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魅力あるコミュニティは新たなコミュニティを生む


私はこれまで様々なコミュニティについて書いていますが、今日は「良いコミュニティをつくることでどんなメリットがあるのか?」ということについて書いてみます。

というのも、所属する側からすると、良いコミュニティに所属できると楽しい時間が増えメリハリのある生活を送ることができます。しかし、コミュニティを作る側から見た良いコミュニティを作るメリットについては、あまり書いていなかったように思ったからです。

ということで、今日は作り手側からみたコミュニティを作るメリットについて例を挙げながら書いてみます。


魅力あるコミュニティとは


私が思う魅力あるコミュニティとは下記の3つを満たすコミュニティだと思っています。

魅力あるコミュニティの条件
・コミュニティの中の人が楽しそう
・コミュニティのメンバーが定期的に入れ替わる
・プロジェクトによってリーダーが変わる

コミュニティの中の人が楽しそう

大前提として活動している本人たちが楽しそうにしていないと魅力的には感じませんよね。この楽しさがなくなってくるとコミュニティの持続はもとよりメンバーの中に「やらされている」という感情がどんどん募ってしまいます。こうしたコミュニティは、”伝統”や”きまり”という言葉の下、半ば強引に運営がなされてしまいます。この典型が保護者会やPTAです。


コミュニティのメンバーが定期的に入れ替わる

コミュニティのメンバーが固定化されてしまうと、中の人は楽しいのかもしれませんが、外から見ると「もう出来上がっているな‥‥」と非常に入りにくく感じてしまいます(詳細は下記のnoteに書いています)。代表的なものに田舎のコミュニティがあります。特に過疎地域では、多くの住民が同じ土地に50年ほど住んでいますので、強固なコミュニティが出来上がっています。こうしたコミュニティは、外部が「入りづらい」と感じることに加えて、コミュニティ内の人も「よそ者」という意識を抱いてしまっています。度々、地域おこし協力隊が地域に馴染むことが出来ずに早々に退却してしまうのも、こうした住民感情が渦巻いていることが原因です。(対処法もあるのですが、、)


プロジェクトによってリーダーが変わる

運営は少人数で行う方が望ましい、と考える方も少なくありません。しかしコミュニティ内の企画やプロジェクトに応じてリーダーを変えることで、多くのコミュニティメンバーに”当事者意識”を抱かせることが出来るようになります。こうした当事者意識は、プロジェクトが終了すると”そのコミュニティに対しての愛着”へと変わります。そのため、プロジェクトが終了した後も別のプロジェクトでサブリーダー的役割を担ってくれるようになります。


以上、簡単に3つについて説明しました。この3点のうち、どれが欠落してもコミュニティとして成立しなくなってしまいます。言い換えれば、この3つを意識してコミュニティづくりを行っていけば、相当なことがない限りコミュニティが消滅することはありません。そして、この3点をしっかり意識している魅力あるコミュニティには、うれしいオプションがついてきます。


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ある過疎地域の体操教室の例


魅力あるコミュニティ運営がなされていると、多くの場合、そのコミュニティから新たな活動や新たなコミュニティが生まれることがあります。


私は大学院で地域のスポーツについて研究活動を行っていたのですが、その中で過疎地域の高齢者体操教室に行くことがありました。


その教室は、会員の平均年齢が70歳を超えていて、最高齢は93歳の女性。普通、高齢者の体操教室では、活動量や可動域に差が出てくることから、教室の難易度に不満をもつ高齢者が出てくることが多いです。しかしこの教室では、不満をいうどころか全員がニコニコと体操をしており、言葉の通り、笑顔の絶えない教室活動でした。

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こうした笑顔の理由について会員さんの何人かにお話を伺ってみると

「楽しいわよ。体操や運動をしに来ている、というよりは人に会いに来ているような所もあるからね。」 (80代 女性)
「楽しいと誰かにオススメしたくなるじゃないですか?だから結構、メンバーの紹介で(新しく)来る人も多いですよ。そういう人達も楽しんでくれるから、また誰かを紹介してくれるという。そういう楽しさの連鎖みたいなのがあるんじゃないかな。」 (70代 男性)

という答えが返ってきました。併せて、この教室の運営の方にもお話を聞いてみると、下記のようなコメントが返ってきました。

「ここは体操もそうなんだけど、なんでも活動するのよ。この前なんて畑の収穫をやったしお花見もやったわ。でもその時は「言い出しっぺが企画する」って決めているの。」 (運営者 60代 女性)


この教室に笑顔が絶えない理由は、まさに上述した魅力あるコミュニティの3要素をすべて兼ね備えていたから理解することができます。

そしてこの体操教室へ深く関わっていくと、この体操教室をキッカケに様々なコミュニティが生まれていることが分かりました。それについて運営者の方はこのように話していました。

「実は、この体操教室から旅行サークルをつくることになったの。ある時、休憩中、メンバーの1人が旅行に行ったらしい、という話で盛り上がったの。その時に「私たちもどっか旅行いきたいよね。」となって、体操教室でバス旅行を企画したのよ。そしたらもう大好評で。だから、メンバーは体操教室とさほど変わらないんだけど、定期的にみんなで旅行する”旅行サークル”を新しく作ったの。今は30人くらいになってるわ。」 
(運営者 40代 女性)


すなわち、魅力あるコミュニティというのは、新しい活動や新しいコミュニティづくりのキッカケを与えてくれる場にもなります。上記のような「みんなで旅行行きたいよね」というのも、魅力あるコミュニティだったからこそ生まれたアイデアであり、コミュニティそのものが楽しくなければ、こうした言葉は出てきません。


コミュニティが新たな活動や新たなコミュニティを生む。


魅力あるコミュニティはこうしたコミュニティづくりが循環させる力を持っています。

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まとめ


今日は、魅力あるコミュニティの条件とそれらコミュニティづくりを行うメリットについて書いてみました。

魅力あるコミュニティの条件
・コミュニティの中の人が楽しそう
・コミュニティのメンバーが定期的に入れ替わる
・プロジェクトによってリーダーが変わる

こうしたコミュニティをつくるメリット
新しい活動や新しいコミュニティをつくるキッカケとなる

コミュニティをゼロからつくるのは本当にマンパワーが必要なことです。しかし、一度魅力あるコミュニティをつくってしまうと、そのコミュニティを起点に新たな活動やコミュニティがどんどん生まれていく為、コミュニティ運営がより容易になっていきます。そして何より「こんなことやろうぜ!」とメンバー側から新たな提案をしてくれるため、自分の想像を超えたコミュニティ活動を行うことが出来ます。


平凡な5つのコミュニティより、1つの魅力あるコミュニティ。


これこそが、これからのコミュニティに求められることです。今日は、作り手の側からコミュニティづくりについて考えてみました。





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