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膝関節の解剖学

膝関節の解剖についてお話ししていきます。

関節には様々ありますが、その中でも不安定で怪我しやすい関節です。

おそらくみなさん、前十字靭帯や半月板などの言葉を一度は耳にしたことがあると思います。

これらは膝関節を補強してくれるものになりますが、アスリートがよくこれらを損傷するのには膝関節が不安定な関節であることを物語っています。

なぜ怪我をしてしまうのか、予防うするためにはどうしたら良いのか、解剖学的に見ていきましょう!!




半月板について

大腿骨と脛骨の間にある軟骨です。

膝関節と内・外側にある三日月状の板状の組織です。

衝撃吸収の役割と膝関節を安定させる役割を持ちます。

病院で、膝関節の軟骨がすり減っていると言われる人は半月板が潰れてしまっているというような問題にも繋がってきます。


半月板は内側が大きく、外側が小さい作りになっています。

外側の形はO、内側はCのような形をしています。

半月板

可動性に関しては、外側の方が大きくなっています。

本来は動かないと考えられていましたが、最近の研究では結構可動性を持っていると言われるようになりました。

半月板は大腿骨と脛骨の間にありますが、大腿骨の動きに依存すると言われているので、可動性について考えるときは脛骨ではなく大腿骨を軸に考える方がわかりやすいです。

具体的な動きですが、膝関節の伸展から屈曲の際に両半月板は後方へ動きます。

このときの可動性は、外側は10mm程度で内側は2mm程度と言われています。

ここで一つわかることは、屈曲・伸展時には下腿は内外旋を伴うということです。

右足を例にしていうと、屈曲するとき外側が10mmほど後ろに滑るということは、下腿は外旋を伴っていると言えます。

これについては後ほど詳しくお話ししていきます。


まずは後方に滑るメカニズムについてお話しします。

①大腿骨の内側顆により半月板が後ろに押し出される。
②半膜様筋と膝窩筋腱の付着が外側の方が強く、引っ張られる。


伸展時では反対に前方に押し出されます。

①半月板が前に押し出される。
②半月膝蓋靭帯によって前方へ牽引される。


脛骨回旋時では同側半月板が前方へ移動します。

具体的に説明すると、脛骨の内旋時(下腿内旋時)は相対的に大腿骨は外旋しています。そのため内側半月板が前方に出ます。

ややこしいですが、これを大腿骨軸で考えると大腿骨が外旋するとき、内側半月板が前方に出てくれないと外旋しづらいのがイメージできます。

つまり、脛骨が内旋するときは内側半月板は前に出てくるということがわかります。

脛骨目線でいうと、脛骨の内旋=内側半月板が前方に出てくる。

脛骨の外旋=外側半月板が前方に出てくる。

と覚えても問題ありませんが、基本的に大腿骨の動きに依存するので、大腿骨がどうなりたい時に半月板がどのような動きをするのか、という考え方ができると最高です!!!





スクリューホームムーブメント

先ほどお話ししたように、膝関節の屈曲・伸展時には下腿の内外旋が伴います。

これをスクリューホームムーブメントと言います。

最初にお話したことは、まさしくこのことでした。

膝関節伸展時→大腿内旋・下腿外旋

膝関節屈曲時→大腿外旋・下腿内旋

膝関節の完全伸展時に10〜15度下腿が大腿に対して外旋します。

この状態が一番安定した状態です。

スクリューホームムーブメントが起こる理由としては明らかにはなっていませんが、よく言われることとしては
①大腿骨の内側顆のサイズが大きいため、伸展時にしっかり膝関節をはめ込もうとすると、外旋が伴う。
②外側の方が可動域が大きい。
などがあります。

主に言われるものとしては①が多いです。

個人的にも①が強いのではないかと思っています。


スクリューホームムーブメントが起きることで膝はロックされ、安定性が高い状態になります。

この状態から屈曲するとき、まずはじめに下腿の内旋が起きます。

完全伸展時は下腿が外旋して脛骨とはまっているわけですから、屈曲動作の初めに脛骨が内旋するのは当然です。

この時に使われる筋肉が膝窩筋です。

膝がうまく伸ばせないという方に対して、膝窩筋をリリースしてあげることで改善することもあります。




その他

膝関節には膝蓋上包(上嚢)関節包があります。

膝蓋上包というのは膝蓋骨の裏にあるクッションのようなもので、膝関節屈曲時は中間広筋とともに伸張し、伸展時は緩みます。

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関節包とは関節を包み込む膜のことです。膝蓋上包とは反対に、膝関節を屈曲時は緩み、伸展時は伸張します。

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このように、屈曲・伸展時どちらにおいても弛緩と伸張のバランスを保つことができるため、どの状態においても膝関節を安定させることができます。


これらは膝のリハビリと関係性があります。

膝を怪我した時、膝を伸ばしきった状態でテーピングやサポーターで固定します。

すると、膝蓋上包は緩み関節包は伸張されます。

筋肉や腱などは緩んでいても伸張していても使っていなければその状態で緊張します。

つまり、膝蓋上包は短縮位で緊張し関節包は伸張位で緊張します。

そのためリハビリでは、暖かいお湯に浸かりながらほぐしていくように膝を曲げたり伸ばしたりして、少しずつ緊張をほぐしていきます。



このように、骨の構造について知っていればトレーニングや怪我など幅広く対応できます。

今後も骨の解剖についてあげていきますので是非お楽しみに!

それでは!



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