見出し画像

265 15%


はじめに

世界人口80億人のうち、先進国の人口率を見てみるとその割合は15%ほどになります。この割合もここ数年で変化しているものです。70年ほど前は約30%でしたが2000年には約20%になりました。そして現在15%となっています。このまま推計が正しければ2050年に約10%強という予想ができます。
今日の教育コラムでは、現在の置かれている状況を把握することで見えてくる価値観みたいなものについて少しお話してみたいと思います。

状況確認

先進国とは、主に経済が大きく発展している国々のことをいいます。 先進国と呼ばれるための定義はありませんが、経済や技術が発展しているだけではなく生活水準が高いといわれている国々がこのように呼ばれます。
なかでも主要国首脳会議は現在G7と呼ばれ、日本、米国、イギリスなどの先進国と呼ばれている国々が参加しています。
これらの国は、道路や水道、電気や通信環境など様々なインフラ整備が進んでいます。そうした生活基盤が充実しているだけでも起業したり、教育を受けたりする上で有利なのは想像にやさしいわけです。

経済格差という現実

経済格差はどのように発生するのかを知っているのは、人間のみなわけです。また、その解決方法を知っているのも人間のみなわけですが、実際はその経済格差がうまることはないわけです。
では、どのように経済格差は広がり続けていくのでしょうか。理由は大変に複合的です。例えば、人口増加や古くからの階級制度、宗教、内戦、紛争など、さまざまなものがその理由になります。
経済格差は、国家間の問題だけではありません。国内の問題でもあるのです。ですから近年日本においても盛んに格差問題と言う言葉を耳にするのです。時に経済格差の問題は政治の争点になるほどの問題であることを考えると解決すべき問題であるという見方ができます。
特に途上国では先進国に比べ、都市部と農村部の間に著しい地域格差が見られます。たとえば中米のグアテマラでは、農村部に住む先住民族の若者が正規雇用に就ける機会は非常に限られています。特に先住民族の女性の場合、男性と比較して職業技術を習得する機会が少ないことから、より貧困に陥りやすくなっています。つまり職業選択の場も教育を受ける機会も雇用の機会の均等と言う視点からも格差が拡大する仕組みがすっかり社会に定着してしまっているのです。

金持ちが選挙に勝つ仕組みに見える格差社会の問題

政治家の世襲制度が問題なのは、本人の能力がないのに政治家になるという問題以外に能力のある人が政治家としてその力を発揮できない状況が生じる点にあります。
例えるならば、スポーツの世界であれば完全に実力の世界ですので、世襲で選手になっても勝てなければそこで評価が下されます。民間の企業においても、世襲で経営者の座についても、能力が伴わない経営者は会社を傾かせるなんて話は山ほど聞いたことがあります。
しかし、政治家の世襲は、その負債を国民が支払うことになるという点で大きな問題が生じるのです。これがどのように経済格差と関係しているかを見ていくと選挙にはお金が大変にかかるということです。今回の裏金キックバック事件もこうした選挙にかかる膨大なお金を捻出することも目的に一つだったと考えられます。
政治家の世襲は根強い問題であることは、与党第一党の衆議院議員の約4割が世襲であることを見れば明らかです。また、平成以降の内閣総理大臣の7割は世襲議員です。
選挙で、当選するのに必要とされる3つの条件を3ばんと言いますが、地盤、看板(肩書・地位)、かばん(金銭)がその中身です。政治家の地位が世襲されると、政治がその家系の家業となり、「権力」「人間関係」「利害関係」など3ばんが全て引き継がれます。
すると利害関係の強いもの同士が互いに利益を共有する仕組みが成り立ちます。これは「権力の私物化」になるわけです。私物化されると新規の参入を阻害する仕組みが当人たちの手で作られていきます。
ただでさえ日本の選挙制度では300万円にも及ぶ供託金が必要であるとかポスターや街宣車、選挙事務所など様々な点でお金が必要になり、そのため資金力に乏しい一般人は、大きな組織に頼るか又は、応援してくれる企業や団体を頼ることになるケースが増えるのです。そこでまた、利害関係が生じ政治家の政治理念を達成することが難しくなるわけです。そうした様々な結果として立候補できる人間は、経済的な格差によって絞られていくという仕組みです。

ずば抜けて世襲議員の多い日本

世襲制限する国々はたくさんあります。日本はこうした問題を扱うべき国会が世襲議員によって占拠されている状態ですので、世襲を制限する議論など進むわけがありません。それは、世襲による政治の私物化やそれに伴う腐敗を防ぐ方法はないというわけです。
ほとんどの先進国(G7)で見ると、国会議員の中での世襲議員の割合は1割以下です。日本は、世界でも4番目に世襲議員の多い国として先進国の中では異例な状況です。
既得権益に縛られた日本では、何度も政治改革に挑戦するも結果としてその改革は、いつの時代も現在問題となっているような裏金がいくらでも作れるざる法案を作るので精いっぱいということになるのです。

選挙に行かない国民性の高まりは、既得権益でつながっている選挙の戦い方を得意とする政治団体をより強い政党へと成長させることを考えると、私たちはもう抜け出せない負のスパイラルの真っただ中にいるのかもしれません。世界の15%の先進国にいながら、世襲をここまで許している国は何とその10分の1.5%だということを考えると、いかに我が国が世界でもまれな国であるかが見えてきます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?