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最近読んだ本たち(2024年2月3月分)

2月はのんびりするつもりが、結局なんだかんだであわただしく過ぎていった。とりあえず確定申告を無事終えられてほっ。

3月もあまり読めず(春休みだから?)。

1冊、どうにも合わなかった本があった。タイトル非公開のままレビューを書きたい。

もうちょっと読みたかったけれど、
2月前半の夜は確定申告の準備にかかりきりだったので
仕方ありませんね……。

『絶対悲観主義』 楠木建

2022年に読んだものを、もう一度読んだ。ちゃめっ気とユーモアが見え隠れする文章がとても好きだ。

「心配するな、きっとうまくいかないから」。事前にこのスタンスをとっておけば、不必要に落ちこまないし、案外なにごともうまくいく(いったように感じられる)。それを教えてくれた本。

タイトルから想像するのとはちょっと違う読後感がまた好き。余談だけれど、NewsPicksに楠木建さんが出ておられるのを発見すると、絶対観るわたし。

タイトル非公開

友人のおすすめ本とのことで買ってみたのだけれど、世界観、文体、ストーリー運び、どれもなじめなかった。読み終えるまでが苦痛で、読了後はむなしい気持ちになった。

人それぞれ、よいと感じるものが違うことを再認識させてもらえた作品。こういうこともあるよ、との意味で、タイトルを伏せつつ読書記録に加えておきたい。

『コンビニ人間』 村田沙耶香

積読つんどくになってしまっていた一冊。歴代の芥川賞受賞作と同じように、いろいろな評価を受けた作品らしいけれど、私は素晴らしい小説だと思った。用事の帰りに立ち寄ったスターバックスで一気に読み終えた。

日常にある小さな違和感やきしみをすくい上げ、文章として浮かび上がらせる。「普通じゃない」とされる側の存在感が迫ってくる感じ、圧巻だった。

"普通"をかさに着た人々に「あんたは普通じゃない」と裁かれる理不尽さが書きつくされていた。「ちゃんとした」「普通の」「当たり前の」という言葉が人を困らせることは多い。

『くもをさがす』 西加奈子

カナダで乳がんにかかった筆者の心の内と病の経過について克明に描かれている。これは治療であって、病との闘いではないという記述がとても印象的だった。

全体的にうんうんとうなずきながら読んだ。とくにものすごく共感できる箇所が一つあって、喫茶店で立ち上がりそうになった。危険。

勇気をもらえて、なん度も読み返したくなる本だった。

『本心』 平野啓一郎

亡くなった母をVF(ヴァーチャル・フィギュア)として蘇らせ、ともに暮らそうとする青年の話。舞台は2040年代の日本である。

高校生の頃、平野啓一郎さんのデビュー作『日蝕』を読んで、頭をがーんと殴られたような衝撃を受けた。アホな高校生だったわたしの貧しいボキャブラリーを使って表現すると「世界観がバリバリに立っててすんごい……!」作品だった。

その後も『マチネの終わりに』『決壊』『空白を満たしなさい』『透明な迷宮』『ある男』あたりを読んで、作品のテーマをびしっと見せつつもむりやり感のないストーリー展開に圧倒されてきた(『私とは何か 「個人」から「分人」へ』も面白かった!)。

この『本心』では「最愛の人の他者性と向き合う」主人公の姿が描かれていて、そのひたむきさや苦しさが迫ってくる。どれだけ近くにいても決して触れられない領域を残しながらもわたしたちは他者を求め、寄り添いあうのだろうなあ、と思う。

出会えてよかった一冊。

『夢に迷ってタクシーを呼んだ』 燃え殻

実は燃え殻さんがとても好き。なんだろう、ちょっと哀しくてちょっと笑えて、ちょっと情けなくて、ちょっとせつない。複雑な思いがこもっているはずなのにさらりと語られるエピソードの数々が、わたしの感情を撫でていく。

あー、わかる。あるある。そうなのよ、なんだかねえ。やんなっちゃうよね。相づちを打ちたくなる。そういう気持ちにさせてくれるエッセイって、ありそうで案外ないと思う。うん、好き。

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2月、3月は忙しく、ほんとうはそれを理由にしてはいけないけれど、まとめての読書記録になった。まあゆるゆると続けていければいいと考えている。

4月はなにを読もうかな。



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