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たんぱく質のみがもっている「N」

筋トレが流行っている昨今
炭水化物は「悪」でたんぱく質は「善」な説明を目にしたり、実際にそのような指導をされている方を見かけます(以前よりはマシになりましたが)

何度も繰り返しになりますが、全てはバランスです
炭水化物だってたんぱく質だって、摂り過ぎれば「悪」になります
特にたんぱく質の過剰摂取は質の悪い「悪」になる恐れがあるので要注意

炭水化物と脂質が 「C」 「O」 「H」 の3つの原子で構成されているのに対し、たんぱく質は 「C」 「O」 「H」 「N」 の原子で構成されています
「C」「O」「H」はCO2やH₂Oとなり、代謝されますが、たんぱく質しか持っていない「N」(窒素)は有毒であるアンモニア(NH3)となります
人体はこれを無毒化する為に尿素へ変換して尿中へ排出する仕組みが備わっています
簡単に「無毒化する」と書きましたが、これが結構腎臓を疲労させるのです
継続して腎臓に負担をかけすぎると、腎臓病のリスクが高くなります

現代のように食に恵まれていなかった私たちの先祖は、長期間にわたって食物が確保できなくても、目の前に獲物が現れた時に動けないといけません
ですので、易々と筋肉を減らすわけにはいかなかったのです
たんぱく質は常に分解、合成を繰り返していますが、たやすく分解が優勢にならないように「アミノ酸プール」というストック機能が備わっており、一定量はこのプールに貯蔵して分解と合成が均一となるようになっています
という事は、普通の食事をしていれば、そんなに急に筋肉は減らないということです(年齢や妊娠の有無により異なります)

偏った知識で陥りやすい「良いものはたくさん摂取すればするほど良い」という考え方は大変危険です
逆に「悪いものは摂取すべきではない」というのも、注意が必要です
「悪いもの」というのは、どのような状態でどのくらいの量を摂取するかにもよる為、どういう状況で「悪」と言っているのかが重要です

一見無毒無害のような「水」でさえ、多すぎても少なすぎても命を危険にさらすのです

何事も「悪」にもなれば「善」にもなるのです

食事摂取基準には下記のように記されています
「たんぱく質摂取量は、低すぎても高すぎても他のエネルギー産生栄養素とともに主な生活習慣病の発症及び重症化に関連する

「他のエネルギー産生栄養素」とは、炭水化物・脂質のことです
すなわちPFCバランス(P:たんぱく質 F:脂質 C:炭水化物)
が重要であり、それぞれの範囲内で摂取する必要があるということです


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