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学校にチョコを持っていってはいけない

私が学童保育施設に勤務していたとき、バレンタインデーに出すおやつは、やはりチョコだった。

おやつの時間、ある女の子がチョコをほおばりながら、私に向かって、
「てっぺー先生にチョコをあげたかったけど、学校にチョコ持ってきちゃダメだから、あげられないや」
と、にやにやしながら言ってきた。

そのにやにや顔が何を意味しているのか。
チョコをもらえなくてかわいそう、と茶化しているのか、本当にチョコをあげたくて照れているのか。

すぐに他の話題になり、よくわからないまま片付けの時間になった。
その後、その子はただただ読書に夢中になっていた。
私も掃除やお迎え対応などで、そんな会話はすぐに忘れていた。

お迎えの時間になり、チョコの会話をした子にもお母さんのお迎えが。
そして、私にこそこそと隠れるようにお母さんのバッグから何かを探し出し、「はい、先生!」と。
金と銀の折り紙でラッピングされたチョコを私に。

「学校に持ってきちゃダメだけど、お母さんが持ってくるのはセーフじゃない?」
と、言いながら。

ラッピングを手作りしてくれたこと、ルールの隙間を縫ってでもチョコを渡そうとしてくれたこと、おやつの時間にわざとあのような会話をしてサプライズを生み出してくれたことに感動を覚えた。

あの子のように、人を想って考えを働かせることができる人間でありたい、と、ふと思い出したバレンタインデー。

さあ、また明日からも頑張ります。


てっぺー

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