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米下院議長選出、ジョーダン氏が1回目の投票で過半数未達成

割引あり

米下院は次期議長の選出において、共和党のジョーダン下院司法委員長が1回目の投票で必要な過半数を獲得できず、2回目の投票に持ち越しとなった。
ジョーダン氏は200票を獲得し、過半数の217票には届かなかった。



ニュースを読むための背景知識

米国の下院議長は、下院の議事を指導し、立法の方向性を大きく左右する重要な役職です。
この役職は通常、多数党の指導者が就任するが、投票による選出が行われます。

  1. 米下院議長の役割:
    米国の下院議長は、議院の最高の役職として、議事の指導や立法の方向性を決定する重要な役割を果たします。議長は議事日程を設定し、議案の優先順位を決定し、議会の委員会を指導します。さらに、議長は通常、その議会の多数党の公式スポークスパーソンとしての役割も果たします。

  2. 選出方法:
    議長の選出は、下院の議員による直接投票で行われます。選出は通常、新しい議会が開始される初日に行われます。選出には過半数の票が必要であり、多くの場合、多数党の指導者が議長に選ばれます。

  3. ジョーダン氏の背景:
    ジム・ジョーダンは共和党の下院議員であり、オハイオ州を代表しています。彼は下院司法委員長として、多くの重要な議会のヒアリングや調査に関与してきました。彼はまた、共和党内の保守的な派閥である「自由のための下院議員団」の主要なメンバーとしても知られています。

  4. 選挙の背景:
    ジョーダン氏は1回目の投票で過半数を獲得できなかったという結果は、彼が党内で絶大な支持を得ているわけではないことを示しています。これは、共和党内の一部の議員が彼のリーダーシップや方針に疑念を抱いている可能性があることを示唆しています。

  5. 現在の政治的状況:
    米国は2020年の大統領選挙以降、政治的に分断されています。共和党内でも、トランプ前大統領と彼の政策を支持する派閥と、より伝統的な共和党の価値観を持つ派閥との間で緊張が高まっています。この背景の中で、ジョーダン氏のような極端な保守派が議長に選出されることは、党内の分裂をさらに深める可能性があります。

アメリカの国会のシステムについて

アメリカ合衆国の国会(議会)システムは、二院制を採用しており、上院(Senate)と下院(House of Representatives)の2つの議院から成り立っています。
以下に、その主要な特徴と役割を詳しく説明します。

  1. 上院 (Senate):

    • 議席数: 各州から2名ずつ、合計100名の上院議員が存在します。

    • 任期: 6年。2年ごとに3分の1が改選されるため、完全な入れ替わりまでに6年を要します。

    • 選出方法: 州全体を選挙区として直接選挙により選出されます。

    • 資格: 30歳以上、アメリカ市民権を9年以上保持していること、選出される州の住民であること。

    • 主な権限: 大統領や連邦裁判所の裁判官の指名を承認する権限、条約の批准権、弾劾裁判を行う権限(ただし、弾劾自体は下院が行う)。

  2. 下院 (House of Representatives):

    • 議席数: 合計435名。各州の人口に応じて割り当てられます。

    • 任期: 2年。全議席が2年ごとに改選されます。

    • 選出方法: 各州が選挙区に分けられ、各選挙区から1名が直接選挙により選出されます。

    • 資格: 25歳以上、アメリカ市民権を7年以上保持していること、選出される州の住民であること。

    • 主な権限: 予算案や税制に関する法案を提出する権限、大統領や連邦裁判所の裁判官などを弾劾する権限。

  3. 立法過程:

    • 法案は上院または下院のいずれかで提出されます。

    • 提出された法案は各議院の委員会で審議され、その後本会議での採決が行われます。

    • 両議院で法案が可決されると、大統領の署名を経て法律として成立します。

    • ただし、大統領が拒否権を行使して法案に署名しない場合、両議院で3分の2以上の賛成で再採決されることで、大統領の拒否権を覆すことができます。

このように、アメリカの国会システムは、二院制を採用し、各議院が独自の役割と権限を持つことで、権力の分散とバランスを保つことを目的としています。

上院・下院それぞれの議長選出までの過程

アメリカ合衆国の議会において、上院の議長(Senate Majority Leader)と下院の議長(Speaker of the House)の選出過程は、それぞれ異なる特徴とプロセスを持っています。以下に、それぞれの選出過程を詳しく説明します。

  1. 上院の議長(Senate Majority Leader)の選出:

    • 実際には、アメリカの上院には「議長」としての公式な役職は存在せず、実質的な指導者として「多数派党首」(Majority Leader)と「少数派党首」(Minority Leader)がいます。

    • 上院議長の役職は、憲法に基づいて副大統領が務めますが、日常的な業務や議事進行の実質的な指導者は多数派党首です。

    • 多数派党首と少数派党首は、それぞれの党の上院議員による党会議で選出されます。

    • これらの選出は通常、中間選挙の後や新しい議会のセッションが始まる前に行われます。

  2. 下院の議長(Speaker of the House)の選出:

    • 下院の議長は、全議員から選出される下院での最高位の役職です。

    • まず、各党の党会議(または党大会)が開かれ、各党が議長候補を指名します。通常、多数派の党が提案した候補が下院議長として選出されることがほとんどです。

    • 下院本会議の初日に、全議員による投票が行われ、過半数の票を獲得した候補が正式に下院議長として選出されます。

このように、上院と下院それぞれの議長(または実質的な指導者)の選出過程は、議院の性格や役割に応じて異なるプロセスを経て行われます。


関連ニュースリンク

[以前の下院議長選挙に関する報道]


ニュースからの学び

米国の政治の中心、下院での権力の座を巡る選挙が続いている。
注目のジョーダン氏は、1回目の投票での過半数獲得に失敗。
その背後にはどのような動きがあるのか?


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