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なぜノウハウ本が必要とされるか

昔はのんびりしていた。現代は生き馬の目を抜く時代。

昔は単純にそれぞれ働けばそれなりに生活できた。
農業なら農業。会社員なら終身雇用で。それなりに自分の仕事に満足して、収入にも満足して、社会的地位もそれほど格差はなく暮らせた。
また人の「欲」もそんなにはなかった。
「欲」に関してもほどほど満たされて皆満足だったと思う。
なぜならみんなで働いて社会全体を良くしていこうという時期だった。そして目に見えて社会は便利に、そして良くなっていった。その恩恵を肌で感じることができた。
貧乏でも地域や仲間と支え合って楽しく暮らしていた。
昔を少々美化しすぎかもしれないが、今と比べたらこうしたことは事実として言えるのではないだろうか。
いわゆるみんな平等な「和」の世界。

現代は複雑になって、思考も細分化、利益も細分化されそれぞれに合った方法で最大限の利益を得なければ生きていけなくなった。
なぜなら「個」の時代と移行したからだ。
「個」の時代ということは、逆に「個」が孤立した時代ともいえる。
個人個人がそれぞれ自分の生活に責任を持って生きなければならない。
当然のように思うが、これは当然でもないのではないだろうか。
誰の助けも望めない世の中ということになる。

生き馬の目を抜く時代なのでライバルに勝つためには方法論が大切になってくる。
助けを望めない代わりに、マニュアルが彼らをサポートする。
ネットや偉い人の言う話を頼りにして現代人はマニュアル人間となる。
そこで、もっとマニュアル、もっと生きるための方法を知りたい、ということになる。なぜならそれを他より余計に知っている方が生存競争に勝つからである。
そんな大げさなことを言わなくても少なくとも安心感を得られる。

この状態は健全な状態だと言えるだろうか?
もちろん昔から社会にマニュアルのようなものがなかったわけではない。
今残って今でも読まれている昔の本はそういった類のものが多いだろう。
それも生きる知恵だ。
しかし、そればかりに皆が夢中になる世の中というのもどういうものだろうか?

ではどうすればいいのか。
彼らが探しているのは実はマニュアルではなく、自分の芯なのだ。
自分に自信が持てる、人生の指針となる自分自身の芯。
信念。前向きな考え方。希望。
それを探し求めて色々と手を出しているのだ。
事実は複雑で、事はそう簡単ではないかもしれない。
しかし考えるのをやめて感じるのだ。
複雑さをシンプルにするのだ。

昔のコマーシャルに「シンプルライフ」というのがあった。
現代人は人生をもっとシンプルにすれば自然に生きやすくなる。
シンプルにするには自分の心に芯がなければならない。
その芯はすぐに見つからないものかもしれないが、考えすぎて迷いの中にいるのではなくどっしりと構えて安心していることが必要になる。
リラックスすればするほどオキシトシン・幸福ホルモンが出るというではないか。
ある意味、その幸福ホルモンを得るためにそういう会に参加したり、共通の友人を見つけたり、本を買ったりすることも一つなのかもしれないが、つまりは現代人は孤立した「個」になりすぎて真の幸福感を得ることがなかなか難しくなっているということだろう。

できるだけ共感し、協調できる社会を、社会としてつくることが課題になるのかもしれない。



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