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気候変動も生物多様性も〜持続可能な世界を目指そう

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双子の条約と言われる、「気候変動枠組条約」と「生物多様性条約」だけど、後者はどうしても分かりにくいですね。でも、持続可能な世界の実現には、避けては通れません。どちらも一緒に学んで… もっと読む
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記事一覧

これから10年間コミットします

4月6日〜7日の1泊2日で、熊本県山都町で開催された、Present Tree 主催の植樹イベントに参加してきました。 同僚に誘われて、何をやっている団体なのか全然知らない状態での参加だったのですが、人生観が変わりました。これまで、10年以上森林吸収系クレジットに携わってきていながら、恥ずかしい限り。やっぱり、practitionerであるべきですね。 詳しくは、公式サイトを参照頂きたいのですが、ひと言で言うと、日本の森林の未来を照らすプラットフォーム、OSかな。 事業

ワカメは順調に生長中

ブルーカーボン第1弾として、小坪漁協のワカメの養殖プロジェクトを行うことを、昨年お伝えしていました。 場所は、日本随一のヨットハーバー、葉山マリーナのすぐお隣。 前回訪問時はヨットも多数出ており、入り込まれのではと心配しました。 昨年は種付けしてから1週間程度だったので、数センチ程度だったところ、1か月半経つと、1m以上まで成長していました。 2月半ばから収穫が始まりますが、一気に刈り取るのではなく大きく成長したものから順に間引いていくそうです。そうすることで、周りのワ

2024 New Year's Resolution

2024年になって、早くも1ヶ月。 元日に立てた「New Year's Resolution」について、どのようなスタートが切れたかを思い返していたところです。 ブログのヘッダー画像にあるように、この地球はかけがえのないもの(Irreplaceable)であるという認識の下、次の3つのビジョンに基づいて行動していきたいと考えています。 「Butterfly Effect」については皆さんよくご存知かと思います。個人的には、このブログがまさしくそうで、2022年4月に始め

UNの環境報告書斜め読み(2)

国連の環境報告書「Greening the Blue Report 2023」の輪読(?)実施中。 前回は、構成を紹介しつつ、独断と偏見を述べさせて頂きました。 今回は、GHGについて、気が付いた点をピックアップしようと思います。 最初にバウンダリーの説明をしておきますね。 算定対象は、スコープ1・2と、スコープ3のカテゴリー6「出張」のみです。 カテ6だけを算定に含めているのは、国連の任務が出張抜きには成り立たないことを十分認識しているからです。 では、GHG排出量を

ブルーカーボンのおさらい(3)

皆さんの関心が高まってきたことを受けて、改めてブルーカーボンについて、簡単なおさらいをしております。 1回目は、ブルーカーボンの定義についてお話ししました。 2回目は、ブルーカーボンを取り巻く情勢について。 3回目の今回は、ブルーカーボンの登録・認証スキームである「Jブルークレジット」についてご案内していきます。 「Jブルークレジット」とは、パリ協定の発効に伴い、いわゆるブルーカーボン生態系のCO2吸収源としての役割その他の沿岸域・海洋における気候変動緩和と気候変動適

2023年のVCMを振り返ってみよう(3)

cCarbonのレビューを拝借して、2023年のVCMについて振り返って見るシリーズも3回目。2回目はクレジットの多様性について説明しました。 この4年を見るだけでも、方法論やプレーヤー、使用しているクレジットスキームなど、多様になっていることが、分かってきました。 今回は、発行量の時期的な移り変わりを、一緒に見ていきましょう。 1回目に、償却量(retirement)について見たときに、季節性を考慮しても、12月が突出して多かったことをお伝えしました。他方、発行量(is

2023年のVCMを振り返ってみよう(2)

cCarbonが、2023年のVCMについて分かりやすくレビューをしてくれていました。ですので、それを参照しつつ、個人的なコメントも織り交ぜて、お届けしております。 前回は、カーボン・クレジットの償却量(二度と使えなくする処理で、利用量と考えてもらってよいです)について説明しました。今回は、その種類と発行量について見ていきたいと思います。 方法論毎の発行量がこちら。 2020年から2023年までの4年間という短い期間ですが、再エネ導入からREDD+、そして高効率機器への

SBTi参加企業数アップデート

毎月定例のSBTi参加企業数、2024年1月度。 毎週木曜日にアップデートされますので、2024年1月25日現在です。 前回はこちら。 最初に、お詫びと修正です。 下記のような誤りがありました。 ですので、Net-Zeroの参加企業数は「審査中」の企業数分だけ増えますし、SBTi短期の認定率は、分母が「コミットのみ」の企業数だけ減るので、高くなります。 今回から、SBTi短期には「審査中」「コミットのみ」を追加します。 また、認定率は正しく計算したものを掲載します。(残

開示プラットフォーム~CDP以外の選択肢?

回し者ではありませんが、これまで何度となく、適切な情報開示を行うためには「CDPを利用しましょう」とご案内してきました。 これからも、当面はこのスタンスは変わらないとは思いますが、ESG全体に関わる情報開示においては、様々なコンペティターがいるのも事実。 つい先日SNSで教えてもらったのですが、こちらは、課金しなくても、非常に利用価値があるのではと思いました。 「ESG報告の世界は複雑であり、何が、どこで、どのようにサスティナビリティ情報を開示すべきかを理解し、最新の動

日本の農業の未来は明るい!?

2023年1月22日、札幌で開催された、HAL財団主催のトークセッションに参加してきました。北海道を拠点にした財団でありながら、全国各地から、先進的な農業を実践されている農家の皆さんや、農業や食に関わる事業者、シンクタンク、政府関係者、コンサルタントの方々など、総勢約100名が北の大地に参集しました。 参加されたのは、いずれも、サスティナブルな農業を目指して、先進的な取組をされている方々ばかり。稲作が、いかにGHG、特にメタンを排出しているかを認識されており、このままでは、

統合化の端緒となった2023年(3)

(1)で情報開示の「内容」、(2)で情報開示の「方法」を振り返りました。 3回目の今回は、算定の対象及び方法を見ていきましょう。 2回目でもご案内したように、企業は、組織の排出削減に励む一方、製品単位での排出量を表示し、最終消費者の判断材料とする動きが顕著になってきました。排出量が少ない製品を購入すれば、グローバルでの排出量の削減に繋がります。 製品やサービスのライフサイクル全体におけるGHGの排出量は「カーボンフットプリント」と呼ばれ、ISO規格も存在します。(ISO1

UNの環境報告書斜め読み(1)

UNの環境報告書「Greening the Blue Report 2023」が公開されています。 脱炭素の旗振り役、大本営の現状は、いかがなものでしょうか。 製造部門を有していないグローバル企業とでも言いましょうか。 ちょっと斜め読みしていきたいと思います。 「1.環境影響」「2.環境マネジメント」「3.方法論」の三部構成となっていて、1と2は、各項目毎に一つの国連機関の事例を採り上げて紹介しています。 例えば、「2.2 Waste」では、1ページ目でUN全体のデータ

ネットゼロとカーボンニュートラリティ(2)

ISO化された「Carbon neutrality」、社内で推進していくためにはまずは基本を抑えておきましょうと、用語の説明を行っています。 前回は、GHGと温室効果ガスの違い、ネットゼロとカーボンニュートラリティの本質について説明しました。 今回は、ネットゼロのムーブメントの発端となった、UNの「Race To Zero Campaign」の定義を参照しつつ、ネットゼロとカーボンニュートラリティの違いを確認していきたいと思います。 「用語集(Lexicon)」を参照し

統合化の端緒となった2023年(2)

前回は、情報開示の「内容」について見てきました。 今回は、「方法」について振り返りたいと思います。 情報開示「方法」については、何をさておいても、開示プラットフォームのデファクトスタンダードを標榜するCDPでしょう。 回答は、サス担としては絶対外せない、毎年の恒例行事。 2022年からは、プライム上場企業全社が対象となりが話題となりました。 皆さん同様私にとっても一大関心事なので、繰り返しご案内しています。 そんなCDP、2024年にはドラスティックな変更があります。