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海外へ向けて説明したい『君たちはどう生きるか』のポイント
とあるご縁から、海外向けに『君たちはどう生きるか』の記事を書くことになった。バイリンガルの翻訳家と一緒に映画を鑑賞し、どんなポイントが海外の方にとって伝わりづらいかを話し合ったのだが、いつもと違う視点と考え方で、新鮮かつ非常に面白い。
そこで英語に翻訳される前の日本語記事(少し日本用に整えたもの)を下記に掲載してみた。日本人による日本の解説は「当たり前」と思われる部分もあるかもしれないが、本来は
毎日新聞「ひとシネマ」に『オッペンハイマー』原作読者目線の記事を寄稿しました
上中下とボリュームたっぷりな原作『オッペンハイマー』。この記事では、映画との相違点から見える、クリストファー・ノーラン監督はこれを言いたかったのではないか、これを強調したかったのではないかというポイントについて書きました。
映画から何かを感じたという方、原作も気になっているという方はぜひご一読いただけると嬉しいです。
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『アインシュタインと原爆』~映画「オッペンハイマー」のお供に
映画『オッペンハイマー』において、登場シーンは少ないものの極めて重要な存在なのが「一般相対性理論」の提唱者、理論物理学者のアインシュタインだ。
原子力委員会による聴聞会へ参加するオッペンハイマーに対して、アインシュタインが話しかける。自分は国から逃げてきた身だが、オッペンハイマーは国に尽くしてきた。そんな君に対する国の仕打ちがこれかと。
アインシュタインはドイツ生まれのユダヤ人で、1933年に
映画『オッペンハイマー』の登場人物・歴史背景ガイド
「原爆の父」であるロバート・オッペンハイマーを描いたクリストファー・ノーラン監督の『オッペンハイマー』が公開。
時間のギミックや物理現象などを作品に取り入れ「難解」と言われることも多いノーラン映画だが、『オッペンハイマー』も主人公が物理学者であることに加え、物語が複数の時間軸で進むなど、例に漏れずかんたんとは言えない。
しかし今作の難易度を上げているのは、時間や物理の要素ではなく登場人物の多さ
『DUNE/デューン 砂の惑星』は映画の見比べと小説の読み比べが面白い
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の『デューン 砂の惑星PART2』が公開された。PART1でアカデミー賞の美術・撮影・視覚効果賞などを獲得したように、PART2でも世界観や映像美が素晴らしいことは説明の必要がないだろう。
PART1の公開時には原作小説の新訳版を読んでみたが、今回はそれをそのまま読み返すのでなく、趣向を変えて、昭和62年に改訂版六刷の発行された矢野徹さんによる翻訳版を読んでみた。
あく
「アカデミー賞とは何か」をあらためて、選考基準や投票方法
世界で最も注目される映画賞の一つ、アカデミー賞。素晴らしい映画作品や俳優にオスカー像を贈るというざっくりしたイメージは多くの方がお持ちだろうが、もう少し解像度を上げていただくと、アカデミー賞を、映画を、より楽しめると思うので、かんたんにご紹介したい。
オスカーとは
主催団体は「映画芸術科学アカデミー(Academy of Motion Picture Arts and Sciences:AMP
『アメリカン・フィクション』に見た「人種差別」の描き方の変化
映画の中で「人種差別」が描かれる時、良くも悪くも作品が撮られた時代における理解度が反映されることが多い。
不朽の名作と言われる『風と共に去りぬ』(1939年)さえも、「奴隷制を肯定的に描いている」としてBlack Lives Matter運動が盛んな時期にストリーミングサービスの配信ラインナップから削除されたことがある。仕方がないとかんたんに済ませてはいけないが、なにしろ80年以上も前の作品だ。
口腔保健センター退職後に開業、地域の一般歯科でも「障がい者歯科」の提供へ
地域の歯科医院にとって、なかなかその参入ハードルが高い「障がい者歯科」。今後の普及へ向けてさまざまな課題がある中、2023年、「障がい者歯科」を専門とする都立の口腔保健センターに20年勤めた関野仁氏が、歯科医院「オーラルヘルスサポート歯科すみだ」を東京都墨田区の東向島に開業。
今回は関野氏に、古巣である口腔保健センターについてや、「障がい者歯科」分野における歴史や現状について、詳しくお話をうかが
「障がい者歯科」に取り組む歯科医院、安定経営の実現で業界のロールモデルへ
地域の歯科医院にとって、なかなかその参入ハードルが高い「障がい者歯科」。今後の普及へ向けてさまざまな課題がある中、2023年、「障がい者歯科」を専門とする都立の口腔保健センターに20年勤めた関野仁氏が、歯科医院「オーラルヘルスサポート歯科すみだ」を東京都墨田区の東向島に開業。
今回は関野氏に、歯科医院の開業についてや、一般の歯科医院と比べてどのような工夫がなされているかなど、詳しくお話をうかがっ
『哀れなるものたち』ポスターデザインに見た「博士の異常な愛情」のパブロ・フェロ
ヨルゴス・ランティモス監督『哀れなるものたち』のポスターデザインのフォントを見て、グラフィックデザイナーのパブロ・フェロを感じた。
パブロ・フェロとは、キューバ系アメリカ人の著名なグラフィックデザイナーである。彼の代表作としてよく語られるのが、スタンリー・キューブリック監督の『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』だ。
このように『博士の異常な愛情
A24の手で40年ぶりの復活『ストップ・メイキング・センス 4Kレストア』
1983年にハリウッドのパンテージ・シアターで催されたトーキング・ヘッズのLIVEの模様を、後のアカデミー賞作品『羊たちの沈黙』のジョナサン・デミ監督が収めたドキュメンタリー映画、『ストップ・メイキング・センス』の4Kレストア版が公開された。
数年前にトーキング・ヘッズのフロントマン、デヴィッド・バーンのLIVE映画『アメリカン・ユートピア』(2020年)が注目を集めたばかりだが、40年も前の映