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紅麹でなぜ健康被害が?


紅麹は漢方薬にも

紅麹は、発酵食品に使われている毒性のない麹菌の一種です。
麹には色の種類があり、黄色、黒、白、そして紅色があります。
醤油、味噌、塩こうじ、甘酒、日本酒、焼酎など、日本食の発酵食品にはかかせない菌で、麹は国菌とも呼ばれています。
この麹菌を、米、麦、大豆などの穀類に繁殖させて米麹などをつくります。
日本古来から食されてきた、安全性の高い食品なのに、なぜ?

また、紅麹米はアジアにおいて何世紀にもわたり食用色素、調味料、肉類の保存料、醸造原料として用いられてきました。
紅麹は中国が起源とされ、呉端の著書「日用本草」(1329年)に薬膳料理として登場します。
『本草綱目』に、紅麹は「主に消化を良くし、血液の流れを促進し、脾臓や胃の機能を改善する」と記載されています。
「気力を回復し、外傷にも効き、婦人病や産後の肥立ちにも効き目がある」とも書かれ、さまざまな効能があると考えら、漢方薬としても、使われてきました。
近年、紅麹の健康効果に関する研究が進められ、降圧効果、血中脂質低減作用、認知機能改善作用、抗酸化作用など、様々な効果が報告されており、健康食品としての活用が期待されます


ピンクの天然色素

また、天然色素の原料として、紅麹は広く使われてます。
ベニコウジ色素として、カニ風味蒲鉾、畜肉加工品、漬物、菓子類、水産練製品、タレ類、加工乳などに使用されています。
使用料は微量ではありますが、今回の食品回収の対象となっていまいました。

画像はイメージです。

健康被害の経緯

追記
厚生労働省は、28日開いた専門家による調査会で小林製薬から説明を受けた内容を明らかにしました。それによりますと「プベルル酸」という青カビから発生することがある物質が健康被害の訴えがあった製品のロットで確認されたということです。

「プベルル酸」は、抗マラリアの作用が報告されているということですがどのくらい飲むと人体に影響があるのかや、腎臓に対する影響は現時点では明らかになっていないということです。また、今回確認されたプベルル酸が青カビからできたものかなど製品中に含まれた経路もわかっていないということです。

厚生労働省の担当者は「原因物質かどうかはわからない。あらゆる可能性を含め今後調べる」と述べました。厚生労働省は、国立医薬品食品衛生研究所で過去3年分のサンプルを分析し、「プベルル酸」の毒性について調べるほか、「プベルル酸」以外の物質が含まれていないかも含め原因物質の特定を進めることにしています。

3月26日には、入院した人が100人を超え、2名の方が死亡されました。被害が広がっています。

発症に経緯を引用します。

機能性表示食品「紅麹コレステヘルプ」を摂取した人に、腎疾患等の症状が発生した。

最初の症例は本年1月15日、医師からの連絡に始まり、これを含めて2月1日までに5人が入院、その後3月15日まで合計13人に腎疾患の症状が報告され、合計6名が入院した。中には透析を受けた事例もあった。

入院の報告を受けた複数の医師から、かび毒シトリニン(欧州で基準値が設定されるなど規制されている成分)が原因ではないかと指摘された。
製品はシトリニンが生成されない菌株でつくっているが、確認するために本製品に使った紅麹原料(自社製造)の全てのロットで分析を行い、シトリニンはは検出されなかったことが判明、医師に伝えた(2月6日~16日)。

2月下旬に関与成分である「紅麹ポリケチド」で何か起こっているのではないか、アレルギー反応はないか等の仮説のもと、検証を行った。

3月に入り、原料に不純物が入っているのではないかという仮説をもとに、腎疾患の報告で共通に摂取したと思われる直近の製品ロットと、製品に使われている紅麹原料ロットを検査した(3月16日)。

その結果、一部の紅麹原料と製品に、通常では見られないようなピーク(波形)が出ていることが確認できた。
ピークは未知の物質で特定されていない。

3月17日に関係者が結果を共有し、18日に緊急対策本部会の会議を行い、本日(22日)の報告に向けて準備を進めてきた。

「紅麹コレステヘルプ」を含む紅麹原料を用いた機能性表示食品5品の対象食品をお持ちのお客様は、当該製品の使用を中止いただくようお願いする。体調不良を感じられるお客様は健康相談受付センターにご相談を。返金等の対応は3月26日より開始予定である。

なお、現時点で原因物質の特定には至っていないが、大学と共同で作業を進めている。
可能性としてカビから産生されものがつくられていて、ここに原因があるのではないかと仮説をたてている。


海外で問題視されている

紅麹サプリは、海外で安全性の問題が指摘されています。
食品安全委員会は「紅麹を由来とするサプリメントに注意」とする情報を出しています。
紅麹由来サプリはかび毒シトリニンの問題だけではなく、紅麹に含まれるモナコリンKがロバスタチン(医薬品)の構造とほぼ同じで、コレステロール低下作用は期待できるものの、それだけ有害事象が起こりやすいことでも知られています。

欧州において、以下の注意喚起が行われています。

 「血中のコレステロール値を正常に保つ」としてヨーロッパや日本などで販売されている「紅麹で発酵させた米に由来するサプリメント」の摂取が原因と疑われる健康被害がヨーロッパで報告されています。
 EUは、一部の紅麹菌株が生産する有毒物質であるシトリニンのサプリメント中の基準値を設定しました。
 フランスは摂取前に医師に相談するように注意喚起しており、スイスでは紅麹を成分とする製品は、食品としても薬品としても売買は違法とされています。

古来より食経験が長く、愛用されてきた食品でも、サプリメントとして加工すると、健康被害が出ることがあります。
紅麹に含まれるモナコリンKがロバスタチン(医薬品)の構造とほぼ同じということです。
医薬品のロバスチンには、主な副作用として、 筋肉痛 、 CK上昇 、 無力症 、 皮膚そう痒症 、 発疹 、 蕁麻疹 、 腹痛 、 便秘 、 嘔気 、 下痢 、 関節痛などがある表示されています。
機能性表示食品にも、副作用というか、副反応があってもおかしくないということですね。

今回は未知の物質で、すべてを特定できていませんが、麹菌も生きているので、変異が起こる可能性もあるのですね。
元々、麹菌はカビの突然変異で、カビ毒が消えた種なのです。

あるロットから、突然プベルル酸が産生されたのでしょうか?
ラインに何らかの混入?となると大変な話です。

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