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埼玉県の子ども放置禁止の条例改正案が取り下げられて考えたこと

どうも、ゑんどう(@ryosuke_endo)です。

ここ数日間、埼玉県の県議会で自民党県議団が提出した「子ども放置禁止」の条例改正案が各メディアを賑わしていましたが、10/10に取り下げられました。

メディアでは批判的な姿勢で取り上げられていることと、ネット上では大いに批判する人しかいないんじゃないかってぐらいに炎上してますが、その人たちの声だけを追っていても筋道が見えません。

そこで、ちょっと整理をすることと、子どもを保護養育する当事者として、きちんと向き合うべき問題なのではないかと思いましたので、調べつつまとめてみることにしました。

趣旨は「子どもの安心を社会で担保すること」

まず、経緯は何だったんだと興味を持って見てみることに。何事にも興味を持つことと事象を掘り下げることによって議論の筋が見えてきますからね。この辺を自然とやってしまう自分に酔いしれてしまいます。

そもそもの話ですが、今回埼玉議会で提出されたのは改正案です。改正案ってことは元となっている条例があるわけで、それは2017年に議会で可決・成立している虐待禁止条例のことです。(ネット上の議論ではここが蔑ろにされている感……)

この中にある第六条の安全配慮義務に関する規定へ「小学3年生以下の児童を住居などに残したまま外出など放置をしてはならない」を追記したり、第八条へ「県民は虐待を発見した場合通報すること」などを追記しようとしたのが今回の改正案です

つまり、家庭で安全配慮に関する意思疎通を図り、可能な限り子どもたちの安全を社会として担保して行こうとしたかったんだろうことが窺い知れます。

条例は包括的なものなので、「具体的には?」と聞かれた自民党の県議連が出した例が以下。

▼子どもを車の中に置き去りにすること
▼子どもたちだけの自宅での留守番など
▼未成年の高校生に小学生などのきょうだいを預けて買い物に出かける行為
▼子どもだけ家に残してゴミ捨てに行く行為
▼子どもたちだけで公園などで遊ぶこと
▼子どもたちだけでの登下校
▼子どもにおつかいさせる行為

どうですかね。すでに条例があり、家族内で子どもの安全を確保するための配慮を議論し、実際に運用する体制になっていることを前提とした場合、これらはそこまで批判されるものなのかは考える余地がありそうなものです。

欧米の子育て環境は今回の条例改正案そのもの

欧米諸国、いわゆる日本のような先進各国ではどうなのか。

もうね、子どもへの「放置」が厳格に取り締まられています。米国では各州が独自の法令と行政措置を持ち、一般的に子供だけで留守番や町を歩かせる行為は児童虐待に当たりますし、欧州でも12歳以下の子供を放置する行為は違法です。

ぼくが2週間ほどドイツのライプツィヒへ出向いた際にも、子どもたちが1人で行動する様子はまったく見られませんでしたし、ふと疑問に思ったので現地の人に聞いてみたら「それは児童虐待だから無理だ」って返されたのを思い出します。

以下の記事は、日本人が米国で児童虐待とされる具体的な事例も挙げており、この内容はまさに上記の埼玉の条例改正案の中身のそれです。

子どもを車内に残して買い物に行く、子どもを家で一人にする、子どもの頭を叱って小突くなど、日本では「当然」「仕方のないこと」と思われることも通報の対象となっており、警察や児童保護局の取調べを受ける可能性があるものなのです。

子どもの安全を社会で担保すること

この改正案、小学3年生以下の子どもを家に残して保護者が外出する行為を禁止し、4年生から6年生に対しては努力義務としていましたが、冒頭でも記載している通り、起案者から取り下げられました。

取り下げの理由として、田村琢実団長は「全国的に不安と心配の声が広がり、多くの意見を受けた」と述べました。また、埼玉県によると、改正案に対する反対意見が1005件、賛成意見が2件であり、さいたま市PTA協議会が行ったオンライン署名活動にも2万7000人以上の署名が集まったと、非常に大きな反響がものの数日であったことに驚きます。

また、埼玉県の大野知事は取り下げを歓迎し、「子育てしやすい埼玉県を今後もアピールしていく」と述べてたりするため、二元代表制である以上、これらの意見を議論していく議会のあり方を市民レベルから、きちんと見ていく必要がありますし、メディアにはその過程をクリアにすることが求められるなってことを痛感します。

何より、子どもたちの安全を社会で担保しようってこと自体は間違っていることでも何でもありません。

我が家の子どもたちが、ぼくたち夫婦の安全配慮義務が怠っていたがために生命の危険に晒されているのであれば、見知らぬおじさんやおばさんたちから叱責を受けたり、通報されることはやむなしだと思うのです。

ただ、それをどう実装していけばいいのかって話は、共働きが増えている中で余裕のない親御さんたちも困りながら迷いながら生活をしているわけです。

今回は、そこから大いなる批判を浴びる形になってしまったわけですが、基本的には、賛成の立場ですね。ぼくは。子どもたちの安全を社会で担保する一員でいたいとは思いますもん。

おわりに

いやー、難しいですね。議会運営もそうですが、市民感情や経緯の説明だとかって、理解度が異なる人たちが大勢いる中で、丁寧に説明したとてわかる人とわからない人がいるわけですから。

ただ、本筋として何が目的なのかってところと、何を議論したかったのかって点がクリアになっていると良かったんだろうなぁ……とは思う次第でございます。

ではでは。
ゑんどう(@ryosuke_endo)


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