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バランス釜はまだまだ現役選手【思い出】

急転直下でシュタイナー学校への
転校を決めた我が家。

面接が終わったからと言って
ホッとしている暇なんて微塵もなかった。

住む家を探さなくてはならない。

面接が終わったその足で
不動産屋さんに直行!

都内で家を探すのとは
まるで違っていて、
まず、住む家がほとんどない。

空き家はたくさんあるのに
持ち主が不明だったり
持ち主が貸したくないなど、、、。
色々な事情がある様子。

全く、土地勘がないので
条件は、駅から徒歩圏内。
これだけ。

陽当たりとか築年とか
間取りとか、そんなことは
気にしてなんていられない!

たったひとつ
駅から徒歩圏内で
築60年くらいの戸建があった。

和式トイレだし、プロパンガスだし
お風呂はバランス釜!

バランス釜。絶滅していなかった!
浴槽の横にドンっと給湯器が設置され
運転ダイヤルを押し回しながら
着火レバーを
カチカチカチカチカチカチ・・・
と回して点火させると、
お湯を出したり追い焚きが
できるようになるというレトロな一品。

ボタンを押せば自動でお湯が溜まり
追い炊きも足し湯も自由自在の
全自動式に慣れていると
とても不便だ。

んーーーー。

悩んでる時間はないし
ほかに物件もない。

だけど、、、
絶対に冬は底冷え、夏は湿気が凄いよね!
って。
住まなくても想像できる家、、、。

全然気乗りしないけど決めるしかない。

「私たち、今日、シュタイナー学校の
面接でした。合格するかどうか
分からないけど、合否がわかるまで
押さえてもらえますか?」

不動産屋さんにそうお願いして
簡単な書類にサインして
とりあえず、家を見つけて決めた。

東京では物件がありすぎて迷うけれど、
選択肢がないというのは
当たり前だけど迷わないからすぐ決まる。

ここ数年はシュタイナー学校を
受験して不合格になったなんて
ほとんど聞かないという
不動産屋さんからの情報を得て
たぶん、娘もおそらくは
合格はするんだろうなと思っていた。

だけど、合格通知が来るまでは
落ち着かないものである。


人生って、予想もしない方向に
進むものだなって、、、
この頃よく感じていた。

私たち夫婦は
引越しが好きで、2年に1回
つまり、更新の時期が来たら
引越しをしていた。

子どもが生まれてからも
引越しを繰り返していたけれど
小学校に上がるのを機に
せめて6年間は同じ処に住もう!
と決め、結婚してから始めて
普通の家にはきっとある
ソファや、ダイニングテーブル
椅子、ベッド、勉強机に本棚などの
大型家具を買ったのだ。

引越しが多い我が家にとって
大型家具は引越し代を高額にする
不用品だ。

ファミリータイプのマンションに
娘が幼稚園の年長さんのときに
引越しをして、家具も買い揃えた。

小学校受験が盛んな地域だったけれど、
受験なんて考えもしなかったし
子どもは家から近い学校に通うのが一番!
と思って、学区内の公立小学校に入学。

娘が学校が『嫌い』で通えなくなるなんて
1年で引越す事になるなんて!!

ランドセル、ピアニカ、体育着、給食袋、
入学時に揃えた数々のものが
不要になるなんて
まさかまさか考えもしない事!

全く予想外の展開だ。

ものすごいエネルギーが必要だったけど
エイやっ!て、動いたら
わりとサクサクと進んでいった。

自分の事じゃなく
『娘のため』だったから
わたしも夫も動けたのだと思う。

面接が無事に終わり、
家も一応決めた。

公立小学校にはいつも通り
母子登校を続け
合否の結果をドキドキしながら
待っていたのであった。

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