【フランス映画鑑賞記録&出会い系アプリの誘惑】Iris et les hommes
年末に「Iris et les hommes」というフランス映画を観た。邦題はまだ付いていないが、英題が"It's Raining Men"で原題(イリスと男たち)を完全に無視しているので(確かに、The Weather GirlsのIt's Raining Menという曲が、ミュージカル風の演出がされた箇所に使われてはいる)、一体どういうタイトルがつくのか、それ以前にそもそも放映されるのか、微妙ではある。
というのは、この映画は非常にバカバカしく、翻訳する価値があるとは思えないからだ。
ではなぜ、「そんな映画と知りつつわざわざ映画館に足を運んだのか」にはワケがある。
-きっかけ-
師走のある日、女友達と街ブラをした。お茶ではなく街ブラだ。1月にはセールが始まるし、私としては年末の旅である程度の出費をすることを予測していたので、買い物をする気はなかったが、誰かとショッピングまがいのことをするなど一年に一度あるかどうかなので、上機嫌で出かけた。
彼女(Aさんとしよう)の身上を少し説明すると、離婚はしていないが(二重国籍の取得に時間がかかるため、得てから離婚予定)随分前から別居しており、年齢は40代後半だ。
私たちは月に一度以上連絡は取りあうが、会うのは数か月ぶりだった。そして会って開口一番、
「○○、元気だった?実は私Tinder始めたんだ」という。
「Ti、Tinder?な、なぜ?い、いつから?」とシドロモドロになる私。
A「3週間前に始めて4人と会ったの。今頑張ってる」
私「頑張ってる、ってTinderって体目的でしょ、あれ。まともな人いるの?もっといいアプリないの?」
A「かもだけど、Tinderが一番使ってる人口が多いから、出会いも多いってよ」
私「ふ~ん。で、4人ともまともだったの?体目的じゃないの?」
A「まだそういうことはしてないよ」
と言って写真付きでそれぞれの男性の説明をしてくれる。
どうやら皆海外に住んでいて、仕事の都合で年に数回、もしくは数か月ミラノに滞在をする、という類の男性たちである。
ちなみに私たちの男の趣味は正反対と言ってもいいほど違う。
だから、仮にこの地球上に1人しか男がいなくなっても、取り合いの喧嘩にはならない確信があり、いつでも男について自由に話せる仲である。
私「でもさ、あぁいうアプリって、ある程度会話して大丈夫だと思っていざ会ったら、やっぱり体目的だったとかあるじゃん。私の時間を返してよ、って思うことが多々あったから、私はもう無理だな」
A「そういうのもあるけどさ、私たち、アプリでも使わないと出会いないじゃん、じゃあ○○はどこで出会うわけ?」
私「今書くことに夢中だから、そんな時間ないよ。ダンスも仏語もあるし、映画館も美術館も行くし、今出会い系とかしたら、寝る時間もなくなるし(笑)そしてさ、ぶっちゃけ、男なんかいなくたって生きていけるじゃん」
A「そう、そこなんだよ。だからときめきが必要なんだって」
私「えっ、じゃあAは何でTinderをやろうと思ったの?」
A「たまたま見たドラマで、主人公がやってて、はぁ、なんかいいな、私も久しぶりにときめきたいな、って思ったんだよ。だってもう2年以上もずっと一人なんだよ、私。○○もやりなよ、アプリ内でお互いに男を紹介もできるし、面白いよ」
そんな会話が続き、私は、Noteのフォロワーが20人に達したら、Tinderをやらされる口約束をさせられてしまった(😬)
だからフォロワーが増えてほしい半面、Tinderを6年ぶりくらいに再開する日が来るのを恐れている。
ちなみに、かつて私は変な男にしか出会わず、やめたのだ。
例えば、公園で私の顔を見て「あぁ、胸がドキドキする、もう話せない、今日は会えてよかった」と言い去っていった整形外科医とか、"子供は嫌い"と私のプロフィールで公言しているにもかかわらず、それを無視したのか「子供とこんなところとか、あんなところに行って」と初対面なのに存在もしないしできもしない私との子供を想像して会話する弁護士試験に落ち続けて下働きを続ける男とか、完全なる体目的のために体を許さないなら見知らぬ通りで車から降ろそうとする弁護士とか、まぁ様々なタイプの奇妙な男としか出くわさず、懲りたのだ。
その時私がTinderを使ったのは、結婚しようと思っていた同棲相手に浮気されて別れ、2年越しの痛手からの社会復帰として、ほかに手段が思い浮かばなかったのだ。かなり束縛の強い男で、この男といる間に失ったものは多く、友達もその1つだった。だからどこかに出かけて誰かと知り合おう、と思っても、一緒にでかける友達がいなかったのだ。
さて、こんな他愛のない話を綴ったが、「Iris et les hommes」とどう関係するのかを少し語ろう。
Irisは歯科医で15歳と10歳の2人の娘と夫がいる。仕事にしか興味のない夫とは22年の付き合いで16年前に結婚したが、4年間肉体関係がない。上の娘の学校での面談の日(映画内では親だけが呼ばれて説明がある、日本だと親子一緒の進路相談だった気がするが、ヨーロッパは違うのかもしれない)、娘の友達の母親とそういう夫婦間の話をする。その母親が不在になった隙に、横で聴いていた別の母親が「Tinderに似た既婚者専用のアプリがあって、私はそれで救われたからあなたもやったら」とささやくのだ。
そこからIrisは様々なタイプの男性とone night standを繰り返し、最後にめでたく夫の愛を取り戻すが、実は夫も仕事中毒のふりをして…という話である。
本当にバカバカしい話だが、Irisがベッドで読んでいる本のタイトルが、状況に応じて変わっていくのが個人的には唯一くらい興味深かったので、タイトルを紹介しておこうと思う。
まず最初は、私の大好きな作家のひとりAnnie Ernauxの「La Femme Gelée」である。これはErnauxの自叙伝の一つで、内容は以下の通りだ。
この本を読んでいるシーンでは、Irisは夫への不満を感じていた。
次にDr Danièle Flaumenbaumの「Femme désirée, femme désirante」だが、内容は次の通りである。
この本を読んでいるシーンでは、Irisが様々な男性と一夜を共にし、満足感を得ている絶頂の時期である。
最後にMona Cholletの「Réinventer l'Amour」だが、内容は以下の通りである。
その後、Aさんからは、私がフランスの北の海にいた大雨のクリスマスにメッセージが届き(彼女は敬虔なクリスチャンだ)、前日に出会った5人目の男性とも何もなかった、とがっかりした一文が添えられていた。
さて、果たして私のフォロワーは今後どうなっていくのか。
20人に達した時、Aさんが「もうTinderは飽きた」と言ってくれることを密かに望んでいる。だってきっと、その時の私の目標は、30人だったり50人だったりと増えているはずで、「ぶっちゃけ、男なんかいなくても生きていける」気持ちが更に高まっているはずだから😂
※追伸.
これを書いて、あまりにもバカバカしいので投稿すべきか悩んでいた頃、私のフォロワー数は17人でした。今はお陰様で20人チョッキリです、フォローしてくださっている皆さん、ありがとうございます。
でも、先週Aさんと連絡を取り、Tinderの甲斐がなく飽きてきている雰囲気を醸し出していたので、私のフォロワー数の話には触れず、このまま知らぬふりをしてNoteの更新に精を出します😆👍
あっ、来週から繁忙期だった💦
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