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オンライン栄養指導サービス "Nourish" のシリーズA資金調達!【3/27発表: 米国デジタルヘルスニュース】

アメリカでは、糖尿病、心臓病、高血圧などの慢性疾患が国民の健康を脅かしています。これらの疾患は、適切な栄養管理によって予防や改善が可能であることが知られています。しかし、多くの国民は、高額な費用や予約の難しさなどの理由から、資格を持った栄養士の指導を皆が容易に受けることができていません。

Nourishは、この課題を解決するために設立されたオンライン栄養指導サービスです。スマートフォンアプリを通じて、患者と登録栄養士(RDN)を繋ぎ、慢性疾患の予防・改善をサポートします。

今回、3月27日に発表されたシリーズAの資金調達ですが、著名なVCの一つでもあるIndex Venturesが新たに投資家として加わり、また、Thrive Capitalなどの著名な投資家も前回ラウンドから引き続き参加していることから期待の高さが伺えます。

About "Nourish"

・国:米国
・創立年:2021年
・資金調達ラウンド:シリーズB
・主な投資家:Index Ventures、Thrive Capitalなど
・総調達金額:約$43M
・サービス:オンライン栄養指導サービス
・事業モデル:B2B2C - Health Plan(健康保険会社)及び公的保険であるメディケア経由

アメリカの抱える深刻な課題:食生活と医療費の高騰

アメリカでは、食生活の乱れが原因となり、国民の半数以上が慢性疾患を抱えています。糖尿病、肥満、高血圧、腎臓病、高コレステロール、摂食障害、消化器系疾患など、いずれも深刻な病気です。

この問題解決に向けて設立されたのがオンライン栄養指導サービス「Nourish」です。同社が解決しようとしている課題は主に以下の2点です。

  • 慢性疾患の原因となる食生活の改善

アメリカでは、国民皆保険制度がないため、食生活改善のための外来栄養指導を受けるには、保険適用内の限られた医療機関を受診するか、何千ドル(数十万円!?)もの高額な自己負担費用を支払う必要がありました。特に収入の低い層は質の高い栄養指導を受けにくく、悪循環に陥っていました。

  • 高騰する医療費の抑制

アメリカは世界でも突出して医療費が高額です。2023年には、国民1人あたり年間14,000ドル以上 (現在の為替で約200万円) もの医療費が費やされました。これは他の先進国と比較しても2倍以上という高額ぶりです。日本と比較しても2倍以上です。この巨額な費用にも関わらず、慢性疾患は過去最悪の状況にあります。国民の7割以上が現在の医療制度に不満を抱いているという調査結果も驚くことではありません。

米国の大手健康保険会社とまだシリーズAの段階で提携しているのは非常に稀です。しかも50州で利用可能というのは中々見ない市場浸透スピードです

Nourishは、オンライン上で登録栄養士による指導を受けられることで、食生活改善をサポートし、将来的に慢性疾患による医療費の高騰を抑えることを目指しています。

Nourish:オンライン栄養指導サービス

Nourishは、登録栄養士(以下、栄養士)によるオンライン栄養指導サービスを提供する会社です。患者の健康目標を達成するために、個々のニーズに合わせた栄養プランを作成します。Nourishの栄養士は、体重管理、腸内健康、心臓病、糖尿病、摂食障害など、さまざまな健康状態をサポートしています。

同社サービスでアクセス可能な栄養士さんがこのようにアプリ上で検索できる

Nourishの利点は次のとおりです。

  • 多くの保険会社と提携しており50州全てで利用可能

  • ほとんど(約94%)の保険適用患者は自己負担なし

  • 目標の確認、教育リソースへのアクセス、栄養士とのメッセージングが可能なモバイルアプリを通じてオンラインでサービスを受けられる

全体として、Nourishは、栄養士による個別栄養指導を、便利で手頃な価格で提供している会社と言えるでしょう。Nourishは、以下のような方におすすめです。

  • 栄養指導を受けたいけれど、通院するのが難しい方

  • 個別対応の栄養指導を受けたい方

  • 保険適用で栄養指導を受けたい方

栄養士さんとのやりとりの例

栄養士ネットワークの拡大とAI活用: Nourishは、現在数百人いる栄養士 のネットワークを、2024年末までに1,000人以上に拡大する計画を発表しました。これは、2023年比で20倍の増加となり、より多くの人々に質の高い栄養指導を提供することを目指しています。また、同社はAIを活用したツールの開発にも注力します。これにより、患者ごとにパーソナライズされた栄養指導の提供と、栄養士の業務効率化が図られます。

「食で病気を治す」機能の搭載: Nourishは、プログラムに「食で病気を治す (Food as Medicine)」という機能を組み込むための技術開発も進めています。この機能により、栄養士は患者のニーズや嗜好に合わせて、食事療法を「処方」することができるようになります。

保険会社や食料品宅配サービスとの提携: Nourishは、保険会社や食料品宅配サービスとの提携も視野に入れており、食料不安や健康格差 (Social Determinants of Health) の解消にも取り組んでいく予定です。

今回の発表は、Nourishが単なるオンライン栄養指導サービスにとどまらず、包括的な健康支援プラットフォームを目指していることを示しています。今後、同社の展開に注目が集まります。

おしまい。

※このブログ記事は、個人的な趣味で書いているものであり、あくまでも情報シェアのみを目的としています。

参考記事

参考;前回記事


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