A社2017年

僕でもわかる決算書・実践編(後半):決算書が読めない社員はいらない

前回は会計の本を取り上げ、僕のような苦手意識を持っている人が

・分からないのレベルがどのくらい低いのか
・結局知りたいのは「その数値は良いのか?悪いのか?」だけ

ということだと整理してみました。後半編は、この現状を捉えたうえで誰にでもわかるようになれる、メソッドとツールを考えてみました。

決算書が読めない社員はいらない
木村俊治
クロスメディア・パブリッシング 2012.12

さて、数字は誰もが分かる情報ですが、前回書いたように、桁が大きくてイメージできないとか、そもそも項目の意味が分からないとか、暗黙のルールがあって読み解きにくいといった状況が会計の世界にはあります。

そんなとっつきにくい数字の世界ですが、みんながスッと理解できてワクワクできるようになるだろう?と考えたときに1つのものが頭に思い浮かびました。それは、

ドラクエ


です。ドラクエって、数字で構成されているけど楽しいじゃないですか。レベル20になったとか、攻撃力100超えてすごい、とか。ちなみに僕は小学生のときはファミコンがない家庭だったので、代わりに攻略本だけを買ってもらって敵のパラメータやアイテムの数値を見てワクワクしたものです。

さて、この本を読んで一番参考になったのは、決算書の読み方は大きく2つということに集約した考え方が紹介されていたことです。それは、

・収益性
・安全性

の2つです。これはシンプルで分かりやすいです。そしてこれを見て、僕のなかではドラクエに言葉が脳内変換されました。

・収益性 → 攻撃力(ちから、武器、MPなど)
・安全性 → 防御力(HP、防具、すばやさなど)

ということで、決算書からその会社の攻撃力と防御力を知って、その値をもとにどのモンスターに該当するかを当てはめてみて理解しよう、というのが狙いです。ありがたいことに、収益性と安全性を測る数式や指標が本書では紹介されています。

そこで、財務三表の代表的な項目の数値を埋めるだけで、関数で自動算出してくれるスプレッドシートを作成してみました。

入力してパラメータを出してみる

では、まず本書に載っていた例の数値でやってみたいと思います。ちなみにIR情報は上場している会社であればホームページから簡単に入手できますので、まずはそこに書かれているいくつかの金額だけを記入します。

そうすると、別のシートに自動的に計算されて、評価指標の結果が出ます。まずこちらは収益性(攻撃力)の結果。

次にこちらがと安全性(防御力)

計算式や配点は下のシートで数式を設定しています。配点はこの本を読んで僕なりに比重を決めたのですが、感覚でやっているので、できれば専門家の人に見てもらって精度を上げたいところです。

配点に基づいてそれぞれのパラメーターが数字で算出されます。見やすさのために最大の値を50にしています。(ドラクエでレベル15くらい?)

これだけだとぱっと見で分かりにくいので、次にレーダーチャートのグラフにしてみて、さらに他と比較してみましょう。

グラフからモンスターに当てはめてみる

ではある業界でパラメーターを出してみましょう。はじめにA社の2017年度のグラフ。全体的にバランスがよく武器が強いので、これは『さまようよろい』タイプかなと。(ちなみに僕のドラクエは3がピークです←古い)

それが2018年になると、あれ?武器がなくなってる!変わりにすばやさが増えて守り(逃げ)の体制に入っている。何となくずるい感じするから飛んでいるタイプの『ギズモ』とか。

次に競合他社と比較してみます。この会社はさっきより全体的に弱めですばやい方なので『ホイミスライム』あたりかな。

もう1社違う会社との比較。この会社は攻めの姿勢で強い。ぼうぐはないけど武器と攻撃力が高めな『カンダタ』とか。

という感じです。どうでしょう?ちょっと会計が面白く見えてきませんか?

・・・・・

まずはゲーム感覚で、自分の業界に近い会社の決算書から数字をあてはめてみて、そこから、なんでこんな違うんだろうとか、どうしてこんな強いんだろう、という深堀りをする中で知識と理解を深めていくことにつながっていければと思い、こんなツールを作ってみました。

このパラメーターで説明や証明できることは限られますが、本書で書かれていることをベースに構成しているので、見方として大きく間違ったものではないはずです。

とはいえ、僕が素人なのは変わりないので、もし専門の人で興味を持っていただけたら、バージョンアップしていきたいと思っていますのでご連絡いただけるとうれしいです。スプレッドシートのデータがほしい人もいましたら、お気軽にご連絡を。

仕事は遊びながら身につけましょう、というのが僕なりのデザイナーとしてのストラテジーです。


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お金について考える

デザインとビジネスをつなぐストラテジーをお絵描きしながら楽しく勉強していきたいと思っています。興味もっていただいてとても嬉しく思っています。