今昔変わらない「理想の男性像」
草食系男子という言葉が生まれたのを皮切りに
「男らしさ」
「女らしさ」
このような言葉達は使われること自体が議論の的になるようになった。
男の人がコスメを手にし、女の人が専業主婦でいることは稀になり、
性のあり方が形を変え進化しようとしている中で、
男女という単純な性の境界線はどんどん曖昧になっている。
そんな現代で「女性の憧れの男性像」を表現し続け、多くの女性の心を奪っている場所を最近見つけた。
それは宝塚歌劇である。
近頃幸いなことにご縁があり、公演を立て続けに何度か観るなかで
100年以上続く伝統で研究され尽くされ、組み立てられ、編み込まれた
「理想の男性像」を見た。
決して見た目の煌びやかさだけではない、男と女を研究されつくされて練り上げられたもの。
それに目を輝かせ、自然に笑顔になるさまざまな世代の女性たち。
女の夢を追い求め、夢を研究し、夢を体現し、夢を繋ぐ。
その空間の頂点に立つ男役のスターが演じているのはいつも
ちょっとワルで、でも背中が自信を語っていて、ビッグマウスだけど有言実行であり、自分から女性を愛することを臆さない
そんな男性像だった。
ちょっとワル
宝塚には組み分けがあり、それぞれの組にトップスターがいる。
そのトップは男役で、どの演目でも主役を張るのだが、
いつもちょっとワルなのである。
特にカッコよいなあと感激した宙組の「オーシャンズ11」。
この演目の主人公ダニーは凄腕の泥棒で詐欺師。しかも逮捕されて服役している。その間に最愛の妻であるテスにもしっかり見放され、ちょっとワルで、ダメ男。
(演劇中の写真は撮れないのでポスターだけど、トップの真風さんは本物の男性みたい)
でも背筋はしっかり伸びて背中が自信を語っている
それでもダニーはしっかりと背筋を伸ばし、テスをいつまでも愛していることや、悪党からしか金は盗まないことを高らかに宣言する。
肩を大きく開いて立ち、肩幅ぐらいに足を常に開いて立つことで骨盤の丸みを消しているのがわかる。
手指はときどきポケットに突っ込んだり、出している間も揃えることはない。
背中を見せるときはさらに腕を開いて立ち、背中を更に大きく見せることで自信があることを語っているような印象だった。
ビッグマウスだけど有言実行
背中で語る自信に続いて、言うこともすごく大きいのが宝塚が描く理想の男性像の特徴だ。
「GOD OF STARS-食聖-」という星組の演目の主人公は驚くほどビッグマウスで驚くほど傲慢だった。人のこともけなすし、自信家で、野心も大きい。最初の印象は最悪。
でも仕事にたいする情熱や技術はピカイチで誰にも負けない。他の人が絶対に無理だと言っていることをやってのけると宣言し、見事にモノにしてしまう。
(食聖のトップスターとヒロイン)
一歩引いてしまうほどのビッグマウスで、欠点が大きい主人公がほとんどだが、やるべきところはしっかりと抑えていること。これが、「なんでもできて完璧」なことよりもはるかに重要視されていると気付く。
愛することを臆さない
きっと宝塚歌劇の理想の男性像としてこれは最も重要なポイントになっているのではないかと感じたのが、「愛することを恐れないこと」。
宙組の演目オーシャンズ11のダニーは最愛の妻テスに何度も「嫌い」とか「もう私たちのことは過去のことでしょう」など言われ、離婚届けまで突きつけられる。
それでもずっとテスに愛を告白し、誓い、テスに悪い男が近づくと全力で守ったりする。そこに迷いが一切ない。
ダニーは自分にはテスしか居ないと言い続け、劇中歌では「詐欺師としてたくさんの嘘をついても、君を愛する日々に偽りはない」と高らかに歌い上げる。
その様子に、テスも根負けするように再び心を開いていく。
相手役の女性が自分をどう思っているか、それにかかわらず、怖がらず、積極的に自分から愛していく気概。
実際の恋愛ではそんなこと難しいのは解っているが、愛を貫き、あんなにも迷いなくまっすぐに愛されてみたいと夢を持つ女の人は多いはずである。
「理想の男性像」を現実で体現する存在
ちょっとワルで、
でも背中が大きく伸びて自信があって
ビッグマウスだけど有言実行で
自分から愛することを臆さない
宝塚が描く「理想の男性像」の共通点を見付けながら、現実世界ではこんな人居ないんだよなぁと考えていると、
ふと、一人だけこの4つを持ち合わせている男性芸能人がいることに気付いた。
それは、このひとである。
そう、このはちゃめちゃなりゅうちぇるである。
彼が表に出たての時の衝撃は大きかった。メイクもして、ファッションも可愛くて、声も高めでしゃべり方も女の子。でも美男子で、恋愛では「女好き」と自分で公言するストレート。
正直、「うわっ・・」と思ったし、上の動画もはちゃめちゃである。
でも、彼を見れば見るほど、知ればしるほど、人間的にもひかれ、彼が秘める男らしさにも気付いた。
こんな風に金髪で、どこでも明るく(ふざけているわけではないのだが)ふざけているように見えるちょこっとのワルさ。
でも、自分のファッションや好きな物を曲げずに身に付け、表現していく自信。
「僕、かわいい」と自分で言うけど本当にいつも可愛いくて、お子さんも奥さんも大事にすると公言しているなか、本当に心から大事にしていたり、
さらに、奥さんのペコちゃんを自分から全力で愛している。
正に、宝塚が描いている理想の男性像に被るところがたくさんあった。
芸能人だから、そう見させられているだけなのかもしれない。実際はどうかはわからないが、りゅうちぇるがずーっと人気なのも確か。
これだけ「性に関することの自由」が急速に表に出る時代でも、人気のある(出る)男性像は変わらない。
そのことに、宝塚からりゅうちぇるにまで考えを馳せているうちに気付いてしまった。
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