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父性って何だろう

チャイルドケア・オンラインサロン<ChildcareHOUSE>から、チャイルドケア講座を監修されている松本安彦先生の新着記事をご紹介いたします(*´▽`*)☆

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~チャイルドケア講座監修 松本安彦先生~
自然療法治療室 松本鍼灸接骨院院長(東京・大田区)柔道整復師/鍼灸師/あん摩マッサージ指圧師/介護支援専門員

松本安彦先生

■父性って何だろう

子どもができると、女性は母に、そして男性は父になります。そして、育児書関連の本を読むと「母性」という言葉は多くみるけれど、「父性」という文字はそれに比べるとかなり少ないでしょう。

一般的に「母性」と「父性」というと、それは「母親らしさ」「父親らしさ」と示すものと勘違いされていますが、そうではありません(定義もあいまいで、諸説あります)。

最近はジェンダーレスについて話題になることも多いですが、女性だから、男性だからと考える時点で、論点からズレてしまうのかもしれません。昭和から平成、令和となり、父親、母親の立場は大きく変わりました。

その昔(昭和はもう昔という表現になりますね)の男性片働き時代から共稼ぎ世帯が大きく上回り、夫婦や男女の関係性も変わり、ここ数十年で子どもを生み育てるということも大きく変わりました。生活も、仕事も、育児も、生き方も多様性のある時代。保守的な「母性」「父性」の思考では、混乱します。

子育てで悩まれている人には「私は母性が少ないから」という人もいるし、「シングルマザーでは、父性はどうしたらいいんですか?」などと母性と父性を言葉尻でとらえて悩んでいることもあるようです。 
 

■親性と養護性


東洋医学の陰陽と同じで、ひとりの人の中に陰陽があるように、ひとりの人に母性も父性も備わっていると考えます。  
                    
母親にも父性があり、父親にも母性があります。女性だから、男性だからという考えは今の時代問うことではなく、一人ひとりが、バランスよく子育てをとらえることであり、役割分担しながら、とらえていくことだと思います。

父性・母性の二元的なものではなく親性、養護性という考え方があります。親性とは、「母性と父性を統合した性質で、親がこどもを養い育てようとする性質」のことをいい、養護性とは、老若男女を問わず、「弱いものを慈しみ育む、やさしい心の働き」のことを言います。

この二つは子育てに必要な思考です。もちろん子育てだけではなく、陰陽と同じですべてにおいてこのバランスは大事なことです。大切なのは夫婦で様々なことを共有し、夫婦それぞれが時に応じて父性・母性の役割を果たすことだと思います。

■父性を共有する機会が少ない


 話は少し変わりますが、母親はいろいろな集まりがあって、いわゆる子育てを共有する場が多いので、子育てに対する考え方や方向性にまとまりができます。それに比べ父親は、父親同士が集まって、子育ての考えや方向性に対して共有する機会もありません。

最近は、同じ学校で、地域で、同じアパートやマンションで父親の有志が音頭をとって「お父さんの会」「おやじの会」などと集まりを作って活動されているところもありますが、それも一部です。

僕自身は土日が仕事で平日休みにしているため、そういう集まりがあっても参加はできませんでした。だから、「父親たるものは」など大きな声を出していえることはやったことがありません。

運動会の父親参加の徒競走さえも、知り合いにお願いして走ってもらいました。だから、他のお父さんたちと話す機会もないし、周りのお父さんが何をされているのかも知りません。そういう意味では子育て中の「お父さん」が出番の場所には出向く機会は少なかったと思います。

だからといって、父親としての役割が果たせていないわけではありません。子どものフォローをどうするかを夫婦で考え、他者の力を借りながら、楽しいひと時を作ってきました。普通のお父さんはこうだ・・・とか、そういう一般論は、我が家にはなく、我が家のスタイルを子どもとともに作ってきました。時に子どもたちからは「うちって変わってるよね?」など言われることもありました。

それが嫌なのかと尋ねると、「ううん、うちはこれでいい」という返事でした。子育ての「フツー(普通)」とは一体何なのか、その漠然とした「フツー」を求めると、その尺度を求めてしまい、誰かと比べてしまうことで悩まれることもあるのでしょう。夫婦と子供の関係性の中で、納得していればどんな形もそれがその家庭でいちばん良い形だと思います。


■子育ては夫婦、家族で共有、共感、協力すること

 家族の形態もいろいろ変わってきました。ひとり親家庭も増え、一人で母親と父親の両方の役割を担わなければならない親も増えていますが、一人の人間がすべて背負って子どもを育てることには限界があります。

母性や父性を家族以外に頼ることも必要です。核家族を経て、今は多世帯で協力して子育てをするという地域や環境もあるようで、これは素晴らしいなと思います。血族関係だけではなく、皆で子育てや介護をしていくという新たな取り組みですが、昔のように地域で子どもを見守っていたことが、また見直されているんですね。

実はチャイルドケアでも「お父さんの会」のようなものがあれば???などということを考えていた時期もありましたが、男性でも子育てや教育に熱心で様々な活動をされている方がいますから、熱心な方に比べれば足元にも及びません。 

数年前に、行政も父親が子育てに熱心に関わることを勧める「育メン」活動を普及していた時期もありましたが、まだまだ世の父親は、母親に比べて圧倒的に子どもと関わる時間が少ないのが現実で、僕の場合にも育メン項目をみれば、外れることが多く引け目を感じました。逆に、これらの項目に当てはまらなければ育メンではないのかと不満にも感じました。 

要は、子育てにおいて夫婦で話し合いができていて納得していれば、子どもと関わる時間がなくても立派な育メンになれます。何でも形から入ったり、言われたことを鵜呑みにしたり、マニュアル化されたものをすれば良いわけではないですから。 

実際、僕はかなりの人見知りです。妻のようにコミュニケーションが上手なわけではないし、自分から他人の子どもに声をかけることは殆どありません。妻には笑われますが、患者で来られる子どもにも敬語で話しかけているくらいです(子どもたちは、ため口ですが)。ただ、周りを見渡すと男性はまだまだ同じようなレベルだと思います。

でも、こんな大人もいて、助けてほしい時にはいつでも声をかけてきていいから。という感じは伝えています。それが伝わるのか、親に言われたから来るというよりは自主的に来院される子どもが多いです。治療だけではない居心地の良さを感じてくれているようです。
 
父親の育児参加はとても良いことだと思います。コロナ生活で、仕事もリモートワークになり、父親がそばにいる環境になったご家庭も多いでしょう。だからといって、育児に参加できるかというとまた違うと思います。だからやっぱりどの家庭もどの育児もそれぞれのいい塩梅を見つける必要はあるでしょう。
 
父親の育児参加だけが、母親の育児問題を解決するわけではありません。今は、祖父母や叔父叔母という血縁関係だけではなく、ご近所の人やお友達の家族だったりと、いろんな人と関わりを持ちながら、共感できる仲間や知り合いを作っていく時代になってきています。関わるというよりは巻き込みながら、子どもを通して場づくりしていくことが大切かもしれません。
 
今は、直接会わずとも、オンラインでつながることもできるし、家族が叱らずとも、別の大人が諭してくれることもいいと思います。でも、誰かがその子どもをしっかり見ているということを子ども自身がわかっていれば、承認欲求は満たされ、社会に信頼をもって成長することができるでしょう。
僕自身も、おじさんとしては、気の利いた人生の教えができる大人でありたいと思うし、頼られた時に安心できる存在でいたいと思いますが、そのためにもまだまだ人生勉強中です。

子どもたちを多方面から見守りサポートできることが当たり前になれば、当然介護も同じように多方面から見守り、サポートできるようになるはずです。

行政からの支援はありますが、それだけに頼ることなく、一人ひとりが誰かを支える意識をもって、家族という枠を超えて築く、運命共同体のような形になっていくのではないかと思います。そういう形ができるときは、母性も父性も中庸な状態で循環していくのでしょう。

チャイルドケアはそんな次世代のサポートにつながれば良いと思います。


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