカクテルを一杯だけ飲み、ジャズの生演奏を聴きながら、たった一日の非日常を楽しんでいた。

だから、行きつけのバーはないし、常連さんでもない。バーで出される美味しい料理って、どんな感じなのだろう…そんな事を想像させられた。
料理に舌鼓を打ちながら、時にはほっこり、時には深刻に、常連さんたちと「名推理」をしてみたい。そんな、大人な空間、いいな。

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