見出し画像

自分を責めてしまうあなたへ:"me too"のこと

前の記事目次一覧

夢をみた。
彼の前の彼女に、彼にされた悪いことを洗いざらい話す夢。
車で引きずられたこと、大事なお金を盗まれたこと、死ねとか役立たずと言われ続けたこと、ひき逃げのこと。
彼女がどんな顔でそれを聞いていたか、覚えていない。
私は、このチャンスを逃さず全部言いたい、とただ懸命になっていた。
夢から醒める前に全部言ってしまわないと。

現実には、彼女とは一度しか会ったことがない。
つまり私は彼女と仲が良いわけでもなく、親身になって話を聞いてほしかったわけでもなかった。
私が夢のなかでしたのは、「誰かに彼の悪事を知ってほしい」という自分の歪んだ欲求をぶつける行為だった。

-

ときどき辛くなるのは、こんなに時間が経っても自分の中から暗い淀みは消えず、彼の悪事が明るみに出ればいいと心のどこかで願っている自分の執念深さ、浅ましさだ。
私はもう歩けるようになったし、二度と会えないと思っていた友達に会えるようにもなった。
日本を去って外国で生きることは簡単じゃないけれど、そのために奮闘することの中には喜びだってある。
もういいじゃない。
私はもうあのことからいい加減に自分を開放しなくてはいけない。
強く誰かを恨むような火をずっと身のうちに抱えていたら、自分が焦げ付いてしまう。

ここから先は

2,051字
この記事のみ ¥ 100

頂いた「サポート」は、よりいいものづくりのために役立てます。