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シンガポールドル

ドルに対して円が弱くなっている。

実際、過去10年ほど、シンガポールドル自体は円に対して強くなってきていたが、(1シンガポールドル=70円~など)最近は、本当に信じられないくらい強い。なんと、2022年10月時点で1シンガポールドル=104.36円である。

その昔、1ドル58円、60円という時代を見てきた私としては、もう驚くばかりである。シンガポールドルの成長のすごさよ!まさに、日本で買い物したくなる衝動を抑える毎日である。

驚くことなかれ。シンガポールドルと言えば、1990年代、ヨーロッパのどこの両替屋に行ってもシンガポールドルはなかったので、両替するには銀行に行かねばならなかった。ヨーロッパに行く前には、米ドルに換えていったり、日本円を持って行ったりしたものだ。そのたびにアジア通貨の弱さを感じた私。フランス・パリでは、シンガポールドルでフラン(まだユーロはなかった時代)を買ったら、もはや使用できないフランに替えられたこともある。

シンガポールに住んでいる人間からすると、シンガポールドルというのは、アジア諸国では無敵の強さがある貨幣である。正直、東南アジア諸国で使用するときは、少しだけ財布のヒモも緩んでしまうくらい、レストランに行けば、メニューの値段を気にせずオーダーしたり、ショッピングも少しだけ多めに買い物したりする。従って90年代にヨーロッパに行った際は、シンガポールドルの弱さにものすごいショックを受けた。今はもちろん、シンガポールドルはヨーロッパでも大抵の両替屋にある。(私は、海外に出るとほぼクレジットカードを使用するので、現金を使用することはほぼないが、両替に表示されている通貨は時々チェックする。)時代は本当に変わったものである。

シンガポールドルと言えば、今でもアジア諸国では強い通貨だが、コロナ前にとても印象的な出来事があった。ある週末、ベトナム・サイゴンで1人でランチを食べていた時、私の後ろの席に、アメリカ人と田舎から出てきたであろう素朴な感じのベトナム人の女の子が食事をしていた。普段、人の話など気にもしない私だが、その時アメリカ人が大きな声を出し、一生懸命その女の子を口説いていたので、私はこっそり2人の会話を聞いていた。

どうもそのアメリカ人は、シンガポールから出張でベトナムに来たらしい。シンガポールドルの話だろうか、しきりに「俺は、ベトナムドン(ベトナムの通貨)でミリオン単位でお金を持っているんだ」とその女の子に話していた。私は、「そうだろうな・・シンガポールドルだったら、ベトナムドンではミリオネアには簡単になれるから、彼女を一生懸命口説くんだろうな・・」と、ロータスサラダを食べながら一人心の中で笑ってしまったことがある。

そのシンガポールドル。今では、このアメリカ人のようにミリオネアとはいかなくても、シンガポールドルを持つシンガポール人は、日本で爆買いをするであろう。シンガポールドルを少し前に日本円に両替し、日本に長期滞在している私。今はちょっぴり悔しい思いをしている。





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