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離婚道#50 第6章「新しい人生」
第6章 離婚後の人生へ新しい人生
別居後からの3年間、社会的にも個人的にも、本当にいろいろなことが起こった。結婚生活で経験できなかったさまざまな出来事が、私の意識を徐々に変え、私の背中を押してくれた。
私の離婚裁判はまだ「審理」が続いている。
たとえば能面の価格について。「3体で50万円」という鑑定書を出してきた雪之丞に対して、「50万円で買い取りたい」と応戦したが、雪之丞は「そんな安値で
離婚道#49 第6章「放念」
第6章 離婚後の人生へ放念
令和4(2022)年6月下旬の期日、東京家庭裁判所に双方の代理人が集まった。
裁判は長らく電話会議だったが、この日は裁判官の提案で、法廷において和解についての協議が行われた。当事者は出廷の必要がなく、私は自宅待機。久郷弁護士からは「電話には出られるようにしていてください」と指示されていた。
本訴の裁判官は、40歳前後の若い女性裁判官である。最初に原告側の弁護士が
離婚道#48 第6章「受難」
第6章 離婚後の人生へ受難
令和4(2022)年4月のこと。
母妙子が腹痛を訴えていると、兄から電話があり、急いで実家に帰った。
「まーちゃん・・・・・お母さん、お腹が痛い・・・・・」
コロナではないようだ。すぐに近所のクリニックに連れて行き、血液検査と超音波検査をすると、副院長の女医が「紹介状を書きますから、大きな病院にすぐに行ってください」。炎症反応の数値が跳ね上がっていて、肝臓の数値
離婚道#47 第6章「作家志望弁護士の手引き」
第6章 離婚後の人生へ作家志望弁護士の手引き
裁判で財産分与の細かい主張をしている最中のこと。
「ねえ、まどかさん。陳述書を書いてみたら?」
久郷弁護士から私に「陳述書」の作成が提案された。
辛い結婚生活や離婚に至る経緯、自分がどうしたいかをまとめ、本訴の主軸となるメイン陳述書を書いてほしいという。
陳述書は、離婚裁判で当事者が提出する証拠のひとつである。
裁判の流れとして、両当事者か
離婚道#46 第6章「法定外にて『財産分与』係争中」
第6章 離婚後の人生へ法廷外にて「財産分与」係争中
令和2(2020)年5月に、吉良雪之丞が離婚裁判を起こしてから2年以上、裁判所が事実関係を取り調べる「審理」は続いている。
・・・・・・・・・・・・・・・長い!
49歳で別居した私は、離婚調停を経て、離婚裁判に至り、これといった法廷ドラマがないまま、50、51、52歳・・・・・と、どんどん年を取っていった。
久郷弁護士は、離婚裁判の平均
離婚道#45 第6章「喜楽! 弁護士の活発な活動」
第6章 離婚後の人生へ喜楽! 弁護士の活発な活動
雪之丞の嘘八百の答弁書が、私の戦意を向上させた。
「久郷先生、反論、書いていいですか?」
私は雪之丞の嘘を暴きたくてウズウズしている。
弁護団と話し合い、富田和子の陳述書への反論に特化した「陳述書1」、京都マンションに関する「陳述書2」を書かせてもらうことになった。
離婚裁判では、当事者の陳述書は通常、裁判の終盤で尋問をする前に提出するも
離婚道#44 第6章「やっぱり反訴、必死の嘘八百」
第6章 離婚後の人生へやっぱり反訴、必死の嘘八百
裁判所は、コロナウィルス蔓延の影響を受けていた。
令和2(2020)年4月7日に「緊急事態宣言」が発出されると、期間中、ほとんどの民事裁判はストップした。宣言解除後、徐々に裁判は再開されたものの、コロナ禍でリモートワークが推進されている時勢にあわせ、当事者や代理人が出廷しなくても審理をすすめられるよう、民事裁判の多くは「ウェブ会議」や「電話会
離婚道#43 第6章「ザ・ファーム 酒が豊富な法律事務所」
第6章 離婚後の人生へザ・ファーム 酒が豊富な法律事務所
「まどかさん、お誕生日おめでとう!」
別居して2回目の誕生日を迎えた。
緊急事態宣言が令和2(2020)年5月25日に解除され、その直後、雪之丞から裁判を起こされて「被告」になった私は、その年の7月、51歳になった。
「上野さくら法律事務所」で打ち合わせ後、弁護団の3人の先生方が誕生日会をしてくれたのである。
さっきまで資料を広げて
離婚道#42 第5章「争点を読む」
第5章 離婚裁判へ争点を読む
令和2(2020)年が明けたころ、「上野さくら法律事務所」に大きな変化があった。
年末に久郷桜子弁護士の夫が出ていき、久郷弁護士のひとり事務所となったのも束の間、別の男性弁護士が「イソ弁」として加わったのである。
醍醐松也弁護士、35歳。3年目の若手弁護士だ。
イソ弁とは、「居候弁護士」の略で、事務所に雇われて働く弁護士のこと。対して久郷弁護士は事務所の「ボ
離婚道#41 第5章「離婚弁護士の離婚問題」
第5章 離婚裁判へ離婚弁護士の離婚問題
離婚はみんな大変である。
私が調停不成立となる直前、久郷桜子弁護士も自らの離婚問題で大騒動が起こっていた。
メールの返事がないな、と思っていると数日後、久郷弁護士からただ事ではない返信メールが届いた。
「すみません。ちょっと大変なことが起きて、メールできませんでした。夫に事務所から閉め出され、別鍵をつけられたため、事務所に入れないんです。もう、夫は頭
離婚道#40 第5章「プロフェッショナル離婚弁護士」
第5章 離婚裁判へプロフェッショナル離婚弁護士
カウンターに久郷弁護士が注文した日本酒「作 玄乃智」の一升瓶が置かれた。玄人好みの純米酒らしい。素材、形がとりどりのお猪口が入る籠の中から、弁護士は大きめのぐい吞みを選び、私は作家モノ風の小さいお猪口を取った。
――新型コロナで7都府県に「緊急事態宣言」が出された直後、割烹「はちじょう」で、ささやかな調停の打ち上げが続いている。
「先生、本当
離婚道#39 第5章「弁護士の居酒屋説法」
第5章 離婚裁判へ弁護士の居酒屋説法
「先生、こうして美味しいお酒が飲めるのも、婚費3万円アップのおかげです。ありがとうございました!」
「イェ~イ、カンパ~イ!」
この「先生」は、雪之丞ではなく久郷弁護士である。
場所は、上野の繁華街から路地へ入り、根津の方へ向かう途中にある割烹「はちじょう」。久郷弁護士の行きつけ店のひとつだ。
5人座れるカウンターとテーブル席1つという小ぢんまりした店
離婚道#38 第5章「覚悟はいいか離婚道」
第5章 離婚裁判へ覚悟はいいか離婚道
令和2(2020)年3月、離婚調停は不調に終わった。
協議、調停、そして裁判へと続いていく、吉良まどかの長い〝離婚道〟。
夢見た「トンボの離婚話」はどこかへ飛んでいき、雪之丞の意向をくんで行った弁護士会館での協議もさんざんな目に遭った。
調停で雪之丞は、17年間連れ添った妻への財産分与を「出して100万円」と言い放った。
私はこの間、かつて傾倒した
離婚道#37 第5章「調停コンピ攻防戦」
第5章 離婚裁判へ調停コンピ攻防戦
「それにしても、まどかさん、大変な結婚生活でしたね。さんざん疑われて、ひどい目にあって、50歳という、もうやり直しがきかない年齢になってしまって・・・・・」
「いやいや、『やり直しがきかない』って! こちらはまだこれから、ひと花でもふた花でも咲かせるつもりですから」
「あぁ、そうですか。それは失礼しました。でも、まどかさん、財産分与もなく離婚を迫られて、かわい
離婚道#36 第5章「からくり珍協議」
第5章 離婚裁判へからくり珍協議
日本の弁護士は全員、「弁護士会」という団体に登録しなければならないらしい。
ニュースなどでよく耳にする「日弁連」というのは、「日本弁護士連合会」の略で、弁護士会と個々の弁護士などで構成されている組織のことをいう。
この強制加入団体である弁護士会は、地方裁判所(地裁)の管轄区域ごとにあり、北海道は4つ、東京都は3つ、それ以外の府県には1つずつ存在する。
北
離婚道#35 第4章「弁護士は編集者の夢をみる」
第4章 離婚へ弁護士は編集者の夢をみる
歓迎会は夜11時、西日暮里のイタリアンから徒歩ですぐの私の新居に移り、2次会になった。
「久郷先生、とっておきの赤ワインを飲みましょう!」
「イェ~い! いいね」
こんな時のために、家から運んできたワインの中からブルゴーニュの自然派の作り手、アラン・ビュルゲの「ジュヴレ・シャンベルタン」(2009年)を開けた。
「なに、これ。めっちゃウマい! 香りもい