AI(人工知能)を使いこなしても仕事は楽になりません。仕事は驚くほど「高度化」して新たな競争のステージに移行します

AIクリエイティブ(デザイン分野におけるAI活用)に関する取材・プロジェクト参加・エバンジェライズ活動を開始して2年以上経ちました。
現在は、主に「稼働中のAI」に絞って活動しています。

Creative Edge School BooksのAI(人工知能)情報における分類:

(A)稼働中のAI
(B)まだ研究中(実証実験中)のAI
(C)空想のAI(極端な汎用AIのイメージ)
(D)偽物のAI(マーケティング目的でAIの定義を拡大解釈したもの)

基本的には(A)「稼働中のAI」を中心に情報発信しています。

AI(人工知能)クリエイティブ活動で最先端の技術に触れるほど、AIを使いこなすことで減っていく作業(厳格なコーディングやテスト・分析、情報設計など)と、人間にしかできない作業(見た目のデザイン)が明確になってきます。

●今後、AIを使いこなすことで減っていく(省力化される)作業
・厳格なコーディングやテスト・分析、情報設計、UIデザインなど

●AIでは莫大な費用がかかるため(技術があっても)実行困難な作業
・見た目のデザイン(かっこいい、かわいい、きれいなど情動に訴える表現力)

前者は、AIで飛躍的に効率化・自動化されていく分野となり、AI無しではコスト高になっていく可能性があります。
後者は、人の情動に直接訴求する力ですが、今後のAI時代には重要な力になり得ると感じます。

AIを「道具として」使いこなすとき、重要になってくるのはテクノロジーと人間の「役割分担」であり、「AIで効率化・自動化できて作業レベルの向上にも繋がること」「人間がやった方が安上がりで良い結果を得られること」の見極めです。

そして、これは80年代のデザイン業界におけるパソコン革命(手作業の消滅〜DTP)、90年代のインターネット革命(商用化)で繰り返されてきたことで、AIでも同じであることを確信しています。

扱う情報が毎日増え続けているため、本日はTwitter(@commonstyle)とfacebook(非公開)で投稿したきた情報(2月以降)から一部を選択して、まとめておきます。
1/3が60秒程度の動画投稿です。



明日は、出版社で講演です(大きな出版社では初)。
AI(人工知能)を活用した漫画の個人制作(漫画原作者がAIを使って漫画制作するトライアル)
※デモはキャラクターの作成にコミックシーケンサー「コミPo!」を使用します。
7月のイベントにも登壇します。後日お知らせ。


例えば、漫画家さんがカメラを持ってロケハンしながら、その場でクラウドAI(人工知能)に漫画背景を描かせていく。それを先ほど紹介したように、Lightroom(クラウド)でまとめていけば、Photoshopから直接開ける。
まずAIに背景を描かせて、その絵をベースに私たちが再描画してもいいと思います


Adobe XDの大型イベント「All About XD」では、1時間かかった作業を15分で完了させるラピッドプロトタイピングをAdobe Sensei(機械学習)を使って実践する方法を紹介します
4月28日(定員300名)はすでに満席となり、6月30日に再演が開催されますが早割りは本日午後2時まで。


デザイン作業で試していることもお話します。
私たちのクリエイティブワークが、AI(人工知能)で変わるとすれば、作業の「スピード」であることは間違いありません
全て一から作るのではなく、要件定義を読み取ったAIに数十のパターンを提案させて、そこから人間が丁寧にマネジメントしていきます。


この写真はNVIDIAが昨年10月に発表したAIが創り出した「この世に存在しない人間」ですが、Adobe MAXで紹介されたDeep Fillも同じGANで訓練されており、このAI機能がPhotoshopに搭載された時、クリエイティブ業界における画像処理の革命と呼んでいいと思います。


先ほど紹介した、AIが創り出した「この世に存在しない人間」の写真を別のAIでイラスト化した結果です。写真をベースにAIが描画していますが、その写真の人物たちは、AIによって創り出された実在しない人間です。
これこそクリエーター(創造主)と言ってよいかもしれませんが気持ち悪さは残ります。


AIを使いこなす個人の多くは公表しないよね。興味深い記事です

"AIの生成物なのに人間が「自分が作った」と主張するとどうなるか"
"こういった主張ができる以上、結局大量のAIコンテンツについて著作権が主張される可能性は高い"

/AIが作ったコンテンツの著作権はどうなる


PhotoshopにDeep FillのようなGANを使ったAI機能が搭載されることで、フェイク画像の敷居を飛躍的に下げてしまうことを危惧している人もたくさんいますが、議論が必要です。
/「動画版アイコラ」(Deepfake)が問いかける“ヒト”と“コンピューター”の悪夢的近未来とのつきあい方


今週の「AIクリエイティブ」の再演(研究報告)は、AdobeのCommunity Evangelist としてお話させていただきますので、Adobe製品及びサービスとAI(人工知能)に関するクリエイティブワークの実例が主体となった構成です。


講演記録(AIクリエイティブ)
AI(人工知能)描画とPhotoshopで、2時間の作業が30分で終わります。
残りの90分で作品のクオリティを高めていきます。
Coproducción humana con AI.
AI와 인간의 공동 제작.
Coproduction humaine avec l'IA.
AI(人工智能)和人性化设计。


2時間の作業を30分で完了できると、修正や手直しを恐れて表現を限定していた作業が変わります。クリエイティブ分野において、AIは人間の創造的な作業を奪いません。
切り抜きやレタッチなどの作業はAIが処理しますが、私たちはイマジネーションを掻き立てる時間が増え、表現に集中できるようになります。


講演記録(AIクリエイティブ)
AI(人工知能)描画とAdobe Photoshop/Adobe Sensei Creative
AIが提案するバリエーション20案から選択・最終仕上げ
Coproducción humana con AI.
AI와 인간의 공동 제작.
Coproduction humaine avec l'IA.
AI(人工智能)和人性化设计。


こちらも昨年のAdobe MAXで紹介されたAI機能、Scribbler(論文PDF http://scribbler.eye.gatech.edu/paper.pdf )です。
中央は人物の目を消して線を引いています(目を閉じた表現)、右側は目の周辺に楕円形を描いています(メガネの表現)、そして下の画像が、AIによる描画・着色です。


Adobeは昨年(2017年)、CVPRに26、SIGGRAPHに17件、TOGに2件、ICCVに17、SIGGRAPH Asiaに4件、合計66の論文を発表しています。
この中には、AI自動着色のScribblerなども含まれています。
本日夕方からの発表会(Muse終了後)では、Photoshopに搭載される可能性の高いAI機能についてお話します。


AIによる描画も、AIが処理する自動切り抜きも、スマホだけで実行。
移動中にスマホで作成した漫画背景が、1万枚超えたことは、まさに「AIによって人間が強化される」ことを証明していると言えます。

スマホ持って街歩き( http://bit.ly/2oUvQhX )。
AIによる「漫画背景」「アニメ背景」ひとり旅。


Adobe Summitを見ていて、あらためて確信したのは仕事の「超」高度化です。
パソコンの普及期、インターネット黎明期を思い出してください。テクノロジーで、むしろ人間の作業量は増えました、そして仕事が凄まじく高度化していきました。
AIでも全く同じ、歴史の繰り返しです。


いよいよだ!

"開発者は、画像へのタグ付けの自動化、画像のトリミングの自動化など、コンテンツ配信、アセット制作、コンテンツのパーソナル化を迅速化するアルゴリズムを利用できる"

Adobe Senseiは「プロダクト」ではなく「テクノロジーセットのフレームワーク」である


Es una pintura de paisaje dibujada por AI.
C'est une peinture de paysage dessinée par AI.
AI(人工知能)が描画した乾物屋
一人で、1万枚の漫画背景を描画しましたが、これがAI革命です。

スマホ持って街歩き( http://bit.ly/2oUvQhX )。
AIによる「漫画背景」「アニメ背景」ひとり旅。


Adobe Lightroom CC(クラウド)に「AI(人工知能)描画による漫画背景・アニメ背景」の共有用アルバムを作成して、とりあえず1万枚から1,000枚をセレクトしてみました。
Googleフォトで共有しようと試していましたが、かなり手間になることがわかり、スマホで移動中にできるLightroomで進めます。


Ilustración dibujada por AI (inteligencia artificial).
Illustration dessinée par AI (intelligence artificielle).
AI(人工知能)が描画した人物。
AIの入り抜きの描画技術、かなり上達。
特に髪の毛の表現。

スマホ持って街歩き。
AIによる「漫画背景」「アニメ背景」ひとり旅。


本日の午前の講演(AIクリエイティブ)
「絵は描けないが絵心はある素人が、AIを使ってイラストレーターになる」
「プロのイラストレーターが、AIを使いこなして新境地を開く」
80年代、線を引く道具がロットリングからパソコンに変わったように、AIも新たな道具として使いこなすことになるはずです


クリエイティブ分野におけるAI革命とは、スピード革命であり、3時間かかった作業を30分で終わらせます。
ただし、AIに作業を任せて人間は楽になる、なんてことはありません。仕事が高度化し、新たな競争に変わるだけです。
パソコンの普及、インターネットの商用化と、同じことが繰り返されてきました。


Es una pintura de paisaje dibujada por AI (inteligencia artificial).
C'est une peinture de paysage dessinée par AI (intelligence artificielle).
AI(人工知能)が描画した街風景。

スマホ持って街歩き( http://bit.ly/2oUvQhX )。
AIによる「漫画背景」「アニメ背景」ひとり旅。


Ilustración de una persona dibujada por AI.
Prueba de coloración automática.
Illustration d'une personne dessinée par AI.
Test de coloration automatique.
AI(人工知能)描画による人物、及び自動着色のテスト(再実行)
これは、既存のAIシステムを適用したものです。


Ilustración de una persona dibujada por AI.
Illustration d'une personne dessinée par AI.
AI(人工知能)が描画した人物画。
すでに、元の写真から逸脱し始めているので、(写真そっくり、といった)リアリズムは感じなくなってきた。
Photoshop のフィルタを使った画像処理とはまったく別次元


Un cómic dibujado por AI (inteligencia artificial).
Une bande dessinée dessinée par AI (intelligence artificielle).
AI(人工知能)が提案してきた4つの表現
自動着色を併用するなら右上か?
AIと対話しながら進めるADI式

スマホ持って街歩き
AIによる「漫画背景」「アニメ背景」ひとり旅。


Una foto de una persona dibujada por AI.
Une photo d'une personne dessinée par AI.
AI(人工知能)にペンでガリガリ描かせる。
AI描画でここまでデフォルメさせるのは、実はすごいことなのです。

スマホ持って街歩き。
AIによる「漫画背景」「アニメ背景」ひとり旅。


AI(人工知能)クリエイティブ
7月のイベントで報告しますが、まずテストや効果測定、使いやすいインターフェイスデザイン、情報設計などがAIで省力化されていきます。
逆に、AIでは(お金がかかりすぎて)不可能なのが情動に訴える見た目のデザイン。現在、デッサンの学習コンテンツを用意しています。


絵を学びたい人には、デッサンで描画力と観察眼を鍛えてもらいますが、調子をつけない線描を推奨しています。
一方で、絵は描けないが、イラストや漫画でコンテンツを創作したい人には、AI(人工知能)描画のトライアルプログラムを準備中です。

AI(人工知能)が描画したデッサン本。
デッサン本が完成


一昨日、アップデートした「Adobe Scan」を検証中。
Adobe Senseiのユーザーデータの学習が進み(月間アクティブユーザー数は230万人とのこと)、自動補正やトリミングの精度が向上してます。
やっぱり、AIも「道具でしかない」と感じます。
成長していく道具、というのが今までと違いますが。


AIクリエイティブ・テスト:
実験的に全ての作業(切り抜き〜線画化)をAIで実行
クラウドAIを使用することで100枚の写真を20〜30分程度で「線画化」することができました。
写真の切り抜きは、自動補正(ニューラルネットを用いたAI機能)とSelect Subject(1月23日に搭載)を使用


AIクリエイティブ・テスト:
本日のテストは成功しました。
プロトタイプでは問題なく使えるレベル。Webデザインにおいても大半はクリア。印刷で使う場合は人間の作業が必要(まだ使用できるレベルではない)。
切り抜きは自動補正(ニューラルネットを用いたAI)とSelect Subject(1月23日搭載)を使用


Animal dibujado por AI (inteligencia artificial).
Animal tiré par AI (intelligence artificielle).
AI(人工知能)が描画した動物。

スマホ持って街歩き。
AIによる「漫画背景」「アニメ背景」ひとり旅。


小学校の野外学習でこういう無料アプリ使ってほしいなぁ。
ニューラルネットワークを使って撮った写真(植物や小動物)を分類、現在このアプリは、3万種を認識するようです。
※iOS 11.2以降
Free “Shazam for Nature” App Identifies Plants and Animals in Your Photos


En Japón existe un software de aplicación para crear dibujos animados.
Es una herramienta llamada Comi Po!
Comi Po!라는 만화 도구를 사용하여 만들었습니다.

Estoy usando AI para el final.
마무리는 AI를 사용하고 있습니다.
(コミPo! で作成した3Dキャラクターを
AIで再描画しています)


このようにワイヤーフレームの人間の関節を動かして、ポーズを決めると、ドローイング描画スタイルが適用されるというイメージです。
2月に公開された Adobe Sensei のビデオから4秒ほど抜粋。


次期 Windows 10 では、PrismaのようなAIアプリが開発しやすくなりますね!
AI 描画による漫画背景、アニメ背景の処理も可能です。
AI Platform for Windows Developers


評価の高い先生の授業をビデオ化、生徒一人ひとりの個別カリキュラムはAIが分析・生成、現場の先生は動機づけや目的意識を持たせるなどのケアをする。
教育におけるAI・人間の理想的な役割分担だと思います。

/生徒の苦手分野をAIが特定し、教材を自動生成


個人でも、DMにおいてAIで実現すべきはcontent velocityです。

"「コンテンツベロシティー」の実現に向けて"
"ANAのWebサイトは総ページ数が約27万にもなる"
"27万ページ超のコンテンツを管理するために必要なこと"

/ANAはなぜデジタルでの顧客体験向上を重視するのか


AI(人工知能)による描画は、スマホでやっていますが、その他の高度なAI機能もスマホです。
Photofox やVideoleapなどを使えば、スマホでも「驚くほど高度な作業」が可能ですよね。全機能使うには8,000円くらいかかりますが、わざわざパソコンを使う気になれないほど凄い。


AI(人工知能)によるレイアウトの提案機能
右が、Adobe Sensei による「コンテンツに応じたレイアウト」です。


AIによる雇用市場の変化にWebデザイナーはどう対応すればよいのか?
AIと競う状況に陥らないように。

"Don’t Compete with Technology – Use It to Your Advantage"
(テクノロジーと競争してはいけない)
How Web Designers Can Keep Up with Job Market Transformations


2014年のスニークピークで紹介されたTimeOfDayでは写真をゴッホの絵に変換するデモもあって、AIはかなり前から研究してます。今回のAI自動着色の論文はこちらです。


講演資料 - AI(人工知能)と電子出版|Creative Edge School Books @commonstyle|note(ノート)


投稿者:
Creative Edge School Books
投稿日:
2018年4月7日(土)

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