目立ちたくない。
失敗したくない。
普通がいい。
ほどほどでいい。
平均をちょっと上回るくらいがいい。
人と同じがいい。
多数派でいたい。
集団の中ではみ出したくない。

いつから私、こうなんだっけ。

昔はもっと、向上心とか競争心とやらがあったはず。部活は自主練だって熱心に取り組んだし、試合で負ければ泣くほど悔しかったし、成績を伸ばしたくて勉強頑張って、テストの点数を友達と競い合ったりもしてた。

人から褒められたら素直に嬉しかったし、表彰なんかされたら誇らしい気持ちになったりもした。

でも、今はどうだろう。

何事も無難に、ほどほどに。
悪いことはもちろん、良いことでもなるべく人から注目されたくない。
失敗するのがこわくて、新しいことに挑戦なんてしたいと思えない。
流行に乗ったり行事に全力で取り組むのがなんだか恥ずかしくて、いつも人より一歩引いたところで傍観してる。
人からの評価や好意を素直に受け取れない。
心血注ぎたいと思うほど夢中になれるものも頑張りたいこともなく、なんとなくで毎日を過ごしてる。
人と関わる機会を避けるようになって、友達は減って、大人数で楽しそうに過ごしてる人たちを尻目に孤独感に苛まれてる。

……。

…………。

つ、つまんなすぎる、今の私。

いつから、こんなに卑屈になったのだろう。

いつから、新しいことができるようになる喜びを忘れてしまったのだろう。

いつから、自分や他人を信じられなくなったのだろう。

いつから、こんなにも臆病になってしまったのだろう。

私は今、大学４年生で、卒業論文は必修なわけで。正直、早く終わらせたいなって気持ちで取り組んでいた。

それなのに、卒論が必修じゃない他学部のあの子たちは、自ら卒論を選択し、テーマを考え、研究に向き合い、悩んでは友達同士で励まし合い、意気揚々と研究内容について語ってた。

その姿を見たとき、とてつもなく自分が情けなくなった。

今の私は卒論に限らず、何をするにも早く終わらせたいとか嫌だなぁとか、そんなことしか考えてない。何も楽しもうとしてないし、やらなきゃいけないからイヤイヤやっていることしかない。

何かを全力で楽しめる人が、妥協しないで向き合える人が、自分のやりたいことを見つけてる人が、人との関わりを大切にできている人が、とても生き生きして見えて、すごく羨ましい。

どうして私はこうなんだろう。

どうしてこんなになっちゃったんだろう。

小学生のときの私が今の私を見たら、絶望するだろう。あの時お世話になった先生にも、今の自分なんて見られたくない。
ごめんなさい、こんな大人になっちゃって。

人生楽しくないって嘆いているけど、理想ばかりを高くして、でも結局こわがって逃げて楽な道ばかりを選択して、今の人生を作り上げているのは一体どこの誰なんだろう。

紛れもなく自分だよ。

私は、こんな大人に、こんな人間になりたかったんじゃないはずだ。