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私の最愛の海外文学10選(その3)
https://note.com/cieletmer_clair/n/nc490850e6b94 これらの続きです。 7.獄中からの手紙(著:ローザ・ルクセンブルク、編訳:大島かおり、みすず書房) 獄中から…
函館旅行記(その2)
前回 (函館旅行記(その1)|ねものろーぐ (note.com))の続き。今回は1日目の夕方まで。
2.5月18日(土)昼~函館空港まで~
函館行きの便は、定刻の12時55分に無事出発。機内には、前、右、左の各座席ブロックに赤ちゃんがいた。右の子はすやすやと眠っていて、前の子と左の子は思いっ切り泣いていた。それぞれのご両親は恐縮しきりだったけれど、元気でかわいいなぁと思ったし、周りのほかの方
函館旅行記(その1)
令和6年5月18日~19日、函館へ旅をした。その旅行記。
0.前日まで
函館行きを計画したのは今年の3月。ANAのHPを眺めていて、たまたまリーズナブルな航空券を見つけた。とりあえず急ぎ2人分予約し、その後同行者に行くかどうかを訊くと、日程は空いているから行きたいと言うのでそのまま決済した。いつもひと月前くらいにしか旅行を手配しないから、新鮮な気持ちがした。
はじめて道南に行くということで
『ステラ・マリス』について
コーマック・マッカーシー。現代アメリカ文学を代表する作家のひとりで、アメリカ南西部を舞台に、会話文に引用符を用いず、句読点を極端に排するのを特徴とした乾いた文体で、人間の孤独と世界のあり方を書く。よく知られているのは、それぞれ映画化もされ好評を博した『すべての美しい馬』、『血と暴力の国』、『ザ・ロード』だろう。個人的には、国境付近で捕まえた牝狼をメキシコに返しに行く16歳の少年ビリーの、喪失と世
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https://note.com/cieletmer_clair/n/nc490850e6b94
これらの続きです。
7.獄中からの手紙(著:ローザ・ルクセンブルク、編訳:大島かおり、みすず書房)
獄中からの手紙【新装版】 | ゾフィー・リープクネヒトへ | みすず書房 (msz.co.jp)
ローザはポーランド生まれの革命家。スパルタクス団を母体にドイツ共産党を立て、指導的な立場にあっ
私の最愛の海外文学10選(その2)
この記事の続きです。
4.手紙(著:ミハイル・シーシキン、訳:奈倉有里、新潮社)
ミハイル・シーシキン、奈倉有里/訳 『手紙』 | 新潮社 (shinchosha.co.jp)
ミハイル・シーシキンはロシアの現代作家。
兵士として戦地にいるワロージャという男性とその恋人と思しきサーシャという女性との手紙のやりとりで物語は進む。「書簡体小説」という形式を用いたからこそのプロットの中で、愛、
私の最愛海外文学10選(その1)
すこし前のことにはなるのだけれど、旧Twitterにおいて、「#私の最愛海外文学10選」というハッシュタグが流れ、私は次のように投稿した。
改めて眺めても、我ながらいいラインナップだと思う。出来の良し悪しは別として(もちろん傑作ばかりを選んでいるつもりではあるけれども、)、誰に何と言われようと、たじろがずにその作品を愛していると言えるような作品たち。
書名だけを並べるのでは、芸も無ければ愛
『結婚/毒 コペンハーゲン三部作』(著:トーヴェ・ディトレウセン、訳:枇谷玲子)
自伝的作品が好きだ。ミラン・クンデラの『生は彼方に』、マルグリット・ユスルナールの「世界の迷路」三部作(『追悼のしおり』、『北の古文書』及び『なにが?永遠が』)、ダニロ・キシュの自伝的三部作(『庭、灰』、『若き日のかなしみ』及び『砂時計』)、そして、イルマ・ラクーザの『もっと、海を――想起のパサージュ』。自伝的作品は、「自伝的」ではあってもあくまで「作品」なのであって自伝ではないところが面白い。
もっとみる新潟旅行(その4、新潟歴史博物館とか)
(前回の記事から随分間が空いてしまったけれど、新潟旅行記の更新。)
新潟駅前のバス停で降りて観光案内所に入る。往復の新幹線チケットを旅行会社のパックで頼んでいたところ、当地の一部飲食店で使用できるクーポンが付いており、その引換えができる場所がこの観光案内所だった。それから、スマートフォンの電池の残りが危うくなってきていたため、新潟駅構内のChargeSPOTで充電器を借りて充電をしながら新潟島
新潟旅行(その3、北方文化博物館)
白山神社から25分ほど歩いて新潟駅に戻る。道中、新潟市のシンボルである萬代橋も通過した。洗練と風格が同居した意匠が印象的だ。
新潟駅前のロータリーでタクシーに乗り、「北方文化博物館までお願いします」と告げる。観光名所と思っていたが、運転手さんには馴染みがないようで、スマートフォンで地図を見せると「阿賀野川の近くですね。ここからだと遠いですが大丈夫ですか?」と訊かれる。HPで見たところ新潟駅か
「aftersun/アフターサン」のこと
ここ最近、こころを捉えて離さない映画がある。シャーロット・ウェルズ監督の「アフターサン」。観終えた後、呆然としてしばらく席を立てなかった。父と娘のきらきらとしたひと夏の思い出と、それに影を落とす孤独と死の気配に、眩しさと愛おしさと淋しさと切なさと痛さが綯い交ぜになった感情で胸がいっぱいになった。
今日はその映画について書いてみようと思う。胸がいっぱいになったという以上に何が言えるだろうか。こ