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ノーベル文学賞候補者の圧倒的な筆力「炸裂志」

<文学(14歩目)>
中国のノーベル文学賞候補者の圧倒的な筆力にノックアウトされてみる。

炸裂志
閻 連科 (著), 泉 京鹿 (翻訳)
河出書房新社

「14歩目」は、中国のノーベル文学賞候補者のすごい作品。

閻連科さんは、現代中国を代表する作家です。中国国内では発禁処分も多く、ノーベル文学賞候補者ですが、まだまだ弾圧については予断を許さない状況です。

閻さんの作品は、とにかく「筆力」がすごいに尽きるのですが、特に中国・河南省を舞台にした架空の山脈の寒村シリーズが秀逸です。

こんなことが狭い地域で起こるのか!?と思うも、起きてもおかしくないと感じる自分がいました。

「愛(love)」を学ぶ上で、対極の「憎悪」と言う言葉があるが、これがリアルに描かれていて、「炸裂」という寒村が、郷から鎮へ(村の集落規模から町へ)。

そして最後は直轄市(中国では、省と同格の市で、現在は北京・上海・天津・重慶の4直轄市がある。つまり、この4都市に続く位置付けに貧村が「炸裂市」が成長する設定です)への急激な成長。

この成長に伴う圧倒的な展開に長編ながら一気読みしてしまった。
勿論、フィクションなのですが、現代中国の急激な成長を知る者として、「あるある」と感じる箇所が多かった。

アジアの地で、ラテンアメリカ文学の様な混沌とした世界を具現化するとこの作品になる。

登場人物の全てが、普通ではない。(笑)
キテレツと言う単語があるが、その枠内を軽く飛び越えている。

孔家と朱家の「憎しみ」がリアルな人間描写で素晴らしい。

こんな作品が、中国で発表されていることが驚きです。
近未来にノーベル文学賞受賞となると思います。その前に、圧倒的なエネルギーに触れるのにこの作品は最適です。

いつの間にか、中国の勢いに飲み込まれる作品です。

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