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心の傷の3つ目のタイプ「過剰適応」

前回は、心の傷から生まれる2つのタイプ「共依存タイプ」と「退行タイプ」の特徴と関係性について書きました。

今日は、第3のタイプ、「過剰適応タイプ」について書きます。

通常は、ストレスを受けたとき瞬時にストレスホルモンが正常に上がって「闘う」「逃げる」の反応が自動的にできて、時間と共に下がるのでその場にふさわしい自然な行動ができるのですが、
「共依存タイプ」、「退行タイプ」、「過剰適応」
3つとも、心の傷がありストレス刺激に対してちゃんと反応ができません。

「共依存タイプ」は、ストレス刺激があったとき、瞬時に人の気持ちを考えてしまい、自分が何を感じているのかわからなくなります。

「退行タイプ」は、ストレス刺激があったとき、ストレスホルモンが下がって子ども返りし、その後上がったり下がったりを繰り返し普段から緊張した状態が続きます。
※2つのタイプの見分け方は、前回の記事に書いています。

3つ目のタイプ、「過剰適応タイプ」は、上の2つのタイプより人数がかなり少なく心の傷を負った人たち(ほとんどみんなですが)の中ではマイノリティなタイプかもしれません。

過剰適応タイプは、学習性無力感から周りを真似て演技をしている

「過剰適応タイプ」の人は、ストレス刺激に対してストレスホルモンが通常のように上がりません。
それは、学習性無力感になっているから。
学習性無力感とは、逃げることも回避することもできない状況下で、不快な刺激を受け続けることに抵抗しなくなり、無気力になる(諦める)ことです。

根底が学習性無力感で自発的な行動ができないため、
無意識に自動的に周りを真似して生きるようになります。
周りの誰かが緊張したら「ここは緊張するんだな」
周りの誰かが喜んだら、「ここは喜ぶんだ」
周りの誰かがショックを受けていたら「ここはショックを受けるのだ」
といった具合に、周りの人たちの感情をまるで自分のものかのように感じて振舞うようになる。

無抵抗に周りの真似をするので、
まわりに優秀な人がいれば、「どんどん成績が上がる」という現象が起こるし、
コミュニケーションが上手な人がいたら、その人をまねて過剰適応タイプの人は「コミュニケーションが上手な人」になれる。
まるで人工知能がディープラーニングしていく感じでしょうか。

ものまねは、ミラーニューロンを使っているので、ある意味ミラーニューロンハイスペック型ともいえますね。

その場でまわりの人のまねをして演技でそつなく適応できちゃうのですが、
その時受けたストレス刺激は適切に記憶として処理されないので、
家に帰ってきてから一気にストレスホルモンが乱降下して炎症として起こってきて、嫌な感情や体調不良に苦しむようになります。

外ではテキパキ動くのに、家に帰ると別人のようにスイッチがオフになり、動けなくなったり、後から襲ってくる炎症による認知機能の低下で、やってはいけないことをやるのが止まらない、、、となるのが「過剰適応タイプ」の特徴だそうです。

過剰適応タイプの人の心の傷がどのようにできるのか?

大嶋先生によると、
過剰適応タイプになる条件は、
●母親(にあたる養育者)が共依存タイプ
●親と知能の高低差が20以上ある

だそうです。

2~6歳ぐらいの子供は、親に「なぜ?」「どうして?」といろんな質問をする時期です。

その時に、子どもとの知能の高低差のある親は、子どもに「なぜ?」「どうして?」とされたら、イラっとするそうです。

それは、知能の高低差の嫉妬の発作。

その発作の電気ショックを受け続けることで、学習性無力感になるとのこと。
知能の高低差のことは、以前にたくさん記事で紹介しましたが、
嫉妬の発作というのは、「自分よりも立場が下なのに、優れたものを持っている」という条件で起きるとのことです。

これは、脳のネットワークで無意識に感知しているものなので、
実際に「コイツは自分よりも立場が下なのに、わたしよりかしこいな」と自覚しているわけではありません。

もちろん、嫉妬の発作でイライラして、電気ショックを与えている自覚もほとんどないし、動物的な発作なのでコントロールもできません。

嫉妬の発作で破壊的な人格に切り替わり、
「うるさい!」とか、「しつこい!」と傷つける言葉を言ったり、
時には暴力をふるってしまうこともある。

共依存の親だと、「こんなにしつこく聞いてくるなんて、うちの子は大丈夫なんだろうか、、、」と心配して、その心配エネルギーの電流を浴びせられていくことでさらに脳にダメージを受け続け、学習性無力感になる。

知能の高低差のある赤ちゃんだと、「なんでいつまでも泣いてるの?」とイライラしたり、「わがままな子に育ったらどうしよう」と心配したり、
あるいは、「いい加減にして!」と放置してしまったりすることがある。

しばらくすると、ストレスホルモンが正常に戻って、
「あの子が傷ついたかも」と抱きしめて赤ちゃんをあやし、
そうしているうちに、ストレスホルモンが下がって子ども返りし、「いつまでこんなことしなきゃだめなの?」と怒りが湧いてくる、、、

こんな感じで、心配されたかと思ったら放置され、抱きしめてあやされたかと思ったらキレられる、、、のような嫉妬の電気ショックを連続して与え続けられることで、学習性無力感になるそうです。

そこへさらに、知能の高低差で親とわかりあえない、というストレス(親と知能の高低差のない子には無いストレス)も加わります。

嫉妬の発作というのが、見た目の特徴としてあらわれるのが、
「能面のような顔」だそうです。

子どもが楽しそうに遊んでいたり、話をしてきたりしたら、
嫉妬の発作で親の顔の表情が固まり、無表情になる。

これがものすごく子どもにとってショックなことであり、
自分が楽しい気分であったり嬉しいときに、その表情をみることで、
「何か悪いことをしているかも?」と不安になってしまう。

または、普通は親は子どもの話を聞いてあげられるものだけれど、
知能の高低差があると、子どもの話の途中で嫉妬の発作が起こり、
自分の話をかぶせてくる、とか。

子どもがほめてほしいポイントで嫉妬の発作が起こり、
「子どものために」「調子に乗ったらだめだから」と、傷つけるようなことを言ってしまう、とか。

子どもがしてほしいことを、し忘れてしまったり、
してほしくないことを、繰り返しやる、
なんてことも、この「知能の高低差のある親」の嫉妬の発作として起きることだそうです。

そんな体験を繰り返していくことで、「過剰適応タイプ」が作られていきます。

次回につづく








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