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17.健康長寿をもたらす栄養

20年ほど前から犬の栄養について学びと思考を重ねてきました。その間、多くの「もっともらしい知見や意見」に惑わされ続けてきましたが、何となく見えてきたことがあります。

手作り食だろうが市販のドライフードだろうが、その違いそのものがイヌの寿命に影響を与えるという科学的な実証データは存在しないのだろう、ということ。

特定の栄養素の摂取不足もしくは過剰摂取あるいは特定の添加成分の継続摂取はイヌの寿命に大きく影響する可能性が高いのだろう、ということ。

棄損した健康を回復させる「薬」は存在するけれども、健康を維持し長寿をもたらす特定の「食品」はおそらく存在しないのだろう、ということ。

栄養摂取に関して飼い主が愛犬のためにできることは、科学的根拠が不明確な知見や意見に惑わされることなく、栄養学の知見に沿って、必要な栄養素を過不足なく与えつづけることおよび健康を損なうおそれのある添加成分の給与を避けることで、それが愛犬の健康長寿の確率を最大化する唯一の方法だと思うのです。

ヒトの栄養とイヌの栄養は同じではありません。それは科学が示しています。イヌが食事で摂取すべき栄養素の比率も少しずつ明確になってきていますし、ヒトが受け入れられる食品でもイヌが受け入れないもしくは受け入れにくい食品もわかってきています。イヌの栄養とヒトの栄養が異なることを軽視すると、ひとりよがりの「正解」にたどりつく危険が大きく、結果としてイヌの健康を損なう危険が大きくなるのではないかと思います。

環境省と農水省が、合同委員会を設置してペットの食の安全についてさまざまな観点から議論を重ねてきました。一愛犬家としてありがたくそのご苦労には頭の下がる思いです。
ただ「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」の目的が「愛がん動物の健康を保護し、動物の愛護に寄与すること」であるにもかかわらず、製造、輸入、販売を行う業者を律するルールづくりにとどまり、飼い主が自己判断で手作り食を与えることにまでは踏み込めていません。それは行政の限界なのでしょうけれども、イヌたちの健康を守るという法の趣旨を全うするためには、ルールづくりあるいはせめて指針だけでも必要なのではないかと考えています。


科学的思考を育てるドッグトレーナースクール ウィズドッグアカデミー

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