芦田央(DJ GANDHI)

フリーライター / 映画好き / ノンフィクションとドキュメンタリー愛好家 / 札幌出…

芦田央(DJ GANDHI)

フリーライター / 映画好き / ノンフィクションとドキュメンタリー愛好家 / 札幌出身・東京在住・古今東西の映画を貪るように日々是鑑賞 / 映画の記事がメインですが、好奇心丸出しの「レア職業図鑑」という連載もしています

マガジン

  • ドキュメンタリーのススメ

    「事実は小説より奇なり」とはよく言ったもんで、ドキュメンタリー映画はオールジャンルで、玉石混淆で、予測不可能で面白い。周知の事実にすら新しい視点を与える、そんなジャンルです。個人的にグッと来た、そんなドキュメンタリー映画をご紹介します。

  • レア職業図鑑

    珍しい職業、何やってるか分からない職業、そもそも存在の知られていない職業。そんなお仕事の業界知識と現場の声を発信し「世界は誰かの仕事でできている」を地で行こうという連載です。さらには日本の伝統文化に関わる職業にもフォーカスし、それらを保存・アーカイブしていきます。

最近の記事

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みなさん、映画の”エンドロール”観てますか?その歴史と最新事情

一度は話題になったことがあるのではないでしょうか、映画で”エンドロール”観るのか観ないのか問題。 もちろんそれは個人の自由ですが、私は必ず観ますし、また他の方にも”エンドロール”を楽しんで欲しいと思っています。なぜなら映画の本編にこだわって製作してきた監督をはじめ映画製作陣が、最後の最後であるエンドロールにこだわらない訳ないだろうと、思うからです。曲とか、フォントとか、順番とか。 という事で今回は「最後まで観てね!」という事を強く主張したく、またエンドロールを楽しめるとい

    • 毎日新聞「ひとシネマ」に『オッペンハイマー』原作読者目線の記事を寄稿しました

      上中下とボリュームたっぷりな原作『オッペンハイマー』。この記事では、映画との相違点から見える、クリストファー・ノーラン監督はこれを言いたかったのではないか、これを強調したかったのではないかというポイントについて書きました。 映画から何かを感じたという方、原作も気になっているという方はぜひご一読いただけると嬉しいです。 ▼記事はこちらから

      • エルヴィス・プレスリーの曲が流れない『プリシラ』ソフィア・コッポラの選曲

        「ソフィア・コッポラ監督の作品はサウンドトラックが良い」という筆者の個人的な考えは、新作『プリシラ』でも実証された。 『プリシラ』はエルヴィス・プレスリーの元妻、プリシラ・プレスリーによる回想録「私のエルヴィス(原題:Elvis and Me)」を原作とし、本人もエグゼクティブ・プロデューサーとして製作に参加した作品だ。 プリシラが軍の将校である父の赴任先ドイツで、従軍してきたエルヴィスに初めて会ってから「自分自身の人生を生きる」とエルヴィスから去るまでの物語となっている

        • 『アインシュタインと原爆』~映画「オッペンハイマー」のお供に

          映画『オッペンハイマー』において、登場シーンは少ないものの極めて重要な存在なのが「一般相対性理論」の提唱者、理論物理学者のアインシュタインだ。 原子力委員会による聴聞会へ参加するオッペンハイマーに対して、アインシュタインが話しかける。自分は国から逃げてきた身だが、オッペンハイマーは国に尽くしてきた。そんな君に対する国の仕打ちがこれかと。 アインシュタインはドイツ生まれのユダヤ人で、1933年にナチスが政権を獲得し、ユダヤ人への迫害が激化するとアメリカへと逃亡してきたという

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          22本

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          映画『オッペンハイマー』の登場人物・歴史背景ガイド

          「原爆の父」であるロバート・オッペンハイマーを描いたクリストファー・ノーラン監督の『オッペンハイマー』が公開。 時間のギミックや物理現象などを作品に取り入れ「難解」と言われることも多いノーラン映画だが、『オッペンハイマー』も主人公が物理学者であることに加え、物語が複数の時間軸で進むなど、例に漏れずかんたんとは言えない。 しかし今作の難易度を上げているのは、時間や物理の要素ではなく登場人物の多さや背景の複雑さであると思う。とにかく多くそして説明もないので、事前に何も知らない

          映画『オッペンハイマー』の登場人物・歴史背景ガイド

          ガザ、パレスチナ、イスラエルのことを知るのに観たい映画

          先日とあるTV番組で、ガザ、イスラエル、パレスチナなどのキーワードが、ネットで全く検索されなくなっており、それが興味・関心が薄れている証拠だとコメンテーターが言っていた。Googleトレンドで見てみると確かにその通りである。 ハマース主導による越境攻撃が去年の10月7日、その直後と比較すると2024年3月現在では約50分の1程度まで、検索数は激減している。 人の関心を集め続けることは、この情報量が多過ぎる社会では特に難しい。しかし興味・関心がなくなったからと言って、ガザや

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          『DUNE/デューン 砂の惑星』は映画の見比べと小説の読み比べが面白い

          ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の『デューン 砂の惑星PART2』が公開された。PART1でアカデミー賞の美術・撮影・視覚効果賞などを獲得したように、PART2でも世界観や映像美が素晴らしいことは説明の必要がないだろう。 PART1の公開時には原作小説の新訳版を読んでみたが、今回はそれをそのまま読み返すのでなく、趣向を変えて、昭和62年に改訂版六刷の発行された矢野徹さんによる翻訳版を読んでみた。 あくまで個人的な意見だが、「DUNE/デューン 砂の惑星」はいずれの映像作品を観るに

          『DUNE/デューン 砂の惑星』は映画の見比べと小説の読み比べが面白い

          「アカデミー賞とは何か」をあらためて、選考基準や投票方法

          世界で最も注目される映画賞の一つ、アカデミー賞。素晴らしい映画作品や俳優にオスカー像を贈るというざっくりしたイメージは多くの方がお持ちだろうが、もう少し解像度を上げていただくと、アカデミー賞を、映画を、より楽しめると思うので、かんたんにご紹介したい。 オスカーとは 主催団体は「映画芸術科学アカデミー(Academy of Motion Picture Arts and Sciences:AMPAS)」。ここの会員が無記名で投票を行うことによって、ノミネートから最終的な受賞

          「アカデミー賞とは何か」をあらためて、選考基準や投票方法

          『アメリカン・フィクション』に見た「人種差別」の描き方の変化

          映画の中で「人種差別」が描かれる時、良くも悪くも作品が撮られた時代における理解度が反映されることが多い。 不朽の名作と言われる『風と共に去りぬ』(1939年)さえも、「奴隷制を肯定的に描いている」としてBlack Lives Matter運動が盛んな時期にストリーミングサービスの配信ラインナップから削除されたことがある。仕方がないとかんたんに済ませてはいけないが、なにしろ80年以上も前の作品だ。 Amazon Primeで2月27日から配信が始まり、アカデミー作品賞ノミネ

          『アメリカン・フィクション』に見た「人種差別」の描き方の変化

          『ネクスト・ゴール・ウィンズ』に学ぶサモア文化:第三の性”ファファフィネ”

          アート系の良質な映画を製作・配給することで知られるサーチライトピクチャーズから、新作『ネクスト・ゴール・ウィンズ』が公開された。この映画の予告編を観た時に、私は(無知により失礼ながら)トランスジェンダーの登場人物がいる映画なのだな、と思った。 0-31という歴史的な大敗を喫し、FIFAランキングが万年最下位であるアメリカ領サモアのサッカー男子代表。このチームの再建を図るという事実を基にした映画なのだが、チームの中に明らかに女性然とした選手がいる。 劇中でも説明があるが、彼

          『ネクスト・ゴール・ウィンズ』に学ぶサモア文化:第三の性”ファファフィネ”

          口腔保健センター退職後に開業、地域の一般歯科でも「障がい者歯科」の提供へ

          地域の歯科医院にとって、なかなかその参入ハードルが高い「障がい者歯科」。今後の普及へ向けてさまざまな課題がある中、2023年、「障がい者歯科」を専門とする都立の口腔保健センターに20年勤めた関野仁氏が、歯科医院「オーラルヘルスサポート歯科すみだ」を東京都墨田区の東向島に開業。 今回は関野氏に、古巣である口腔保健センターについてや、「障がい者歯科」分野における歴史や現状について、詳しくお話をうかがった。 「障がい者歯科」という分野には、どのようにして出会ったのですか? 私

          口腔保健センター退職後に開業、地域の一般歯科でも「障がい者歯科」の提供へ

          「障がい者歯科」に取り組む歯科医院、安定経営の実現で業界のロールモデルへ

          地域の歯科医院にとって、なかなかその参入ハードルが高い「障がい者歯科」。今後の普及へ向けてさまざまな課題がある中、2023年、「障がい者歯科」を専門とする都立の口腔保健センターに20年勤めた関野仁氏が、歯科医院「オーラルヘルスサポート歯科すみだ」を東京都墨田区の東向島に開業。 今回は関野氏に、歯科医院の開業についてや、一般の歯科医院と比べてどのような工夫がなされているかなど、詳しくお話をうかがった。 設備が整っている医院でないと治療が難しい方は、まずは受け入れてもらえると

          「障がい者歯科」に取り組む歯科医院、安定経営の実現で業界のロールモデルへ

          『哀れなるものたち』ポスターデザインに見た「博士の異常な愛情」のパブロ・フェロ

          ヨルゴス・ランティモス監督『哀れなるものたち』のポスターデザインのフォントを見て、グラフィックデザイナーのパブロ・フェロを感じた。 パブロ・フェロとは、キューバ系アメリカ人の著名なグラフィックデザイナーである。彼の代表作としてよく語られるのが、スタンリー・キューブリック監督の『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』だ。 このように『博士の異常な愛情』では、手書きで細く、縦横の比率を変えた字が特徴となっている。彼の作品には似たよ

          『哀れなるものたち』ポスターデザインに見た「博士の異常な愛情」のパブロ・フェロ

          A24の手で40年ぶりの復活『ストップ・メイキング・センス 4Kレストア』

          1983年にハリウッドのパンテージ・シアターで催されたトーキング・ヘッズのLIVEの模様を、後のアカデミー賞作品『羊たちの沈黙』のジョナサン・デミ監督が収めたドキュメンタリー映画、『ストップ・メイキング・センス』の4Kレストア版が公開された。 数年前にトーキング・ヘッズのフロントマン、デヴィッド・バーンのLIVE映画『アメリカン・ユートピア』(2020年)が注目を集めたばかりだが、40年も前の映画が4Kレストアされ、しかもその作業を行ったのが新進気鋭のA24だというのだから

          A24の手で40年ぶりの復活『ストップ・メイキング・センス 4Kレストア』

          『哀れなるものたち』からサーチライトのパンフレットを集めてみませんか

          ギリシャの鬼才ヨルゴス・ランティモス監督の5年ぶりの新作『哀れなるものたち』が公開。主演エマ・ストーンは『女王陛下のお気に入り』に続いて監督と再タッグを組み、今作ではプロデューサーも兼任、世界観の構築に貢献している。 さて、今回注目したいのはそのパンフレットである。『哀れなるものたち』の劇場パンフレットは、製作・配給のサーチライト・ピクチャーズの名を冠して「SERCHLIGHT PICTURES issue」というタイトルがついている。 写真から分かるように、パンフレット

          『哀れなるものたち』からサーチライトのパンフレットを集めてみませんか

          アメリカの“インディペンデント映画の至宝”と称されるケリー・ライカート監督

          ケリー・ライカートというアメリカの映画監督・脚本家をご存知だろうか。 A24が北米配給を手掛け、日本でも話題となった『ファースト・カウ』の監督だ。西部開拓時代のアメリカにおいて、盗んだ牛乳からつくるドーナツで一攫千金を夢みた男2人のヒューマンドラマだが、私はこの作品で初めて彼女を知った。 インディペンデント映画とは アメリカではメジャースタジオ(ユニバーサル、パラマウント、ワーナー、ディズニーなど)の傘下に属していない映画、もしくは自己資金で制作された自主制作映画のこと

          アメリカの“インディペンデント映画の至宝”と称されるケリー・ライカート監督