DELIC RECORDS/イシヤマヨシアキ

『創造は過去と現在とを材料としながら新しい未来を発明する能力です ― 与謝野晶子』 …

DELIC RECORDS/イシヤマヨシアキ

『創造は過去と現在とを材料としながら新しい未来を発明する能力です ― 与謝野晶子』 HP : http://www.delicrecords.net

マガジン

記事一覧

DJ FOOD / Raiding The 20th Century (A History Of The Cut Up)

2004年1月18日、DJ FOODことStrictly KevはロンドンのFM局〈XFM〉『ザ・リミックス』番組でオリジナル・ミックス『Raiding The 20th Century』を初披露した。 それは、21…

「British Hustle」制作インタビュー

石山:Brit Funkをテーマにしたミックス「British Hustle」を作るきっかけは? 松本:パンデミックで(アメリカへの)買い付けの回数が減った分をオンラインでの仕入れで…

不良ラップを創出した男。SCHOOLLY D①

約40年前、1枚の12インチ・シングルが街角リリースされた。シルバーに黒文字で描かれた手書きのグラフィティー(というには可愛すぎるが)。シンプルなTR -909のビートと荒…

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Make G,Baby Bam,DJ Sammy B,,,Jungle Brothers!!

今年でヒップホップも50歳。NYでは毎日お祭り騒ぎ。そんなヒップホップの黄金期は90年代。その黄金期突入のきっかけのひとつにジャングル・ブラザースの存在があった。 ジ…

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SkitとInterludeとPrince Paul②

88年に西海岸でも「スキット」が生まれていた。11月にリリースされたコンプトン出身のラッパー、キングTのアルバム『Act A Fool』に収録された「Baggin' on Moms」だ。この…

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SkitとInterludeとPrince Paul①

パブリック・エネミーのラッパー、チャックDはこう言った。 「ラップはブラック・アメリカンにとってのCNNだ」。 ラッパーたちは彼らの日常をベースにリリックを書く。そ…

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Ego Trip Magazine

90年代初頭。海の向こうでは、ランDMC「ウォーク・ディス・ウェイ」の世界的ヒットでヒップ・ホップがポップスのひとつとして認知され、常にチャート・インするジャンルへ…

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「1984」マスターミックス!! マツモト・ヒサターカー・インタビュー Part.2

「1984」マスターミックス!! マツモト・ヒサターカー・インタビュー Part.2をお届けします。 Q20.自由に制作する。自分の価値基準でしかない。それこそ職人ですかね?ちな…

「1984」マスターミックス!! マツモト・ヒサターカー・インタビュー Part.1

2016年、一本のミックス・テープがリリースされた。タイトルは「1984」、内容はオープンリールを使ったテープ・エディットによるマスターミックスだ。それは、80年代にニュ…

アーティストとコレクターとレコード会社

90年代後半からMP3フォーマットのポータブル・プレーヤー・アプリにはじまり、03年にアップル社によるITunes(そのちょっと前には悪名高いNapsterがあった)がリリースされ…

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The Wheel Of Steel T-Shirts

DJによるDJのため2ターンテーブルとスクラッチで編み上げられた人力メガミックスのマイルストーン「ザ・アドベンチャー・オブ・グランドマスター・フラッシュ・オン・ザ・…

The Adventure Of GRANDMASTER FLASH on the wheels of steel②

本〈そして、みんなクレイジーになっていく〉から引用する。 1978年末、ファヴ・ファイヴ・フレディーは初めてグランドマスター・フラッシュとフューリアス・ファイヴのパ…

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The Adventure of GRANDMASTER FLASH on the wheels of steel①

2016年にネットフリックスで公開されたドラマ「ゲット・ダウン」。巨匠バズ・ラーマンが監督を担当、約1億2,000万ドルという破格の制作費を費やし製作されたTVドラマだ。 …

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The Dominatrix Sleeps Tonight

ドミネイトリックスをご存知か?直訳するとSMの女王。これがこのユニットのコンセプトとなっている。楽曲も然り。その首謀者は、スチュワート・アーガブライト。 70年代後…

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Disco King Marioについて

1971年、ディスコ・キング・マリオはブロンクスの著名なDJのひとりだった。彼は優れたサウンド・システムと音楽、楽しい時間が大好きなことで知られていた。しかし、当時の…

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マーリー・マールとフレーズ・サンプリング

マーリー・マール。この名前を聞くとミスター・マジック「ラップ・アタック」、ジュース・クルー、L.L.クール.J「ママ・セイ・ノック・ユー・アウト」、FMステーション〈ホ…

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DJ FOOD / Raiding The 20th Century (A History Of The Cut Up)

DJ FOOD / Raiding The 20th Century (A History Of The Cut Up)

2004年1月18日、DJ FOODことStrictly KevはロンドンのFM局〈XFM〉『ザ・リミックス』番組でオリジナル・ミックス『Raiding The 20th Century』を初披露した。

それは、21世紀における前衛的なテープ・エディットやターンテーブリストなど、エディット&カットアップ・ミュージックの歴史をカタログ化する40分間の試みだった。

Music Concrete,

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「British Hustle」制作インタビュー

「British Hustle」制作インタビュー

石山:Brit Funkをテーマにしたミックス「British Hustle」を作るきっかけは?

松本:パンデミックで(アメリカへの)買い付けの回数が減った分をオンラインでの仕入れで補おうという局面がありまして。アメリカで知り合ったイギリス人レコード・バイヤーがいたのでその人に連絡とってみたところ(レコードを)何箱か送ってくれて買いました。最初はレゲエを仕入れてたんですけど、オマケで何枚かつけて

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不良ラップを創出した男。SCHOOLLY D①

不良ラップを創出した男。SCHOOLLY D①

約40年前、1枚の12インチ・シングルが街角リリースされた。シルバーに黒文字で描かれた手書きのグラフィティー(というには可愛すぎるが)。シンプルなTR -909のビートと荒いスクラッチ、「そこの彼女、街角の怪しいものには手を出さないで僕のメルセデスに乗りなさい」とラップされる不良のための楽曲だった。

ラッパーの名前は、スクーリーD(本名はジェシー・B・ウィーバー・Jr.)。西フィラデルフィア出身

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Make G,Baby Bam,DJ Sammy B,,,Jungle Brothers!!

Make G,Baby Bam,DJ Sammy B,,,Jungle Brothers!!

今年でヒップホップも50歳。NYでは毎日お祭り騒ぎ。そんなヒップホップの黄金期は90年代。その黄金期突入のきっかけのひとつにジャングル・ブラザースの存在があった。

ジャングル・ブラザーズは、ブロンクスの高校時代の友人だったナサニエル "アフリカ ベイビー バム" ホールとマイケル "マイク G" で結成された。そして、 マイクは家族の友人である DJ サミー B を加えチームは完成した。

ブロ

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SkitとInterludeとPrince Paul②

SkitとInterludeとPrince Paul②

88年に西海岸でも「スキット」が生まれていた。11月にリリースされたコンプトン出身のラッパー、キングTのアルバム『Act A Fool』に収録された「Baggin' on Moms」だ。この「スキット」は相手の母親をコケにしまくるダーティーな寸劇だ。

話は逸れるが、このエピソードは、西海岸はファンク、東海岸はジャズから影響を受けていたことを実証した(90年代の話)。

その後、90年代に入りヒッ

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SkitとInterludeとPrince Paul①

SkitとInterludeとPrince Paul①

パブリック・エネミーのラッパー、チャックDはこう言った。

「ラップはブラック・アメリカンにとってのCNNだ」。

ラッパーたちは彼らの日常をベースにリリックを書く。それはフィクションでもありノンフィクションでもある。N.W.A.やスヌープドギードッグ、ウータン・クランのようにキャラクターに寄せるリリックもあれば、アルバムのコンセプトに沿ったリリックにすることもある。

リリック、キャラクターとコ

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Ego Trip Magazine

Ego Trip Magazine

90年代初頭。海の向こうでは、ランDMC「ウォーク・ディス・ウェイ」の世界的ヒットでヒップ・ホップがポップスのひとつとして認知され、常にチャート・インするジャンルへと成長していった。いわゆるゴールデン・エラだ。

国内でも、ヒップ・ホップはお茶の間にこそ届いていなかったが、街角には専門のショップができはじめミックス・テープが溢れ、ヒップ・ホップに影響を受けたファッションをまとう若者が闊歩し、週末と

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「1984」マスターミックス!! マツモト・ヒサターカー・インタビュー Part.2

「1984」マスターミックス!! マツモト・ヒサターカー・インタビュー Part.2

「1984」マスターミックス!! マツモト・ヒサターカー・インタビュー Part.2をお届けします。

Q20.自由に制作する。自分の価値基準でしかない。それこそ職人ですかね?ちなみにアナログ・トゥ・アナログなのでミックス・テープの音が太いような気がするんですよね。

職人はちゃんと商売もできる人のことやと思うんで職人ではないですね。ただの趣味です笑。音が太いってのは狙ってはないですね。そう聴こえ

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「1984」マスターミックス!! マツモト・ヒサターカー・インタビュー Part.1

「1984」マスターミックス!! マツモト・ヒサターカー・インタビュー Part.1

2016年、一本のミックス・テープがリリースされた。タイトルは「1984」、内容はオープンリールを使ったテープ・エディットによるマスターミックスだ。それは、80年代にニューヨークのFM局において、ディスコ〜クラブDJやエディターによるDJミックスをオンエアする番組〈マスターミックス・ショー〉へのオマージュだった。

制作者はマツモト・ヒサターカー。京都でヴァイナル7レコーズを営むかたわら、DJ、プ

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アーティストとコレクターとレコード会社

アーティストとコレクターとレコード会社

90年代後半からMP3フォーマットのポータブル・プレーヤー・アプリにはじまり、03年にアップル社によるITunes(そのちょっと前には悪名高いNapsterがあった)がリリースされると一気に音楽のデジタル販売が世界規模で広まっていった。さらにサブスクやストリーミング・サービスがリリースされ音楽は所有するものじゃなく共有するものだというパラダイム・シフトが起きたのは周知の事実。

そのパラダイム・シ

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The Wheel Of Steel T-Shirts

The Wheel Of Steel T-Shirts

DJによるDJのため2ターンテーブルとスクラッチで編み上げられた人力メガミックスのマイルストーン「ザ・アドベンチャー・オブ・グランドマスター・フラッシュ・オン・ザ・ホイール・オブ・スティール」。

81年、このレコードが流通したことで、世界中のリスナーにグランドマスターフラッシュ(=DJ)の存在を知らしめ、ターンテーブル・ミックスの実践を即した。現行のDJプレイで日常的に行われているターンテーブル

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The Adventure Of GRANDMASTER FLASH on the wheels of steel②

The Adventure Of GRANDMASTER FLASH on the wheels of steel②

本〈そして、みんなクレイジーになっていく〉から引用する。

1978年末、ファヴ・ファイヴ・フレディーは初めてグランドマスター・フラッシュとフューリアス・ファイヴのパフォーマンスを見た。ショーの後、ローワー・イースト・サイドのスミス公営住宅コミュニティー・センターで、彼はメリー・メルと話した。

ファヴ「よお、おまえ、こいつはすごいぜ。わかってんのか?おまえらレコードを出すべきだよ」

メリー「そ

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The Adventure of GRANDMASTER FLASH on the wheels of steel①

The Adventure of GRANDMASTER FLASH on the wheels of steel①

2016年にネットフリックスで公開されたドラマ「ゲット・ダウン」。巨匠バズ・ラーマンが監督を担当、約1億2,000万ドルという破格の制作費を費やし製作されたTVドラマだ。

70年代後半のブロンクスを舞台に、ヒップホップがいかに生まれたのか?をドキュメンタリー・タッチで描いたもので、その主人公達のメンターとして登場するのがグランドマスター・フラッシュ。もはや説明不要だろう。クール・ハークやアフリカ

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The Dominatrix Sleeps Tonight

The Dominatrix Sleeps Tonight

ドミネイトリックスをご存知か?直訳するとSMの女王。これがこのユニットのコンセプトとなっている。楽曲も然り。その首謀者は、スチュワート・アーガブライト。

70年代後半にパンク・バンド、ザ・ルードメンツでデビュー。その後、ポスト・パンク、ニュー・ウェイヴ、ノー・ウェイヴ、アヴァンギャルド〜エレクトロ〜ヒップホップを複数のユニット(FutantsIke Yard、Death Comet Crew、I

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Disco King Marioについて

Disco King Marioについて

1971年、ディスコ・キング・マリオはブロンクスの著名なDJのひとりだった。彼は優れたサウンド・システムと音楽、楽しい時間が大好きなことで知られていた。しかし、当時のブロンクスはギャングと暴力が蔓延、街は空爆されたかのような荒れようだった。そんな時代にブロック・パーティーをはじめたマリオは、ディスコ・キングとして近所のファミリーから汚れたギャング達まで至るところで尊敬されていた(彼は喧嘩も強かった

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マーリー・マールとフレーズ・サンプリング

マーリー・マールとフレーズ・サンプリング

マーリー・マール。この名前を聞くとミスター・マジック「ラップ・アタック」、ジュース・クルー、L.L.クール.J「ママ・セイ・ノック・ユー・アウト」、FMステーション〈ホット97〉の「フューチャー・フレイヴァー」、ビギー・スモール「ジューシー」を思い出す人は多いはず。それは世界中にいるヒップホップ好き(おじさん)の共通項だ。

そして、昨今流行しているブーン・バップ・ヒップホップのルーツを辿れば90

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