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【宝物が眠る場所】

大人の男性が着たくなる男服。アパレル歴20年。1年で売上全国1位になったメンズスタイリストが大人の男のおしゃれ力を解放します。

【宝物が眠る場所】
私が今の私になる日まで~エピソード0~


今日は、自分の過去。
アパレル業界に足を踏み入れた時のことをお話ししようと思います。

おしゃれと生き方って順応しだすと互いが支え合うように比例するんですよね。

今でこそ、アパレル歴やら1年で売上全国1位やら言ってますが、自分はアパレルを始めた当初、ただただ服が好きなだけの超がつくド初心者でした。

決して~の経験ありますや、~店から来ましたなど、鳴り物入りで入ったわけではありません。

おでこのど真ん中に双葉マークが燦々と光輝くTHE 初心者でした。

何にもわからないなりに、お店で働くのだからと自分なりにおしゃれして小綺麗にして行った初日、
ぺーぺーの私が最初に与えられた仕事は
店の『掃除』でした。

店内の様子を見てみましょうとも言われず、アイテムの説明や1日の流れの説明も全くないまま渡されたのは
掃除道具でした。

右手にほうき、左手にちりとり。
脇にはぞうきんとバケツ。

かっこいいショップ店員や素敵な服に
淡い憧れを抱いていた自分は、思ってたのと違う感に一瞬たじろいだのを覚えています。

ただ 今なら言えます
『掃除』とは宝の山だと。
掃除をするからこそ、店の全てと言っても過言ではない程に、さまざまなことがわかるのだと。

しかし、その時の自分はこの『掃除』というものがどれだけ宝のつまった仕事なのかということにはもちろん気付かずに、ひたすら掃いたり拭いたり。

次の日も また次の日も、休みが明けてまた次の日も。
来る日も来る日も、与えられる仕事は『掃除』でした。

他に特別なことは何も教えられず、さすがに不安になってきた1ヶ月が過ぎた頃、私はいきなり1人で接客につかされることになるのです。

しかも、自分でさえ見たことのあるVIP様。

当時の店長に、低い声で「行け」
とだけ言われて唐突に人生初の接客がスタートです。

必死でした。緊張して迷いながらも一生懸命に応対しました。

しばらく話していると、
「これのサイズ違いある?あと、これと同じ型の黒ないかな?」

なんということでしょう……っ。

(当時はサイズの全出しや、カラーの全出しを
店内イメージやテイスト上しておらず、間引いた状態でしたので、在庫はあるけど店頭に出していない商品もしばしばありました。)

その時の自分からしたら、いきなり強めのご質問。

在庫は…確かある。
急がなきゃ 早くっ 早く見つけてお客様のところに持っていかないとっ。
私は焦りました。

店長はというと、涼しい顔して通路から見物しています。(この時の顔は忘れねぇ)

私はやるしかないと店内を見渡し……っっ

わかるっ  

勝手に体が動きました。
何がどこにあるか、わかる。
色もサイズも ストックに何があるのかも。

不思議でしたが、
不思議だなぁーとか思ってる暇はない。全然ない。
お客様がお待ちだっ。
と、その後も対応し無事に買って行ってくださいました。

店長は通路でお客様に会釈をした後、
やっとこちらに来て
「な? 出来たやろ?」と満足気に笑います。

「おまえが毎日してた掃除が……。」

あっ『掃除』だ。

来る日も来る日も、ひたすらに掃除して
あんなとこや こんなとこも綺麗にしながら毎日毎日、商品を見ている内に、アイテムの種類やストックの場所、ボディーにはどんなアイテムの何サイズが着せてあるのか、在庫の現状や生地感まで頭に入っていたのです。

1ヶ月、服のことさえ教えてもらえず
掃除ばっかだなと不安に思っていましたが
実は違う狙いがあったことに気付かされました。
なにしろ、それを証明しているのは紛れもない自分自身です。

1ヶ月の間、私に管理能力を徹底的に仕込んでくださった店長には感謝しています。
掃除している間に自然と愛着もわきました。
なにしろ掃除しかしてないですから、ついには服に話しかけちゃったりしてましたので…。

掃除なんて誰にでも出来るじゃん
なんでこんなことばっかなの?

そう言って辞めていったスタッフはたくさんいるそうです。

自分の場合は、なぜか素直に受けとったのみでしたが。
それにしても不安にはなりましたよ。
誰にでも出来るわぁとも感じました。

でも 途中から
誰にでも出来る仕事なら
誰にも出来ないクオリティーまで上げてやると思っていたことも確かです。

だって つまらないんですもん。
無理やりにでも目標作らないとやってられなかったというのが正直なところです。

こうして自分は、無事に2ヶ月目以降に
掃除以外のことを教えてもらうことが増えました。

無駄だと思えばそれまで。
宝の山はいつだって目立つ場所にはないですものね。

しかしっ 
波乱万丈のアパレル人生が、ここから始まることになるとは…。

続きは また、いつかシークレットベースで。
今日も皆さまが心地の良い時間を過ごせますように。

では、今日はこのへんで。
本日もご来店ありがとうございました。 

またここで、皆さまにお会い出来ることを
楽しみにしております。

                                                                     SEN

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