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中国 深センの動物園は、摩訶不思議アドベンチャー

親愛なるnoter仲間さんによる「奈良公園での鹿せんべい」関連記事を読んだ。

修学旅行のとき、口移しで鹿にせんべいをやるという、何ともお約束的なことをやった「お調子者な自分」を思い出した。

ついでに、なぜか「クマ牧場」とか「中国の動物園」とか、色んなことも思い出した。

私の好きな北海道の「登別温泉」の近くに、「のぼりべつクマ牧場」というのがあり、そこでの「エサやり体験」がなかなか面白い。

クマも観光客慣れ(?)しており、エサをねだるクマの姿が何とも愛嬌がある。

係員さんも仰るとおり、オスのクマはあまり愛想もないのだが、メス「こっちこっち、そう、そこのダンディなお・じ・さ・ま! あたいにエサちょうだいな!」みたいにアピールが積極的なのである。

エサやり体験と言えば、一時期、中国の一部の動物園にて行われている「エサやり体験」があまりにも過激で、ネットや動画サイトで大炎上した。

私が昔、中国の華南地区に住んでいた頃、確か2000年代の半ば頃だったと思う。

中国の深センにある「深セン野生動物園」に行った。

深センは漢字で「深圳」と書くが、読み辛いので、日本では「深セン」と書かれたりする。

動物園の話をする前に若干補足しておくと、深センは中国の広東省に位置する経済特区である。

コロナ後は大々的なロックダウンの停滞感を思わせるニュースを目にするようにもなったが、ファーウェイ、テンセントなどの巨大な中国ハイテク企業の本社が集まり、「アジアのシリコンバレー」などと大々的な報道が連日なされた時期もある。

そのため、今や世界的に知られる国際都市と言えるが、2000年代は今ほどの知名度もなく、日本の友人たちからも「シンセン、、、ってどこだっけ?」みたいな反応をされることが、たびたびあった。

私が訪れた2000年代半ば頃の「深セン野生動物園」では、生きたニワトリをトラの群れに放り込む、、、というレベルの過激な体験型イベントはなかった。

しかし、日本の動物園では体験したことのないカルチャーショックをいくつか味わうことはできた。

だいぶ前の話なので、細かい部分は記憶にないが、「深セン野生動物園」での体験のごく一部を共有する。

動物園が好きな方は、「それは日本では見たことないなぁ」とか「それは日本の動物園でもあるぞ」みたいな楽しみ方をしていただければと思う。

まず「エサやり体験」をしたのだが、対象の動物がアシカやペンギンなどではなく、どう猛な「トラ」「ライオン」だった。

鉄串に刺した鶏の生肉だかを、鉄格子の隙間から突っ込み、トラやライオンの群れが「ウガガァ~ッ!」とそれに群がり、鉄格子1枚で隔てられた至近距離で貪り食うのである。

鉄串を持つ自分の手に、猛獣の「ウガガァ~ッたらウガガァ~ッ!」みたいな顎のパワーと迫力が直に伝わる。

ん?


、、、当時は、あまり違和感を覚えなかったのだが、今になって1つの疑問がある。

「生肉の塊が入り込むだけのスペース」が鉄格子に空いているということは、それは即ち、、、「人の指も十分に入り込むことができるスペース」ということになるのだろう。

、、、!

、、、いやいや、間違って指がちょっとでも鉄格子の中に入ったら、かなり怖いのでは?

でも、「安全面」を考えると、さすがに「うっかり人の指が入るような構造」にはなっていないのでは?とも思う。

鉄串結構な長さだったように記憶しているが、、、その上で、鉄格子とか金網とかが二重に張ってあったのだろうか?

やたらと気になって、ネットで「深セン 動物園 ライオン エサやり」とか検索した。

、、、ネットで紹介される写真を見る限り、、、何か「うっかり人の指が入るような構造」にも見えてきた。。。

、、、余計なことをして、余計に不安にもなってきたが、「そんなレベルのうっかり者は、この世には存在しない!」という結論とし、先へ進む。

その指、うまそうだな

さて、猛獣との戯れは、これで終わらない。

園内で飼育している動物を車内から見るために運行されるバス、いわゆる「サファリバス」のツアーにも参加した。

バスは我々乗客を乗せ、トラ、ライオン、クマ、オオカミ、、、などの飼育エリアへと向かってゆく。

少し発車してから、唐突に運転手さんが、後ろの方に座る乗客にこう言った。

「ちょっと!危ないから、その窓、ちゃんと全部閉めてください!」

、、、!

、、、いやいや、発車する前に注意した方がよかったのでは?

慣れていらっしゃるのかもしれないが、初の訪問客である私は「えっ?ひょっとして、今気付いたんすか?」みたいな気持ちにもなるので。。。

やっぱり猛獣は怖いので、ゆっくりと「優しめの動物たち」を観て回ろう。

サファリバスツアーを終え、園内をぶらぶらと歩き始める。

角を曲がった瞬間、「うわっ!ビックリした!」

クマが檻の外に出ているではないか!

、、、と思ったら、飼育員さんも隣に居られ、飼い慣らされたクマのようである。

私は、腰が引けながらも、おっかなびっくり「ほぅほぅ」と盗っ人のような歩き方でクマに忍び寄る。

突然!

隣にいた私の愛すべき中国人ソウルメイト「モンキーマジック」さんが、クマに触ろうとした!

、、、!

、、、いやいや、お触りはさすがに危ないのでは?

、、、と思ったら、飼育さんに叱られ、触ることはできなかった。。。

それより、猛獣から逃れようと思ってきたのに、どうしてまた「檻の外」で猛獣に出会わなければならないのだ。

ここから離れよう。

少し進むと、ラクダが見えてきた。

それまでの人生において、ラクダのことを深く考えたこともなく、さほど興味もなかったのだが、、、そのときなぜだか、理由は分からないのだが、私はまるで惹き付けられたように1匹のラクダに近付いて行った。

そして、生まれて初めて、ラクダを至近距離からマジマジと見た。。。

、、、!

、、、いやいや、ラクダの目って、、、妙に色っぽいのでは?。。。

生まれて初めて、そんな印象を強く受けたのだが、ラクダが全部そうなのだろうか?

そのラクダだけ、もしかして人間を惹きつけるほど、異様なまでにフェロモンでも出していたのだろうか。。。

さすが4,000年だか5,000年だかの歴史の国である。
ラクダにまで、ドキドキさせられる始末である。

ラクダの誘惑を振り払いながら、先へ進もう。

角を曲がった瞬間、「うわっ!ビックリした!」

大蛇を首に巻き付けた婆さんが現れた!

、、、!

、、、いやいや、仮に「大のヘビ嫌いで知られる私の母」が隣にいたなら、半狂乱になっているのでは?

それよりも、さっきから角を曲がったところに「それ相応の破壊力」を持つアトラクションをスタンバイするのはやめてほしい。

私もヘビは得意でないので、「一緒に写真でもどうかいね?フォッフォッフォッ」という老人を振り切り、その場を離れる。

、、、おっ!あの一画はもしかして!

おぉ~っ、いよいよ「パンダ」だぁ~。
中国と言えばの「パンダ」である。

やはり上野動物園とは違って、本場の中国の動物園、お客をそこそこ歩かせないと、パンダもそう簡単には見せないものである(上野動物園に初めて行ったとき、入口ゲートすぐのパンダに「偉い気前のいい動物園だ!」とひどく感心したことがある)。

さて、その愛らしいお顔を見せてもらいますぜぇ~。。。

ん?


1匹しか、、、いない。。。

、、、!

、、、いやいや、引っ張った挙句のパンダなので、もうちょっとパンダの「量」的なものを増やしてみてもよいのでは?

それはあれかい? 難しいのかい? 予算的なアレかい?

、、、まあいい、パンダはパンダだ。

ん?


何か、、、汚れてるなぁ、、、と思わず感じてしまった。

パンダ「黒と白」というイメージだが、「白の部分」が何ともかなり汚れて黒ずんだ感じになっている。

まあ、森の中のパンダというのは、案外こんな感じなのかもしれない、、、

、、、と思っていたら、後ろにいた中国人のおじさんがこう言った。

「アイヤー!白くないやー!」


、、、!

、、、いやいや、やっぱり、ある程度の白さを保った方がよいのでは?

中国人の観光客も嘆いているぐらいだし。。。

でも、動物園の動物とかって、洗ったりするのだろうか?
それは動物の健康によろしくないとか聞いたこともある。

すると、上野動物園のパンダはキレイなのはどうしてだ?
香港のオーシャンパークのパンダもキレイだったような気が。。。

、、、などと色々考えていると、パンダに一瞬、「ギロッ!」と睨まれたような感じがした。

テレビで芸人さんも言っておられたが、「パンダの目は意外と鋭い」
「ラクダの目は意外とセクシー」に次ぐ発見である。

パンダに凄まれながら、そそくさと先へ急ぐ。

ウォーアイニー!

暫く歩くと、テナガザル(?)の類と思われるおサルちゃんたちが檻の中で「キィキィ!」とはしゃいでいた。

私は隣の「モンキーマジック」さんに、「あなたのお友達が、みなさん楽しそうですね」と言ってみた。

普通に怒られた。

、、、!

、、、いやいや、女性にそれは、普通に怒られるのでは?

そして、角を曲がった瞬間、「うわっ!ビックリした!」

(またかよ。今度はちょっと心の準備をしていたので、少しわざとらしくなったが。。。)

今度は何と、「トラ」が檻の外に出ているではないか!

、、、やはり、飼育員さんが隣に居られ、飼い慣らされたトラのようである。
(そりゃそうだ。トラが単独で徘徊していたら「ライフオブパイ」みたいな世界観になる)

私は、今度も腰が引けながらも、おっかなびっくり「クマはまだしも、トラというのは、さすがにアンタ、、、どうかと思うけどねぇ、、、」と徳島名物阿波踊りのような歩き方でトラに忍び寄る。

突然!


隣にいた私の愛すべき中国人ソウルメイト「モンキーマジック」さんが、、、トラに触った!!!

、、、!

えっ?!

マジで?!


、、、触ったの?!


触ろうとして叱られるパターンじゃなくて、ホントにお触りなさった?

「トラ」も一瞬、「おぉぅ!何じゃい!」みたいな反応をしたように見えた。

、、、飼育員のおばさんに叱られた。

、、、!

、、、いやいや、お触りはさすがに危ないのでは???

、、、

、、、

、、、いや、これ普通に相当に危ないだろ!


私もさすがに叱った。

「モンキーマジック」さんは、珍しくシュンとしていた。


やっぱり、修学旅行のときの「奈良公園で鹿せんべい」のエピソードの方が平和だな。

ただ、「鹿」と言えば、私は後の人生において、「深セン野生動物園でのカオスな体験」とは比べ物にならないほど、生涯忘れることのできない体験「鹿」とすることになるのである。

しかし、当然、「修学旅行で鹿相手にふざける私」も、「深セン野生動物園で色んな汗を流す私」も、そのときは、そんなことは予想する術もなかったのであるが。。。

(つづく)。。。

~あとがきに代えて~

4月1日だが、基本的に実話しか書けない。

ただ最近、ヒイヒイ言いながら「不機嫌な動物園」というショートショートを書いた。

【実験的 「お題」でショートショート】 不機嫌な動物園

これは、全くもって本記事の「深セン野生動物園」のインパクトから着想を得たものである。

「クマに驚かされたシーン」や「パンダのくだり」など、そのまま使っている。

「お題」「黄色っぽいアザラシ」から、当初は「友情もの」みたいなストーリーを考えていたのだが、「白が黒っぽいパンダ」とあわせて、最終的にドタバタなストーリーになっていった。

あと、最後の「トラ」のくだりだが、約20年経つ今も、私はたまに「モンキーマジック」さんに「あーいうトラのお触りみたいの、ホントに危ないからホントにやめて。『君子、危うきに近寄らず』みたいなこと言うよね?『虎穴に入らずんば虎子を得ず』みたいなことも言うけどさ」などと言って辟易させている。

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