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【経済】コストプッシュインフレとは何か


1.はじめに

 本記事では、コストプッシュインフレの概要と金融政策との関係性について概説する。

2.コストプッシュインフレの概要

 コストプッシュインフレとは、生産要因のコストが上昇し、それが商品やサービスの価格に反映されることで物価が上昇する現象のことをいう。
 生産要因の中で特に重要なのは、原材料や労働力の価格の変動である。原材料価格や賃金の上昇が企業の製品やサービスの生産コストを押し上げ、企業はこれを消費者に転嫁するために価格を引き上げようとするわけである。

3.金融政策による対応

 次に、コストプッシュインフレの局面において金融政策が果たす役割について考えよう。
 一般的に、中央銀行が行う金融政策は、物価安定や雇用最大化などの目標を達成するために調整されるものである。
 金融政策として利下げを行うと、低金利環境が生まれ、企業は資金調達が容易になり生産活動が促進される。しかし、利下げによって引き起こされる需要拡大は、むしろ物価を押し上げる可能性がある。加えて、通貨間の金利差が拡大することで通貨価値が下がり、輸入コストを増大させることも考えられる。そのため、一般論として利下げはコストプッシュインフレに対する効果的な対策とはなりにくい。
 一方で、利上げはコストプッシュインフレに一定の効果を及ぼしうる。これは、利上げが企業の生産要因のコストを抑制し、需要の拡大を制約する効果があるからである。また、通貨の安定を促進し、外国からの資金を引き込む可能性もある。
 ただし、急激な利上げは景気を犠牲にしてしまう恐れがあるため、中央銀行は慎重かつ段階的なアプローチを採用する必要がある。

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