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農業を使った研修の持つ、学びを腑に落とす力

えと菜園では農作業を使った社員研修プログラムを行っており、プログラムを取り入れて下さっている公益財団法人日本生産性本部の足立 伸也様にお話を伺ってきました。

仕事内容

人材育成の仕事をしていて、4月は新入社員研修が多いです。1年を通して様々なテーマで研修を実施しています。講師として研修を実施する場合もありますし、企業様と各テーマの専門家をつなぐプロデュースをする場合もあります。そのような仕事をしています。

企業研修の話をえと菜園さんに依頼したのは、前任者になります。インターネットで「農業 研修」と調べてたまたま見つかった、と聞いています。それからもう数年お付き合いさせていただいていますし、農業を使った研修を毎年リピートして取り入れて下さる企業様もいらっしゃいます。

農業を使った研修の面白さ

農業を使った研修って2つ意味で面白いなって思っています。

1つは体験を通じた気づきの面白さです。やはり、人の学びって、腑に落ちないと身につかないと思っていまして。その意味で体験って腑に落とす力が強いと最近特に思うので、農業という体験を通じた研修というのが面白いと思います。

2つ目の面白さは何が起こるかのわからなさです。自然の環境変化もそうですが、研修参加者に同じ状況で、同じ情報を出して、「こういうことをお願いします」って始めると、チームやメンバーによっての動き方も違いますし、出来栄えも違ったりする。同じことをやってくださいねって言っても、相互作用が生まれてそれぞれの結果が変わってくる。この面白さですね。

この研修で身につくこと

農業を使った研修で身につくことは、3つあると思います。「考える力」と「コミュニケーション」と、「チームワーク」の3つです。

「考える」は、研修で農業をする方のほとんどの人が農業をやったことがないんですよ。何をすれば良いか分からない状況に置かれると人は考えますよね。仕事もそうですし、人生でも知らないことをやる時って考えるので、やったことがない農業の場に来ると考える力が伸びるんじゃないかなって思っています。

「コミュニケーション」は、一人で考えることの限界、考えてもわからないことはあります。その時にチームメンバーに聞いたり、場合によっては講師に聞いたりしますよね。分からないことがあった時の聞き方、「こういう風に聞けば重要な情報も引き出しやすかった」などの学びになるので、いろんな方にいろんな方法で聞くプロセスを通じてコミュニケーション力が向上すると考えます。

「チームワーク」は、農業は一人でできないこと、できてもとても時間がかかる作業があります。チームで行うことで、でき上がりやすくなる、より短時間でより質の良いものができます。チームでことを為す力、やりがいや達成感、共感などそれらの感覚が腑に落ちて学べると思います。

研修中や研修後に実際の効果が見られる

実際に研修を受けられる方の変化が見られますが、例えば、天地返し※からウネ作り※をする時の午前と午後で違いを感じますね。時間や出来ばえの違いもありますが、チーム内での会話の質と量の違いも感じます。午前ではなかった会話、例えば、ゴールや全体観を共有した上での最初にこういう風にやっていこうっていう会話からそれぞれが確認しあって動くように変わっていると各チームで感じられます。全体的に会話の量も増えますね。
(※天地返し・・・スコップを使って畑を耕すこと)
(※ウネ作り・・・野菜を植える場所を作ること)

1回まずやってみて、もっとこうしたらいいんじゃないかにそれぞれが気づいて、振り返って話し合う。次にやるときに、やり方を実際変えることによって、結果も変わる。そういうことが目に見えて感じられます。

あと、この農業を使った研修って、印象にすごく残ると思うんですよ。全くやったことない体験だし、普段とは別世界に来て、五感全てを使っているし。インパクトが大きいので、今後の仕事の中で、また、別の研修を受けた時に、ふと、4月に畑に行ったな、雨降ったななど思い出しやすいと感じます。そのときに、個々人感じることは違うと思いますが、当時の経験が一人一人のキャリアにとって、何らかの意味を持つと想像できます。時間が経っても効果が、その人のタイミングで現れてくると確信しています。

新入社員研修だけでなく、色んな人に効果があると思う

さきほどお話した、考える、コミュニケーション、チームワークは新入社員でなくても、若手・中堅・管理職前・管理職いずれの人にとっても意味があると思っています。社会人のキャリアの節目節目で考えることが違うと思うので、色んなタイミングで取り入れて、普段とは離れた場所から、普段を思い返し、学びや気づきを得るいい機会になるのではないかと思います。

こんなことを課題に感じている企業様に向いている

以下のような課題をお持ちの企業様に農業を使った研修を勧めたいと思っています。1つ目はPDCAサイクルを仕事の基本にしたい会社。二つ目はチームで仕事をしたい会社。三つ目はメンバーとの繋がりを太くしたい会社です。

1つ目のPDCAを仕事の基本にしたい会社というのは、「製造業、サービス業でPDCAサイクルって本当に使えるの?」って、いろんな意見があるのは分かった上ですが、「考えて動いて振り返って次に生かす」ことは、どの働き方にも共通していますし、より良い仕事をしていくための基本的な力だと思っています。「考える」と「動く」、かつ「振り返り」、「次に生かす」の各ポイントはすごく大事だと思っているんですよね。農業はその各ポイントを腑に落としやすい一連の体験だと、私も一部やってみて、横で見ていて感じます。そこを働く上での行動にまで落とし込みたい会社にとっては、農業を使った研修は非常に有効だと思っています。

2つ目のチームで仕事をしたいっていう会社は、個々で動きがちな仕事を、チームでやれば、より良い成果を出しやすいと考えている会社です。個々でやっている力を最大限引き出すチーム作りをどうすれば良いか、共同作業を通じて、チームの良さもやりにくさも感じていただくことが、会社に帰った後にチームでの仕事って何かを考えるきっかけになるのかなと思います。仕事によっては個々ではなくチームでした方が価値が高まることもありますし、少なくともメンバーからのフィードバックの機会があると価値が高まると思います。

3つ目のメンバーの繋がりを太くしたい会社っていうのは、M&A等で、他の会社を吸収したり、合併したりする会社、もしくは中途の方が多い会社などです。新しい方と急に一緒に働くことになり、メンバー間のつながりをいかに太くするかを課題に思っている会社です。今後M&Aや中途入社の人が多くなる会社はどんどん増えていくと思うんですけど、新しい経験をすると人の見えないところが見えやすくなります。「この人ってこういう人なんだ」「こういった強みがある人なんだ」って気づくきっかけになり、お互いのことを深く知り合えると思うんですよ。今まで知らなかったことを知り、相手の理解が進めば、相手をより信頼できるし、一緒に仕事をしたいと思えたり、よりよい仕事ができたり、そういうメンバー同士の繋がりを強くしたいって会社にも非常に有効なのかなって考えています。

株式会社えと菜園の魅力「専門性の高さ」

この農業を使った研修をやっていただいているえと菜園さんの強みは、専門性と柔軟性と考えています。

専門性は2つあって、一つは農業自体に関する専門性、もう一つは多様な人々の農業体験による学び方の専門性です。特に後者はいろいろな属性の人々が農業体験をする場の実績によって、関わり方が上手だなと感じています。どういう関わり方をすればその人がより良いスタートがきれるのか、より良い学びを得られるのかの蓄積がある中で研修をご一緒できているのは私自身も嬉しいです。

もう一つの柔軟性は、自然環境の変化にも柔軟に対応いただけることです。雨が降ったり、風が強くなったり、様々予定通りにいかないことが起きますが、こういう研修をしたいっていう思いを汲み取っていただき、その状況に合わせて柔軟に対応いただけるのは非常にありがたいなって感じています。以上の専門性と柔軟性がえと菜園さんの強みなのかなって思っています。あとスタッフの方がいい人たちですよね(笑)

公益財団法人日本生産性本部 HP

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