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交通事故統計_30日以内死者数とは?

警察庁が令和5年中の交通事故に関し「30日以内死者数」を公表した。
この内容については後ほど読み解くことにするが、まずは交通事故統計について簡単に説明をしておきます。


|二種類の交通事故統計

交通事故に関する統計を耳にするが、交通事故統計の取り方、特に死者数の統計には二種類ある。
1つは、通常「交通事故死者数」といわれている死者統計。これは「24時間以内死者数」といわれているもので、「交通事故の発生から24時間以内に死亡した人の数」ということだ。

この24時間死者統計というのは、日本で交通事故死者も統計を取り始めて以来続けている集計方法なのだ。

もう一つが、30日以内死者(数)」と「30日死者(数)」

「30日以内死者(数)」とは、
交通事故の発生から30日以内(交通事故発生日を初日とする。) に亡くなった人(数)のことをいう。

また、「30日死者(数)」とは、交通事故によって、発生から24時間経過後30日以内に亡くなった人(数)をいう。(警察庁資料より)

|30日以内死者(30日死者)の統計はいつから始めた

「交通事故発生から24時間経過後、30日以内の交通事故死者」の集計(30日死者集計)は、従来の24時間以内の交通事故死者集計に加えて、平成5年(1993年)1月1日から開始した。

筆者作成

|なぜ二通りあるのか

交通事故により死亡した人の実態をより明らかにするためである。
24時間以内の死者統計の場合、交通事故発生から24時間を1分でも経過して死亡した人は、交通事故統計上の死者にならず死者数として統計に入らないということになる。

どの統計でもそうだがどこかで線を引かないといけない。ということで過去においては24時間以内死者数だけを計上してきたこともあったのだが、
○ 交通事故の実態や死者の状況等をより正確に把握することが必要であったこと
および、
○ 海外では30日以内死者数をもって交通事故統計・分析を行っている国が多く、特に交通事故に関する国際比較をするために必要となったこと
などから、
交通事故発生から30日までの死者数を把握し、より正確な交通事故分析を行い事故抑止対策に活用していこうということになり、平成5年から「30日以内死者」の集計を行うようになったのだ。

|24時間以内と30日以内死者数の差?

では、2つの集計方法の違いによりどのくらいの差が生じているのかということをみてみると、30日以内死者数をはじめて30年になるが、この間、
30日以内死者数は24時間以内死者数と比較して、1.14~1.23倍程度増加
の状況にあるのだ(表参照)。

警察庁交通事故統計より転載

|30日以内死者の特徴
30日以内死者統計データをさらに詳しくみていくと、24時間死者とは違った特徴がみえくる。

例えば、
○ 30日以内死者は、24時間以内死者に比べて自転車乗車中に被害にあった人の比率が高い
このことから、即死に至るような受傷ではないけれど、頭部を強打するなどして、結果的には数日後に亡くなるというケースが多いというようなことがいえる。

○ 65歳以上の高齢者の死亡率が高いことも30日以内死者の特徴のひとつであり、若年層の人ならなんとか乗り切れるような傷害も、高齢であるためにダメージを受けやすく24時間経過後に死亡する人も多い。

などの実態が見えてくる。
詳しい統計は後日統計を掲載する。

|さいごに

上記のように平成5年(1993年)から始まった30日以内死者統計を活用することで、実態に近い交通事故死者数の把握や、事故原因などを明らかにすることができる。

そして、これらの統計が今後の交通事故防止対策、道交法改正等などの施策に反映することで、交通事故の抑止等に資する施策の検討につながることが期待できるのだと思う。

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