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名残りのホヤを噛みしめる夏。

いよいよ8月。
5月から出回り始め、パンパンに膨らんだ水風船のような大きさだったホヤも、次第に小ぶりになってくる頃。
それでもこの口いっぱいに広がる海を味わいたくて、見かけると手に取ってしまいます。

捌きたてを一切れ口に放り込むたびに
思わず「く~っっ!」と唸ってしまう美味しさ。

疲れも吹き飛んでしまう勢いです。

ホヤにおこぜ、カサゴにナマコ。
ちょっとグロテスクに見えるもの、
見た目が美しくないものに限って、
なんとも言い難い程の美味しさを感じるのは
私の偏見かもしれませんが。
気持ち悪いから食べない、というのは、
やはり勿体無いことではないか、と思います。

ホヤは、魚を捌くのが苦手な方でもとても簡単に処理できるので、ご紹介します。

1.根の反対側に、出水口(マイナス➖の形。肛門)と入水口(プラス➕の形。口)が二つ、出っ張っています。これを切り取りますが、中から海水がぴゅっと飛び出すので、下にボウルなどを置いて注意しながら、ハサミやナイフで切り取ってください。
このホヤ水をプラスの方からしっかり搾り出します。マイナスの方は排泄物が出てきてしまいます。

2.次は根元を切り取ります。根元の内側の黄色い部分は食べられます。
3.縦に切れ目を入れて開きます。

そのあとはこの黄色い可食部をつるんと取り出し、黒い肝や、糞を包丁でこそげとるだけ。
食べ慣れない方は、内側の内臓を全てこそげ取っても構いません。ホヤ特有の苦味がお好きな方は、あまりこそげ取らずに。
上はあまり取らずに、下はしっかりこそげ取りました。

ここまでできたら、あとは好きな大きさに切り分けて、まずはお刺身で。
水洗いすると美味しさが抜けてしまいますから、洗いたい時は水2カップに塩小さじ2、氷を数個混ぜた冷たい塩水で。
水気をしっかり拭いて盛り付けます。
そのままでも美味しいし、ぽん酢などを添えても。

また、ホヤを食べ慣れている大好きな方の中には
先ほど口から搾ってボウルに取りおいたホヤ水で身を洗い、
切り分けたホヤの身につけて食べる方もいらっしゃいます。
かなり個性強めの風味ですが、中にはお好みの方がいらっしゃると思うので、機会があればお試しください。

初めからホヤ水を使わないと決めている場合は、水管からではなく、根元の方を輪切りにして水を全部出してしまってから身を取り出す方法も。
こちらの方が簡単で、たくさん捌く時はお勧めです。
その場合は、殻を剥がしたあと、二つの水管の部分が固いので、身から切り取ってください。

頂いてきたホヤ3つのうち
1つは、味噌漬けにしてみました。
西京みそ50gに酒小さじ1、みりん小さじ1を混ぜて、
水洗いせずにガーゼに包んだほやを1~2日ほど漬け込み、
谷中生姜と一緒に、さっと炙るかフライパンで焼きます。

このほかにもバターソテーや天ぷら、煮浸し、ホヤご飯など、さまざまに使えます。
実に楽しくて、頼もしい食材なのです。



岩手県から届いた美味。
名残りのほや。
震災からひとまわり、12年もの月日が過ぎた今、
こんなに元気な海の恵みが戻ってくるまでには
どれほどのご苦労があったのか、
さしたる被害も受けていない私のような人間には、想像することさえできません。

今年も夏が終わるまで、
ありがたく頂き続けたいと思います。


#note #料理 #夏 #ホヤ #魚料理 #刺身 #西京漬け

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